「ラグナもそろそろ良いころだろう……」
「はい?」
酒場での団らん中、ノイマンはこんなことを言い始めた。
「お前さんが来て早一年か。そろそろメロディーと仲良く慣れているだろう」
「は、はあ……」
いったい何のことを言おうとしているか、ラグナにはまったく分からない。それでもノイマンはこう続けた。
「閉店後の風呂屋に行ってみてくれ。そこに行けば新しい何かが分かるはずだ」
夜11時過ぎ。ラグナはノイマンに言われるがまま、風呂屋の前にやってきていた。
(ここに行けば何かが分かる、か。いったい何のことだろうか)
戸をあけて中に入ると、番頭台にはいつものようにメロディーが座っていた。
「いらっしゃ……あ、ラグナさんだ」
「あれ? お風呂屋は11時閉店ですよね? もしかして時間を間違えたかなあ。。。」
「……偶然?」
「いえ、ノイマンさんに、閉店後のお風呂屋に行けば何かが分かるといわれたので……」
メロディーは懐疑な眼差しでラグナを一瞥すると、表情を和らげ、
「まあ、いいわ。あの人の口の軽さは今に始まったことじゃないし、ラグナさん合格」
「ご、合格?」
いったい何のことだろうかと、まったく分からなくなってきたラグナ。そこへ、メロディーからこんな言葉が
「メロディーの夜のお風呂屋へようこそ〜」
「!?!?!?」
「ラグナさんは初めてだから、システムを説明するね」
「し、システム!?」
「そう。ここのお風呂屋は、この町にいる未婚でいい年齢の女の子達が、花嫁修業だったりお金稼ぎのためだったりして働いているお店なの。でもね、普段から親しくしている人じゃないと、本番まではいけないわ」
「ほ、本番!?」
本番、てあれのことだよなあ。ラグナの頭の中はピンク色に染め上げられていった。
「今のラグナさんだったら……うん。いちごちゃんがベストね」
「いちご、ちゃん?」
いちご、、いちご? そんな人がこの街の中にいたっけ……ラグナの頭は新しいことを受け入れすぎて混乱し始めていた。
「というわけで、早速女湯の方に入って待っててね♪」
何がなんだかわけの分からぬまま、ラグナは女湯へ案内された。