時は冬。女神様が石になってもうすぐ1年が経とうとしている・・・
コロボックル救出数もそろそろ60匹に到達するし、住民ともなかなか仲良しだ。
採掘場最上級も制覇したし、建物も増築、新築してある。
どちらかというと建築が遅いぐらいだ。しかし彼には失礼なので心の中にしまっておこう。


冬は本当にやることが無い。
朝起きると、まずペットのぽちとにゃーこをタッチパネルでなでなで。めんどくさい時は抱っこするだけ。
そして6時1分にレコードのミニゲーム。これは失敗しないように真剣にやっている。もちろんSTARTボタンも押している。
そして地下室に行き、パイナップルとさつまいものLv上げに行く。これは本当にめんどうだ。おそらく冬でなかったら放っておいただろう。
それから外に出て、背伸びをする。今日も雪が降っているなぁなどと思いながら動物小屋へ。
なでなで、ブラシはコロボックルに任せてあるので、餌をあげるだけで動物の世話は終了。
さすがに牛4頭、羊4頭、ニワトリ8匹、アヒル4匹をタッチパネルで世話するなどやってられない。たとえ冬でも。
その後はきのこ小屋できのこに水をあげ、家に戻る。
これでまだ朝の6時半だということが信じられない。いつも時間の流れに困惑する。
家に戻ってからはバァンから買ったDVDを見る。どうやらミネラルタウンというところで放送しているものらしい。
約2時間分見て、家を出る。しかしまだ朝の6時半。・・・不思議だ。
それからは完全な自由行動。だいたい最初は散歩として町を1周する。途中であった住民に話しかけられたりして、結構時間が過ぎていく。

「やっほー、ピートくん。今日は絶好のスキー日和だねえ。こんど屋敷の坂から一緒に滑ってみないかい?」

「Σ(゜Д゜)」

「あ・・・おはようございますピートさん。・・え?わたしは今から町に仕事でして。それではまた・・・。」

「(_ _;)。0(ガンバレ)」

「食べ物ないモイ?」

「(´,_ゝ`)プッ」

「やあ!今日もいい天気だね。一緒に走らないかい?」

「( ゜ω゜);*・`;:・ブッ!!」

「モファ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

「((((゜Д゜;))))」

個性豊かだなぁなどと思いながらコロボックル救出のためサーカス予定地隣りの温泉へ行く。
1時間入っているのを200回なんてやってられないが、まぁちりも積もれば山となると言うし、一応頑張っている。
しかしきつい。温泉の中で遊んでいたり、ナマズに襲われて時間を潰していても、3時間が限度だ。
それ以上はのぼせてしまう。・・・というか3時間ってすごいな。僕。
だいたいその後はカジノでブラックジャック。運がよければ10万枚はいく。ハイアンドロウが勝利の鍵だ。
時計は午後1時をさしている。この時間になったらだいたい海でひたすら釣りをしている。飛行石って本当便利。
そして6時を回り、釣りにも飽きてくる。家に帰るには早すぎるし、かといってやることも何も無い。
この時間になって、釣った魚が手元にある時、自然と行く場所は決まっていた。
「・・・レタスのところでも行こうかな」

「・・・今度こそあの生き物を・・いやしかしこの方法で本当に・・そもそもあれは・・・ぶつぶつ・・・」
「やあ、グリル」・・・っと声をかけた瞬間ビクっと目の前にいる人の背中が震えた。
「うひょ〜〜〜〜〜〜〜〜!!な、なんだ・・・ピート君か。脅かさないでくれたまえ。今は大事な実験の計画を考えていたのだ」
「そっか。ごめんごめん。で、今日も差し入れを持ってきたよ」
膨らんだリュックの中から中魚を取り出し、グリルに渡す。
「うひょ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!いつもすまないな!もし私の発明が成功したら、きみにも1つ譲ってあげよう」
「嬉しいな。ありがとう」(異様な発明じゃなかったらいいけどね)
この前、疲労回復剤だといわれ、飲んで3日間寝込んだのが鮮明に脳裏によぎる。あんな発明ははっきり言って嫌だ。
「で、地下室に行ってもいいかな?」
「ああ。好きに出入りしていいと言っただろう。わたしはこれから実験資料の採取に行ってくる」
「わかった。気をつけて」
それを言う前にグリルは外に出て、既にドアを閉めていた。やけに急ぎ足だが、何をするつもりなのだろうか?
床に転がったプロテインや筋肉増強剤と書かれた空き瓶が気になった。
まあ科学者だからだろう、と気にせずピートは地下室へ下りた。

「あ!ピート!やっぱり来ると思ってたよ!!」
階段を下りた瞬間に元気な声が聞こえてくる。前々から気になっていた女の子、レタスだ。
レタスは人魚で、海岸に打ち上げられたところを偶然通りかかったグリルに保護されたらしい。今は地下室の風呂場に住んで?いる。
(最初はグリルの実験失敗生物かと思ったけどね)
「やあ、レタス。大魚持ってきたけどいるかい?」
再び膨らんだリュックから大魚を取り出す。
「あ!また持ってきてくれたんだ!嬉しいよ!!」
彼女は満面の笑みで魚を受け取る。彼女の笑みが明日の活力を生む・・・クサい台詞だが、今のピートにとってはまさにそうだろう。
「ところでグリルは上にいるの?」
「いや、実験とかなんとかで外に出て行ったけど」
「そっかー。夕飯はいらないのかな?ボク、まだ夕飯食べてないんだけど、ピートは?」
「まだ食べてないけど・・・」
「じゃあ一緒に食べる?ピートが持ってきてくれた魚でとびっきりのごちそう作っちゃうよ!」
これは予想してない展開だ。前にも新しいレシピの試食はしたことはあったが、グリルの実験の用事でゆっくりとはできなかったのだ。
「いいの?じゃあお願いするよ」
「やった!じゃあピートはそこでできるまで待っててね!」
そう言うと彼女は風呂から出て、台所に立つ。
人魚に水は必須だが、少しの間なら陸に上がっても平気らしい。最も、1時間ももたないが。
それと同時に、彼女が人間ではないということも重く感じられた。
子供もできなく、おそらく結ばれることもないということも・・・
「そういえばね〜、今日もグリル実験失敗して顔中煙だらけだったんだよ」
だが、そんなことを考えるよりも彼女と話していた方がずっといいだろう。
「グリルは年中失敗しているような気がするけどね」
笑いながら返事をする。

そんなどうでもいい話をしながら料理ができるのを待っていた。

「・・・・はい!できたよピート!こっちにおいでよ!」
テーブルにはおいしそうな料理が並んでいる。もちろん魚only。だが味がよければすべてよし。気にはならない。
「おいしそうだねえ」
「ボクが作った料理だからね!沢山食べてね!」
「うん、いただきまーす」
そして料理を口へと運ぶ。
「・・・どう?おいしいかな?」
「うん。おいしいよ」
やっぱりおいしい。毎日食べてもいいくらいだ。
「これだけおいしければいつでもお嫁さんに行けるね」
からかいも含めていったつもりだが、彼女の顔が一瞬で赤く染まる。
「そ・・・そんなぁ!ボクはまだ・・・・・ん、ん〜!!」
そう言う彼女の言葉が途切れ、苦しそうな表情をしだした。
「ど・・・どうしたのレタス!?」
「ん〜〜〜〜!!」
彼女は胸の上を叩いている。もしかして喉に詰まったのだろうか。
「た・・・大変だ!何か飲み物を・・・」
しかしあいにく持ち合わせは無い。人魚は普段から水の中にいるので、水は飲まないらしいので食事用の水も無かった。
「しょうがない・・・風呂場の水でも・・・」
汚いなどとは言ってられない状況だ。だがその時、水の入ったペットボトルが目に入った。
これだ!と思い、彼女に差し出す。
「レタス!これ飲んで!」
急いで彼女はそれを飲んだ。しばらくして、やっとなおったらしく、安堵の表情を浮かべる。
「・・・はあ〜〜〜〜苦しかった・・・。ピートがいきなりあんなこと言うからあ!」
「ごめん、まさか喉を詰まらせるとは・・・」
しかしまあよかったと安心するが、ピートはちょっと、ある異変に気付いた。
彼女の足、もとい下半身の魚の部分が変化している。
「・・・ピート、どうしたの?」
もはや彼女の声に反応することができない。彼女の下半身は魚の水色から徐々に肌色へと変化し、2つに分かれはじめている。
彼女はまだ気付いていないようだ。やがて、完全な人の足へと変化していった。
「・・・レ、レタス。君の足・・・・」
「え?・・・・・・ええええ!?ボクの足が・・・え!?な・・・なんで?」
原因は一つしかない。ピートはレタスに飲ませたペットボトルをじっくりと見る。
握っていた場所に1枚の紙が張ってあった。

[実験失敗薬 処理予定]

・・・・・・

どう見ても僕の責任です。本当にありがとうございました。


・・・・やってしまった、というかグリル!ペットボトルなんかに入れておくなよ〜〜〜〜〜〜〜!!と心の中で思わず叫ぶ。
しかも実験失敗薬で成功?するとは・・・奇跡というかなんというか・・・
「・・・ピート?どうしたの?何かわかった?」
彼女の声でふと我に返る。
「・・・ごめん。多分・・・




「そっかー。だからボクの足こんなんなっちゃったんだね」
「うん・・・おそらくだけど。本当にごめん・・・」
「いいんだよ!ピートはボクのこと助けてくれたんだし!グリルが帰ってくれば解決できると思うしね」
「・・・ありがとうレタス」
そういい、もう一度レタスの変化した足を見る。・・・完全に人の足だ。すらっとしていて綺麗な足。
そしてピートの視線がある部分で止まる。・・・・あれ?・・・え?人魚はもともと服なんか着てなくて・・・それが人の足に変化して・・・
レタス・・・?女の子だよね?じゃ・・・じゃあ・・・こ、ここって・・・

ピートの脳内で男としての本能が語りかける。
黒主人公「うはwwwwwwwおkwwwwwwww子作り量産決定wwwwwww」
「・・・・だだだだめだって!!そんな自分を好きかもわからない人に襲いかかるなんて!!」
黒主人公「人でいるのは今しかないんですよ。もうこんなチャンスは無いですよ。はい、子供作りましょうね」
「そっか。そうだよね。ここは1つ獣になって・・・・・ってだめだああああ!!」
脳内で黒主人公が語りかける。畜生。採掘場だけじゃなくこんなところまで出てくるとは。
黒主人公「しょうがねぇ!そしたら俺が本能の赴くままに・・・!!」
「だめだああああ!!」
ドスン!と賢者のハンマーで黒主人公を叩く。・・・どうやら勝ったようだ。
(ふぅ・・・・よかった。あやうく理性をなくすところだった)
・・・おそらくピートの脳内の黒主人公は採掘場のよりも強かっただろう。

「ピート!どうしたの?だまっちゃって・・・?」
その言葉でやっと我に返る。
「レ、レタス!早く服着て!!」
「・・・え?なんで?」
どうやら人魚だった彼女は羞恥心は無いらしい。まぁ、もともと無かった部分だし。
「いいから服・・・え〜とこれでいいや!」
ピートは持っていたかえのズボンをはくように言った。
「・・・なんで??」
「お願いだから早く〜〜〜〜〜〜〜!!」
早くしないと理性が壊れてしまう。
「う〜ん、わかったよ」
彼女がズボンをはき、やっと一段落。
「ふう。じゃあ、グリルが来るまで待っていればいいか・・・」
「うん。・・・・でも、せっかく人になれたんだから、陸の様子とかしりたいな・・・」
「えぇ〜〜〜!?」


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