ドクター×クレア・春
やれやれ…またあの…何てったっ、町外れの牧場に騙されて来たっていう…
頭を抱えてドクターはカルテをめくる。…クレア、くん、ね。
頑張ってるのはわかるんだけどこんな時間に…
ドクターはちらりと時計に目をやる。
夜の10時。エリィはとっくに帰っている。
病室のベッドには顔を蒼白にした金髪の女性が、一人。寝息をたてている。
白磁のような肌だと思う。
…こんな町に来ちゃって…都会ではどんな暮らしをしていたんだろう。
こんな町、といってもドクターはこの町を気に入っている。
彼女はこのままここの住人になるのだろうか。
ふと、クレアの口が動いた
「…ート…」
そして少し、眉根を寄せる。悲しい夢でも見ているのか。
じわり、と睫毛に涙が滲んだ。
ドクターは思わず指でその睫毛をなぞる。指にクレアの涙がついた。
なんだか可哀想になってドクターはクレアの額を撫でた。
クレアが、ふ、と力を抜くのがわかる。
何となく愛おしくなって暫くの間そうしていた。
「起きないのか…」
ふと気がつくと30分以上はそうしてぼんやりしていたようだ。
他人に触られたら目が覚めそうなものなのに、余程疲れているのだろう。
クレアが目を覚ます気配はない。
彼女が運び込まれた時は苦々しくも思ったものだが、手に触れるひんやりとした肌が、
ドクターの気持ちを穏やかにしていた。
相手は、つい最近越してきたばかりで慣れない牧場経営を…しかもほとんど荒れ地だった
町はずれの牧場で…一人でこなしている気丈な女性なのだ。
この肌も、美しい糸のような金髪も、強い日射しの下にさらされればじきにどうなるかは
目に見えている。そう思い、ドクターは額からそのまま指でクレアの髪を梳く。
指が、クレアの耳に当たる。
「ん…」
クレアが小さい声で呻く。はっとしてドクターは手を離した。
しかしその瞼が開くことはない。
もう一度、ドクターはそっとクレアの耳に触れる。もう反応しないのかと思い、
そっと首筋まで白い肌に指を滑らせた。
「ん ん…」
起きる気配はない。
軽い布団を一枚掛けているだけなので身体の線が布団の上からでもわかる。
その下は、入院患者用の綿のシャツ一枚だ。
運び込まれたときに着替えさせたのは自分なのだから、今のクレアの状態はわかっている。
しかしその時は、医者として患者としてのクレアを診ていた。
身体を楽にさせて冷やし、水分を補給し、きちんと処置を施した。
ドクターの指がクレアの鎖骨をなぞる。
もう今は点滴も外し、ただ眠っているだけのクレア。
胸のところから手を入れると膨らみが確認できる。
…さっきブラを外したのは自分なんだけど…そう考えてドクターは
自分が医者であることを思い出す。
「んっ…」
クレアが顔を反対側に向ける。あわててドクターは手を抜くが起きた気配はない。
そのかわり、白い首筋が金の髪を少し纏わせて露わになっている。
自分は…医者だ…
それでも…
まるで誘われているようだと思い、ドクターは自分の中の男を意識する。
知らず、首筋に唇を落としていた。
そのままさっき指でなぞったところを同じように唇でなぞる。
耳たぶにキスをする。唇で挟むとまた、クレアが呻く。
しかしもう止めようとか、自分は医者だからというモラルだとか、そんなものよりも
先に立つものがドクターの中にある。
布団をそっとずらして首筋に、鎖骨に、キスを落とす。
シャツの襟元から手を入れ、その中にある膨らみの…その頂点にあるものに指を伸ばす。
ゆっくりとシャツのボタンをはずし、前をはだけて、指で捏ねていた突起にキスをする。
「んっ……ート…?」
クレアが知らない男の名前を口にしたので、ドクターは顔を上げ、クレアの顔を見る。
目が合った。
「…ドク…ター…?」
一瞬、ドクターの背中に冷や汗が走る。
しかし、予想に反してクレアは、甘えるように微笑んだ。
「ドクター…ごめんなさい…私、また倒れちゃった…」
ドクターは医者としての言葉を思い出す。
「無理しちゃダメだよ。一日はここで休んでいきなさい」
クレアは「はぁい」と言いながら、腕を伸ばしてくる。
ドクターの首に腕を絡めて上半身を起こす。シャツの前ははだけたままだ。
「ね、キスして?」
クレアがドクターの頭を抱えるようにして耳元で囁く。
その体勢のまま首筋に軽くキスすると、クレアはいやいやとかぶりをふる。
絡めていた腕を離し、ドクターの顔を上目使いに見つめて、自分の唇に人差し指をあてる。
「…ここ…ここにして欲しいの…」
ドクターが唇を重ねる。最初はついばむように。
再びクレアが腕を回してくる。ドクターもクレアに腕を回す。
角度を変えて、またキスをする。今度は相手の存在を確かめるように。
どちらからともなく舌が触れ、そのまま絡みあう。
舌を絡めたまま、また角度を変えて唇を重ねる。
「ね、ドクター…触って…?」
思わずドクターが聞き返す。
「どこを?」
うふふ、とクレアは笑う。ドクターに回した腕にぎゅっと力を入れて
「いっぱい」と囁く。
ああ、もう逆らえないな、とドクターは観念する。
何にかはわからない。クレアになのか、自分の中の男になのか…。
さっき堅くなっていた胸の突起はもう柔らかくなっている。
もう一度、今度はもっと優しく触る。そこにキスしようとクレアから少し身体を離す。
「やだ、まだキスはこっちにしてて」
と言われて、再び深いキスをする。
クレアを寝台に再び横たえて胸の膨らみに手を伸ばす。
その頂上をつまむとぷくりと堅く膨らんだ。
キスをしながらそのまま指で乳房を弄ぶ。
「ああ…んっ…や…もっと…」時折クレアの漏らす声がドクターの次の行動を決めた。
左手でそっと胸の谷間をなぞり、へそを確認し、そのまま手をショーツの中へ入れる。
「やん」と、クレアが呟いたが、煽られているとしか思えない。
ドクターは少し身体をずらし、指で彼女をまさぐった。
顔を耳に寄せ「足、もう少し開いて?」と囁き、そのまま唇をクレアの胸に這わせる。
クレアは心持ち足を開き、ドクターは彼女の突起に触れる。
「やっ…」乳首を舌でころがしながらクレアの反応を見る。
「どこがいいの?」ドクターが問うとクレアは赤みの差した顔で「わかんない」と答える。
顔色が良くなったな…と、ドクターは思う。
右手で胸をほぐしながら「どうして?」とドクターが聞くと
「だって…こんなに丁寧にしてもらったこと…ない…の…」
とクレアが横を向いた。
左手で小さな突起のあちらこちらをつまんでいると
「あぁ…んっ…」
クレアの反応が良い場所がわかる。
「ドクター…そこっ…そこ…ちょっと違う…
やん…やっぱり恥ずかしい…」
そう言ってクレアが両手で自分の顔を覆った。
「ドクター…電気、眩しいよ…」
そう言われて初めて、ドクターは病室の明かりを煌々と付けていることに気がついた。
だがスイッチははるか部屋の隅。
「だめ。もう手遅れ」
そう言って意地悪い笑顔を作るとドクターはさらにクレアに刺激を与えた。
「やん…ね、ドクター、お願い…あんまり意地悪しないで…」
クレアの足が自然と開く。
ドクターはすでに十分濡れているクレアに人差し指を入れた。
「これでいい?」
そう言いながら指を動かす。
「んん…っ」クレアは反応しながらも「…もっと…」と呟く。
「もっと…何?」ドクターはベッドの上に乗り、クレアに口づけて聞いた。
「ドクターの…」一人用のベッドがぎし、と鳴った。
ドクターは指を二本入れてくちゅくちゅとクレアをかきまわす。
「僕、ズボン穿いてるし、今日は用意もしてないから」
クレアががば、と上半身を起こした。自然とドクターと向かい合って座る。
勿論その間もドクターは手を休めない。
「いいの…ね、もう我慢できないの…今日は大丈夫だから
ドクターの…入れて…」
クレアがドクターの肩に顔を埋めて囁いた。
そしてかちゃかちゃとドクターのベルトをはずし、ジッパーを下げる。
「ほら…ドクターのだって、元気だよ?」
クレアがドクターの中心にそっと触る。
そんなことはとっくにわかっている、とドクターは思う。
しかし心とは裏腹にドクターのものはクレアに軽く触れられ、なぞられただけで
より一層堅く大きくなる。
「これ…入れて…」
そう言ってクレアはドクターにキスをした。
ドクターはクレアの肩を抱き、再びゆっくりとその身体を横たえる。
もう一度乳房を口に含み、身体をずらしながら胸の突起を舌で転がす。
クレアの身体を確認して、ドクターはもう後戻りできない自分自身を取り出し、クレアにあてがった。
顔を耳に寄せて「入れるよ」と囁く。
「んんっ…んっ…あっ…」
クレアが慌てて口を手で覆った。
ドクターはクレアの深いところを探る。
「声…出しても平気だよ」それだけ言うのが精一杯だ。
初めてではないが、あまり使われていないな、とドクターは思う。
みずみずしく温かい感触に誘われてドクターは腰を動かす。
少しずつ、少しずつ、奥へと。少し推し進める度にクレアがぴく、と反応する。
ゆっくりとクレアの中にドクターは己を侵入させる。
「あ…ふぁ…やっ…」
言葉とも喘ぎ声ともわからない声を出してクレアが腰を浮かせる。
最深部と思われる場所に達した時、クレアが「ひぁっ」と声をあげた。
ドクターはそこを狙って再び腰を振る。
繋がっている部分はぐちゅぐちゅと卑猥な音をたて、身体のぶつかり合う音がし、
「あ…あんっ…あん…やっ…」
とクレアが背を仰け反らせた。声にならない声がどちらからともなく漏れる。
クレアの中がじわ、と熱を持ちドクターのものをぎゅっと締め付けた。
「あ…あんーっ」
クレアの白いのどが震える。
と、同時にドクターはクレアの中で解き放たれた。
「ん…んっ」
再びクレアが感じる。
ドクターは白濁した液の滴るものをゆっくりと抜き、ひくひくと痙攣している
クレアの透き通るような白い内股をそっと撫で、
「クレア…くん?」と声をかけた。
クレアは紅潮した顔。潤んだ瞳でドクターを見つめた。
「やだ…私、こんなになったの初めてなの…
イクってこういう感じなの?涙が…出るのね」
ドクターは優しく微笑み、キスをした。
「さあ?僕は君じゃないし…そのうちわかるんじゃないかな。
…気持ちよかったの?」
クレアはだまってこくりと頷く。
そしてドクターの首に腕を回して「ね…また…したいな…」と囁いた。
病室が暗くなった。
翌日、退院して牧場へ帰って行くクレアを見送った後、エリィがドクターに聞いた。
「彼女、大丈夫でした?」
ドクターが答える。
「大丈夫だったよ。…あれならきっと、ね…」
エリィがほっと嬉しそうなため息をついて
「良かった。彼女、この町に馴染めるかどうか不安だったんです」
と言うと
「きっとみんなととても仲良くやっていけるよ」
と、ドクターが笑い、二人は、ふふ、と意味ありげに微笑みあった。