遭難と策謀と
冬……ミネラルタウンは時折猛吹雪に覆われる。
そんな日は誰もが家の中で吹雪が終わるのを待ち続ける、それが、この環境で生きてきた人々の知恵だから。
「う……うごけな……さ……むい………」
そして、何故かピートはこの猛吹雪の日に外を歩いていた。
「ら……ランの誕生日なんだから……渡さないと……」
この猛吹雪では宿屋の娘の誕生日パーティーなどお流れになっているとは当然知るよしもない、なぜなら、彼はここに来たばかりなのだから。
すっかり寒さに萎縮し、震える以外の行動を拒否する身体を叱咤し、足を一歩踏み出す。
横殴りの風がピートの身体を吹き飛ばそうとし、凄まじい寒さが体力と体温を情け容赦なく奪っていく。
「……ら……ん………」
宿屋まで後数メートル、ようやく窓の明かりが見えてきた所で、ピートは意識を刈り取られ雪の中に倒れ込んだ。
「……あれ?」
「どうした?ラン」
普段ならば酒でも飲みに来る人々で賑わう時間、流石に今日は誰も居ないので掃除を早めに切り上げたランはまったりと窓の外を眺めていたのだが、不意にただ眺めるのではなく、凝視し始める。
「誰か、倒れてない?」
「いや今日みたいな天気で外出るヤツは居ないだろ、クリフみたいに街から来たばかりってなら兎も角……」
父と娘、二人同時に動きが止まる。
「………街から来たばかりでここらの事良く判ってない……」
「クリフは泊まってるけど……もう一人………」
次の瞬間
「ピートさんっ!!!」
ランは速攻でドアから飛び出していた。
それからきっかり120秒後。
「ぜぇ……ぜぇ……」
「いやまぁ……ラン、頑張ったな」
思いっきり体温を奪われ、凍死一歩手前……というのは言い過ぎだがランが気付かなければ翌日には宿の前僅か数メートルの所に凍死体が1つ出来上がっていただろうという状態でピートは無事に確保された。
「身体暖めないと……」
すぐさまベッドに運び込み、濡れた服を前部脱がせるとありったけの毛布でピートの身体を包む。
ダッドが風呂は沸かしてあるものの、血流が悪くなっているところでいきなり高温のお湯に叩き込んで良い物かどうか、ランは一瞬考えてしまった。
「ドクターに……は連絡も取れないよねぇ……」
兎に角唇まで真っ青にしてる今の状況をどうにかしないことにはどうしようもない、しかしどうしたら……。
そこでふと、彼女の脳裏に手持ちの小説の1シーンが浮かんだ。
『このままでは二人とも凍死してしまう……裸で抱き合って暖め合うんだ』
ばふっ!!と湯気が頭から噴出するほど真っ赤になるラン、それでも彼女は、その憧れのシチュエーションという一見甘美な言葉に抗うことは出来なかった。
肩ひもを外すと、オーバーオールのズボンはばさっと床に落ちた。
シャツのボタンを外し、脱ぎ捨てる。
薄い緑のチェック柄に彩られたブラのホックを外し、胸をむき出しにする、
ショーツも、少し悩んだがここまで来たら、と脱いでしまった。
割と着やせするのか、意外に豊満な胸を隠すように、すぐさまピートをくるんでいる毛布の中に潜り込み、冷え切ったピートの身体を抱きしめる。
「つ……冷たい……」
体温を全て失ってしまったのではないかと思ってしまうほど冷たくなったピートの身体を、ランはしっかりと抱きしめる。
「ピートさん……」
先ほどピートを自分で全裸に剥いた事など忘れてしまったかのように、ランはピートの身体に自分の身体を密着させる。
こういう方法で身体を暖め合う時は、どれだけ隙間を少なく出来るかが重要なのだ。
暖かい。
ピートの意識の中に飛び込んできた最初の認識はそれだった。
人肌程度に暖かく、安らぎを感じる「何か」。
それがピートをくるんでいるのが判った。
ほぼ本能で、ピートはそれに顔を埋める。
「ーひゃんっ!?」
それはぴくっと震え、やけに高い声を上げた。
ふにふにと柔らかい、いい匂いのする暖かいもの……くっついていると安らいでくるもの……。
何度か擦り付けるように顔を動かす。
そのたびに「ひぁっ!?」だの「ぁんっ」だのと声が聞こえるような気がする。
唇の端に当たった何か硬いもの……反射的に、ピートはそれを口に含んだ。
「ひぁうっ!!?」
今度こそ、ピートの耳にはっきりと喘ぎ声が響いた。
「……ゑ?」
凍死しかかっていた脳味噌がいきなり活性化する。
目の前には、真っ赤になった全裸のラン。
しかも何がどうなっているのか、抱き合っている。
それでピートはランの胸を……正確には乳頭をくわえ込んで居るわけで……。
「や……ピートさん……はずかしいよぉ……」
ちょっとだけ息を乱し、潤んだ瞳でピートを見詰めながら、ランは呟いた。
どうやら恥ずかしがっては居ても嫌がっては居ないようだ。
「……ラン?……あれ、雪の中でぶっ倒れて……それから……?」
「ピートさん……」
頭上に疑問符を浮かべ続けるピートを逢えて無視するかのように、ランは潤んだ瞳でじっとピートを見詰める。
ヤらないか?、とピートの本能が全力全開で叫ぶ。
逃げろ、と理性が悲鳴を上げる。
うはwwWwwおkwwwwwっうぇwwwwww、と感情はそっぽを向いた
ランの手がピートの陰茎をそっとさする。
意識が戻り、すっかり臨戦態勢を整えていた其処は、ランの手コキに応ずるようにピクピクと動いていた。
「あ、ぴくぴくしてる……」
「ラン……えっと、その……」
どうやら冒険したいお年頃の娘さんはもう止まってはくれないようだ。
ピートもここは大人しく状況を楽しむ……もとい諦める事にした。
股間の割れ目に沿って指を這わせるたびに、ランは甘い吐息を漏らす。
少しだけ指を埋めると、「ひゃっ」と可愛らしい悲鳴を漏らす。
それと一緒に、そこは濡れてくる。
両足を大きく開かせると、ピートはランの股間に顔を寄せる。
「やっ……ピートさん……そんなトコ、汚いよぉ」
ランの懇願に近い、但しどちらかと言えば誘っているに近い色合いを持つ声に従うように、ピートは股間を丹念になぶり始めた。
「ひゃっ……ぴ……ぴーとさ……だめ……あぁんっ」
ダメと言いながら、ランの手はピートの頭を軽くではあるが動かないように押さえている。
この時点で、どちらが本心かはばれているようなものだ。
丹念に股間を舐め上げながら、陰核を軽く指で摘み上げる。
「ひぁぁぁぁっ!?」
突然、ランは身体を大きく仰け反らせて果てた。
「はぁ……はぁ……んぅ……」
息を整える暇も与えず、再びディープキスを求める。
その求めに応じながら、ランはピートを強く抱きしめた。
「ピートさん……わたし……もう……」
じれったそうに、もじもじと、股間をピートの陰茎に擦り付けるように動かす。
「うん……」
言わんとすることは直ぐに理解したのか、ピートはランのそこに陰茎を添えると、一気に奥まで差し貫いた。
「あうっ!!?」
処女を奪われる痛みにランは顔を顰めるが、そのまま放さないとばかりにピートを強く強く抱きしめる。
ピートの方でも、ランをしっかりと抱きしめ、繋がったまま、二人は暫く動かなかった。
やがて、ランは動きやすい様に少しだけ身体の位置をずらした。
「……もう、大丈夫……ね、動いて……?」
それを聞いて、ピートはゆっくりと腰を動かし始めた。
「んぅ……んっ………」
初めは痛みに耐える声だったが、程なく、ランの声は喘ぎに変わっていく。
「あっ………ん……いい……いいよぉ………」
「あっ……ああっ……ピートさんのが、わたしの奥まで入って……あんっ」
突き上げられるたびに、形良い胸が大きく波打つ。
股間からは、彼女の純潔の証が、少しだけ零れている。
「ぴ……ピートさん……何か来る……きちゃうよぉ……!!」
甘い声をあげ、ピートにしっかりと抱きつくようにしてランは悲鳴に近い喘ぎをあげる。
ピートの腰に足を絡め、必死になって自分の腰も動かす。
「大丈夫だから……中に……ああんっ」
にちゅにちゅと水音がする中で、ランは……
「あっ……あああああああああああっ!!!」
大きく背を逸らして、絶頂を迎えた。
それと同時に、ピートの精がランの胎内に放たれる。
「あっ……んんっ…………あったかぁぃ……」
ランはピートを抱き寄せると、耳元で呟いた
「今夜はこのままで……いいかな?」
そして一夜明けて……
朝、ピートよりも早く目覚めたランは、窓の外の猛吹雪が続いていることを確認してにっこりと微笑んだ。
「さ〜てと、どうやって起こそうかな?」
自身、一糸纏わぬ状態でもう一度ベッドに目を遣ると朝だけに元気良く突っ立っているそこが目に入る。
「そーだ♪」
にっこりというかニヤリと笑みを浮かべると、ランは布団の中にごそごそ潜り込む。
そして程なく……
「ん♪」
だの
「んむ……んっ…………………けほっ」
だのと声と音が聞こえてきた。
因みに、先日が排卵日、いわいる危険日だったというのは、ピートには絶対内緒である。
確かに大丈夫、とは言った。
しかし安全日だから大丈夫という意味では無かったというわけだ。
げに恐るべきは……