リック×クレア・1
「なんなのよぅ…」
ダッドの店でカウンターにごん、と額をぶつけてクレアは呟いた。
あの夜はなんだったんだろう…どういうことなんだろう?
ああいうことしたらさー普通は…
「わかんない…」
カウンターに突っ伏したままクレアは呻いた。
左隣に誰かが座った気配がした。
何か注文している。男だ。…誰だっけ。とクレアは思うが、まだ声だけで
誰かわかるほどこの町の人々と接していない。
「どしたの?クレアさん」
声をかけられて顔をあげると、養鶏場の息子のリックがいた。
眼鏡をかけている優しくて純朴そうな青年だ。
「リック…さん?」
いまいち自信が無くて一応聞くと「リックでいいよ」と笑った。
「お酒、飲むんですね。意外」
クレアはなんとなく、リックが酒を飲まないようなイメージを抱いていた。
「そう?カレンに付き合ってたから飲むようになったのかな。
仕事が終わった後はここで飲むのが一番だよ」
ぴく、とクレアが反応した。
「リック…は、カレンさんと付き合ってるんですか?」
「敬語じゃなくていいし。
付き合ってる、って?ただの幼馴染みだよ?」
ふぅん、とクレアは相づちを打ってグラスを空けた。
「だってさー、朝とか一緒にいるじゃん。ああいうの、付き合ってる、って
言うんじゃないのぉ?」
明らかに酔いが回っている。しかも絡み酒のようだ。
「でも恋人とかではないんだって」
そう言ってリックは苦笑した。
「そんなこと言って実はさぁ…」
今度はふて腐れてぷぅ、と頬を膨らませ、カウンターに顎を乗せた。
ダッドが水を出してくれる。
「相当飲んだぞ?もう帰りな。リック、どうせ同じ方向だろ、送ってけよ」
と二人に言った。
「俺まだあんまり…」リックはもう少し飲みたいと思ったが「わかった」と言った。
「立てる?」クレアに聞く。クレアは「大丈夫ですー」と言いながら椅子から立ったが
やはり足下がおぼつかない。
リックが「捕まって」と言ってクレアの腕を自分の肩にかけた。
「しっかり送れよ」そう言うダッドの顔は悪戯っぽく笑っていた。
「鍵、ある?」クレアの家の前でリックが聞くとクレアが「右のポケット…」と言う。
「ま、この町じゃあんまり鍵なんて意味無いよね」と笑いながらクレアのポケットを探る。
鍵はちゃんとそこにあり、ドアも問題なく開いた。
リックはクレアの部屋に入り、後ろ手にドアを閉める。
月明かりが窓から入ってくるせいでおぼろげに部屋の様子はわかる。
ベッドにクレアを寝かせ「水でも飲めば?」と聞くと意外としっかりとした声で「飲む」と
答えが返ってきた。
薄明かりの中、コップに水を入れ、ベッドに近づく。
ふと、クレアが聞いた。
「ねぇ…ドクターとエリィってその…付き合ってるの?」
「さぁ?そう言う話は聞かないけど」
とリックが答えると、クレアは「嘘だぁ…」と呟いた。
「それよりとりあえず水飲みなよ」とリックが促しても
クレアは「だって…」とぶつぶつ言っている。
急に、クレアの視界が暗くなり、唇に温かいものが触れたかと思うと、
喉に冷たいものを流し込まれた。
「んんっ!」
びっくりしてクレアが上半身を起こす。
「水、飲んだ?」
リックはいつもの笑顔。薄明かりの中なのではっきりとはわからないけど。
コップの水を自分の口に含み、コップをサイドボードに置いてからもう一度クレアに口づけた。
今度は水を飲んでもまだ離してくれない。眼鏡が邪魔だと言わんばかりに
唇を重ねたまま眼鏡を外してサイドボードに置き、クレアの身体に腕をまわす。
そして、角度を変えてもう一度唇を重ね、舌を侵入させてくる。
「んっ…んんっ…」
クレアは目を見開いて身体を捩ったが全く抵抗できない。
リックは執拗にそして丹念に舌でクレアの口内を侵す。
歯の表も裏も、舌の上も下も、何度も何度も自分の舌を押し当てた。
その動きにクレアの身体か勝手に応える。リックの舌に自分の舌を絡め、
唇をねぶりあい、息をするのを忘れるほど何度も何度もキスをした。
はぁっ、と深い息をつきクレアは「どうして…」と聞いた。
リックは答えない。また唇を重ね、そのままベッドにクレアを押し倒す。
「んーっんーっ」
クレアはこれから行われることを予想してまた抵抗しようとしたが、
酒がまわっているからなのか、リックの力が意外と強いのか、唇を離すことさえできない。
リックに腰に跨られ、慣れた手つきでオーバーオールのボタンを外され、シャツを脱がされ、
あっという間にブラとショーツだけにされた。
それが邪魔になるほんの一瞬以外はねちねちと舌を絡められていた。
窓から、白い月が見えた。
リックが喉の奥まで舌を突っ込んでから口を離し、月の光に映えるクレアの身体を眺める。
「白いな…」
「やっ…なんで…ねぇ…リック?」
ブラの下の隙間から手を差し込み、胸の膨らみを撫でながら、リックが逆に聞いた。
「ドクターから聞いてないの?」
そう言いながらブラを上にずらすと、ぷるん、と形の良い胸が露わになった。
そのままリックが背中に手を回そうとする。
クレアが思わず背中を浮かせた隙にリックはブラのホックまで手を伸ばす。
背中でリックの手をぎゅっと挟んでクレアが口を開く。
「何を?」
左手で片方の乳房を撫で、唇をもう片方の乳房に這わせながら、リックが微笑んだ。
「なんだ。…じゃ、いいよ。何でもないんだ」
「何なのよ…?」
リックが器用にブラのホックを外す。右手を背中の下から抜いてブラを一気に剥ぎ取った。
リックの舌がちろちろとクレアを刺激する。しかし決して突起に触れようとしない。
クレアの指がぴく、と動いたのをリックは見逃さない。
「どこか、触って欲しい…?」
そう言いながら舌を乳輪に沿って這わせる。
「私の…質問に…答え…て…」
ぎりぎりの理性でクレアが聞く。
ちゅっといやらしい音をたててリックがクレアの突起を吸った。
「ん…」しまったと思いつつもクレアは反応する。
リックがクレアに跨ったまま器用に服を脱いだ。
そしてクレアにぴったりと覆い被さる。リックの中心が熱を持っているのがクレアにもわかる。
「この町には恋人同士なんていないよ…
そんなこと気にせずにみんな楽しんでるんだ…」
養鶏場で母親と妹と働いているリックと同じ人間だとは思えなかった。
囁きながらリックはクレアの下腹部に指を滑らせる。
「僕はこの町で生まれ育ったからね、それが当然だと思ってる。
都会では違うんだろうけど、ここで楽しく暮らすには
クレアさんも一緒に楽しもうよ…」
クレアのショーツの中でぷくりとした突起を見つけ、リックはそれを弄ぶ。
リックの言っている意味をクレアは考えようとしたが、それより先に快感に襲われる。
背筋をびりびりと刺激が走る。クレアはシーツを握りしめた。
「んんっ…んっ…」
内股が少し震えているのが自分でもわかった。
「これからどうする?」
リックが聞いた。止めてって言ったら止めてくれるのかな、と一瞬思ったがクレアは思わず
「もう少し…下も…構って欲しいの…」と言ってしまう。
リックがにっこり笑って「ここ?」と言いながら襞の裂け目を指で突いた。
こくこくとクレアは頷く。
「あーあ。もうぐちょぐちょだ」
指をクレアの中にいれてくちゅくちゅと音をたてて掻き回し、
濡れた指をクレアの頬に擦りつけた。
「やだ…」
「その口とこっちとどっちが正直なんだろうね?」
そう言って再びリックが指を入れる。
掻き回したり出し入れする度にぐちゅぐちゅと水分の多い音になっていく。
「ん…あっ…あっ…」
快感に身を任せていたクレアがふと目を見開いた。
「やだっ」
急に身を起こす。
「ね、お願い。リック。ちょっとだけストップ」
必死な顔になっている。
リックは黙ってショーツを一気にクレアの足下に引きずりおろした。
「やだっ…止めてっ…」
「止めない」
それだけ言うとリックはクレアの脚を持ち上げ、膝を折り曲げて目一杯広げた。
クレアからはとろとろと液体が滲んでいる。
リックはクレアにのしかかり、一気に自分自身を侵入させた。
「あ…あ…いやぁっ…お願い…っ…リック…止め…て…」
そこでリックが初めて聞いた。
「どうしたの?」
意地悪そうに微笑んでいるように見えた。
「あの…漏れちゃう…さっき…お酒…たくさん飲んだから…」
もしかして、リックはわかっていたのかも、とクレアは思った。
リックが前後に動きながらまた聞いた。
「何が?」
「いやっ…あのっ…こ…」
クレアは必死に理性を保とうと努力する。
「聞こえ…ない…」
んん、とリックが唸ってより一層奥に入って来た。
「たぷたぷしてるよ…?で、何が漏れちゃうの…?」
リックの額にも汗が滲んでいる。
観念して、クレアはぎゅっと目を瞑って叫ぶように言った。
「おしっこ!おしっこ漏れちゃうのぉ!トイレに行かせて!」
「聞こえないな…」
必死でもがいてリックの下から抜け出そうとしたがクレアには無理だった。
「おれは気にしないよ」
そう言いながらリックは動き続ける。
「出して」
クレアは尿意を我慢するのと快楽に抗おうとするので必死だ。
いやいやと首を振っている。
リックは動きを早めた。ぱんぱんと身体のぶつかる音が続く。
「んっ…あっ…あぁーーーっ」
ついに、クレアが快楽に負けた。生暖かい液体がシーツに広がる。
リックはびくびくと収縮するクレアの中に己を吐き出す。
そのままクレアを抱きしめて意地悪く囁いた。
「あーあ。健気に一人で頑張ってるオトナの女性がお漏らししちゃったね…」
クレアの顔が一気に赤くなる。
「だって、だってリックが…」
「でもこれでトイレに行く理由はなくなったよね」
クレアは、今さっき自分の中で絶頂を迎えたリックの中心が再び力を取り戻すのを感じていた。
「うん。もう、意地悪…しないで…」
そして今度はクレアからリックの首に腕を回し、唇を寄せた。
明日は洗濯から始めなきゃ、と頭の隅で思いながら…