カイ×クレア
夏が来る。春の作物を全部刈り取って、畑を綺麗にしよう。
そう思いながら起きたクレアの家のドアをノックする音。
こんな朝早くから誰なのよ、と思いつつ、ドアを開けると初めて見る顔だった。
紫色のバンダナ。日焼けした顔が健康そうな笑顔を作っている。
「初めまして。俺、カイっていうんだ。夏の間、ミネラルビーチで海の家やってるから、良かったら来てくれよ。」
それだけ言って、帰って行った。
とりあえず、クレアの家の犬はまだ子犬なので、フリスビー大会には
出られないらしい。
「つまんないの」
海開きの日、ミネラルビーチでクレアはフリスビー大会を眺めながら呟いた。
「じゃ、俺とイイコトしよ」
「うわー。ナンパの文句にしちゃ最低ね」
振り向くと、日焼けした顔に、白い歯ののぞく笑顔。カイがいた。
「俺んトコ、基本的に海の家だからさ、美味いモン作れるし」
カイが顎で示した方向には白い小屋があった。
カイの作る料理は簡単なもの、いわゆる屋台メニューだったが、どれも美味しかった。
「他に誰か呼ばないの?」
クレアが尋ねると、
「ま、今はほら…あれだし」
と、窓を指さす。まだ外では犬のフリスビー大会が盛り上がっている。
「クレアんとこの犬は…あ、呼び捨てでいいよな?」
意外なことに気を遣うんだな、と思ってクレアは思わず笑う。
「いいよ。まだ子犬なの。今日はお留守番」
「ふーん。で、何だっけ…あ、他に誰か呼ばないかっていう話し」
急にぐっと顔を近づけられて、クレアが目を見開く。
「そういうのが好きなら、誰か誘ってもいいけど?」
カイがクレアの唇を吸う。
なんだやっぱりそういうことね、とクレアは思う。
「二人でいいよ」
そう言って、カイに腕をまわす。
その瞬間、なぜか鍛冶屋の青年のことをちらり、と思い出した。
彼のことを頭から追い出し、カイにキスをする。
「イイコトってこのこと?ごはんのコト?」
そう聞くとカイは悪戯っぽく笑って
「クレアの好きなのは、どっち?」
と聞き返して来た。
「ん、もう。意地悪なのね」
とクレアが応じてカイのシャツのボタンを外す。すでにクレアはシャツ一枚にされている。
クレアのシャツを脱がせながらカイが呟く。
「俺のこと…誰かから何か聞いた?」
そういえば、誰かが何か言っていたような気がする、とクレアは記憶を辿る。
リックだ。リックが何か言っていた。
「夏だけ来て町を引っかき回して行く…だったかな」
ブラも外され、再びキスされてそのまま押し倒される。
「リックだ」
白い乳房を弄びながらカイが笑う。乳房の頂点にあるピンク色の突起が赤みを帯び、
堅くなる。そのままカイが指で突起を優しく挟む、と、突起はつん、と膨らみを増す。
「この町は好きだけど、少し…閉鎖的だよな」
敏感になった乳首に唇を這わせる。口に含んで、舌先でくりくりと舐める。
「ん…そう…かもね…」
クレアは快感に身を任せている。
「でも…こういうところだけ…開放的っていうか…んんっ」
カイが乳首を甘噛みした。
「ここに来て、開発された?」
「心境の…変化…かな…」
カイがクレアのショーツを下ろすと、クレアは自然に脚を開く。
外は良い天気。光が反射するクレアの白い肌にすっと指を落とす。
そのまま、そっと肌をなぞって脚の間に手を入れる。
「どうすんのが好きなの?」
とう言いながら、クリトリスを探る。小さな突起に触れると、クレアが反応する。
「んっ…」
再び、クレアの乳房に舌を這わせ、左手でもう片方の乳首を、右手でクリトリスを捏ねる。
「あ…ん」
ばら色の唇から切ない吐息が漏れる。
思い出しているのだろう。これまでのことを。しばらく間を置いて、
「意地悪しないで…優しく、して…?」
と潤んだ瞳で見つめて答える。カイはそれに答える代わりに、クレアの耳の後ろに
口を寄せる。そのまま、首筋にキスを落とす。
金色に光る髪の毛は、青草の香りがした。爽やかな、鮮やかな新緑の香り。
思わず、クリトリスを触る指に力が入る。
「やん…」
首筋から、丁寧に余すところ無くクレアの身体に舌を這わせる。
クレアの感じる場所に空白はなく、舌で肌に触れる度に反応する。
カイのバンダナにクレアの手が触れた。はらりとバンダナが落ちる。
ちょうどそれがクレアの顔にかかった。カイは「そうだ」と呟いて
「ね、クレアちょっといい?」
と一応言ってから、紫のバンダナでクレアに目隠しをした。
「やっ…」
「大丈夫、俺優しいから」
そう言って、丁寧な愛撫を続ける。鎖骨から腋へ舌を移し、丁寧に舐め上げる。
「やっ…そこ…恥ずかしい…」
そう言って慌ててクレアが腕を降ろそうとするのを止める。
クレアの身体は、石けんの香りが染みついている。
自然についた香りなのだろう、と思ってカイはいっそう気持ちが昂ぶる。
女の香水の香りは本当は苦手だと思う。女性は女性のそのままの匂いが一番良い。
「俺クレアのこと気に入ったよ」
そう言って、いったん、唇にキスした。
再び、乳房からその頂点にかけてねっとりと肌を湿らせる。
自分の唾液でクレアの肌が濡れている。
「ん…ね…カイ…こっち触るの…やめてくんないと私…」
そう言って、クレアが脚の間に挟んでいる方の腕を握る。
察して、わざとカイは指の動きを速くする。
「やだ…んっ…ね…こっちにも入れて…?」
クレアが腕を握ったまま、指の場所を少し下へずらす。
スリットからはすでに蜜が溢れ、入ってくるモノを期待している。
「じゃ、ちょっと待って…目隠しはずしちゃダメだよ」
ふと、カイがクレアから身体を離す。そして、間。
「きゃぁっ」
予想とは裏腹に、冷たい固体がクレアの中に押し込められた。
「カ…」
慌ててバンダナを取ろうとするクレアの肌に、汗ばんだ肌が密着する。
カイが服を脱ぎ、ついでに氷を一粒、クレアに入れたらしい。
「だーめ」
「意地悪しないって…言ったじゃ…」
抗議するクレアの口をカイが唇で塞ぐ。
「クレアが可愛いからしょうがないよ」
そう言って、みぞおちに再び唇を落とす。
「やだ…カイって口が上手い…」
クリトリスを再び刺激されて、快感が押し寄せてくる。
口からは喘ぎ声しか漏れない。
そのまま、カイはへそを丁寧に舐め、茂みに顔を埋める。
「やん…今日はそこ…汚い…」
そんなことはないと思う。そここそが、クレアの匂いのする場所。
脚を両手で広げてクリトリスを舌で突くと、クレアが背を反らせた。
「ね…お願い…下も…かまってぇ…」
小さな氷はすぐに溶けていて、クレアの粘液が少し水っぽくなっている。
スリットに口をつけ、舌を差し入れる。
「これじゃだめ?」
ぶんぶんとクレアが必死に首を振る。
顔は見えないのに、両手で顔を覆っている。
まるで初めてみたいだな、とカイは思う。
「他のモノがいいの?」
クレアは首を今度は縦にこくこくと振った。あんまり、こういうことしたことないけど、
と密かにカイは思いながら、身体をずらしてクレアに密着させる。
自分のモノはすでに屹立していて、自分も入れたいのはやまやまなんだけど、
クレアの口からその言葉を聞いてみたいと、むくむくと悪戯心が沸き上がる。
下腹に、それが入るべき場所の外側に押しつけながら、クレアに囁く。
「何がいいの?」
クレアは両手で顔を覆ったまま答えない。
「じゃないと、また氷だよ?」
いやいやとクレアがかぶりを振った。
「私のおなかに当たってる…」
「何?」
「カイの…」
カイがすっと手を伸ばして、スリットに指を入れる。
もうぐっしょりと濡れているのに、まだ泉のようにさらさらと溢れ出している。
ねっとりとはしていない。思ったよりさらさらしてるのかな、とカイは考える。
自分も入れたくてしようがないのを我慢して、指を動かす。
「これ?」
一瞬沈黙した後、クレアが思いきったように、顔から手を離した。
「もっと太いの…これ」
そう言って、カイのペニスの先をそっと触る。
「ん…」
一瞬やばいな、と思うが必死に我慢して、カイは続けた。
「ちゃんと名詞で…」
クレアがカイの首に腕を巻き付け、ぐいと自分の口を近づけて囁いた。
「…おちんちん…」
それだけで、カイは至ってしまいそうだと思った。
必死でクレアの唇にむしゃぶりつき、クレアのスリットにペニスをあてがう。
我慢の限界だったのはお互い様だ。
そのままずぶりと液体で溢れているクレアの膣にペニスを挿れる。
「あ…ん」
クレアも思わず腰を浮かせる。
一瞬、脳裏に違う青年とのことが思い出された。比べている。
あの時は、入れてからが気持ち良かったけど、今回はもう気持ち良い。
カイが腰を振るのに同調して、クレアも自然に腰が動いている。
「や…ん…ん…っ」
カイとクレアの身体がぶつかる音が白い壁に響く。
「あん…あ…あぁ…イク…最高…んんっ…」
声が漏れているかもしれないなど、二人とも考えなかった。
クレアの一番奥の、身体の中で最も敏感な場所をカイが何度も突き、
その度にクレアが嬌声をあげる。
「俺…出るよ…?」
その言葉を聞いて、クレアも絶頂で快感を掴む。
カイも「んっ…」と一声あげてから、クレアの中で果てた。
「頭の中…真っ白…」
緊張から解き放たれたクレアがぐったりとして微笑む。
「俺も…サイコー…」
そう言って、クレアにキスをして、クレアの目隠しにしていたバンダナを取った。
まだ、カイはクレアとつながったままだ。
クレアの腕を取って自分の脚の上にクレアの脚を乗せる。
「ほら、まだつながってるよ」
そう言って、クレアに結合している部分を見せる。
自分の日焼けした肌と、透き通るような白い肌が密着している。
下生えの色も、違う。
「やん…」
そう言ってクレアは目を逸らし、見ようとすまいとカイに抱きついた。
しかしそれは逆効果で、今力を使ったばかりのペニスを再び刺激される。
思わず、再び手は乳房をまさぐり、唇をクレアに寄せる。
長い長いキスをする。クレアの胸の突起も再び膨らみ堅くなり、敏感になる。
ふいに、前触れもなく、カイが呟いた。
「グレイはまだなんだよなー。多分だけど」
快感に身を任せていたクレアの頭が一瞬にしてクリアになる。
「え?どゆこと?なんでそんなことわかんの?」
「いや、今回はまだあんま話してねーから、俺がいない間どうだったかわかんねーけど、
変わってなさそうに見えたし…あいつ信じらんないぐらい興味がなくてさ」
クレアの心臓が音をたてた。
「なん…でそんなこと知って…」
言葉が出てこない。
「俺、グレイとは仲良いんだ」
いきなり、まだ自分に入っているカイのペニスがとても大きくなった気がした。
「こういう話も…するの…?」
「いや、あいつ全然ダメなんだよ」
そう言って、ふと、カイが訊ねる。
「あれ?クレアってグレイのこと好きなの?」
そんなことないよ。そんなことないよね。クレアは自問自答する。
心の中で何回も練習してから、言葉にした。
「そんなこと…ない」
そんなことないよね。クレアの脳裏にちらついたグレイの笑顔に思わず訊いた。
「そっか。…ま、ここじゃそんなこと関係ないみたいだから大丈夫だよ」
カイがよくわからないことを言って、クレアの乳房を優しく撫でる。
「それとも…もうやめる?」
そう言って、クレアから自分を引き抜こうとした。
敏感になってしまったクレアの身体はその刺激にも反応してしまう。
さっきカイのペニスが大きくなったと思ったのは気のせいだったみたいだけど。
「やんっ…感じちゃう…」
クレアが思わず呟いて顎を反らせると
「クレアが可愛いのが悪い…」
とカイが一息に言った。
「俺…また元気になっちゃったから…」
そのまま、腰をゆっくりと動かす。カイのペニスは確かに硬く大きくなっていて、
再び、クレアは快感に堕とされる。
「んっ…またイッちゃう…」
クレアが言葉を発する度に、カイは自分が興奮するのを感じた。
思わず腰を前後に動かしている。
「やぁっ…あん…イイよ…」
クレアの膣がカイのペニスをぎゅっと締め付ける。クレアの襞に肉棒を擦り付け、
再びびくびくと律動するクレアに刺激されてカイもまた吐精した。
クレアの中が弛緩した隙に白い粘液をまとわりつかせてカイはペニスを引き抜いた。
脚の筋肉がひくひくと震えている。
「おなか、空いたんじゃねぇ?一休みしたら、メシ作るから」
そう言って、またクレアにキスをした。
フリスビー大会は終わったようだった。それにも気づかなかった。
そして。
二人が快楽の只中にいる時に、海の家のドアをノックした人間がいたことも
知らなかった。
彼女は中から漏れ出る声が聞こえたのだろう。
すぐに扉を叩くのを止めて、足音を忍ばせて海の家を離れた。
ピンクのウエイブが、その切なげな顔にかかっても、払おうともしなかった。