リック×リリア
「リーック」
少女のように微笑む母に呼ばれる。
夕食の後、一息ついている時。この時間に呼ばれる用事は決まっている。
いつから始まったのかわからない、親父がいなくなった後ではあるんだろうけど。
母の部屋に入り、後ろ手に鍵をかける。
「…リリアさん…来たよ」
この部屋に入り、母と二人っきりのときは、母さんと呼ばずにリリアさんと呼ぶ。
「うふふ」
長い髪を揺らしてリリアが笑う。
部屋は暗いが、月の光が柔らかくリリアの姿を浮かび上がらせている。
ポプリとそっくりだ、とリックは思う。
夏なので、薄い木綿の夜着を着ている。真っ白で裾が長いそれを着る母は、
昔童話に出てきた時を止められたお姫様のようだと思う。
それか、妖精の踊る輪の真ん中に座っている女王だ。
病弱なのは周知だが、無理をしない分、年齢が容姿に表れていない。
リックの方が少し背が高い。
リリアが腕をリックの首に絡めて少し背伸びをする。
リックがリリアの腰に腕を回し、身を屈める。
「今日もお疲れ様」
まるで恋人のようにそう言って、唇を重ねる。
抱き合い、何度もキスをして、ベッドに倒れ込む。
リックが先に服を脱ぎ、下着だけになってリリアの夜着を捲り上げる。
風呂上がりのリリアは石けんの香りがして、リックを誘う。
今日は、先にこっちからかな、と考えてリックはリリアの脚の間に顔を入れる。
「やん…いきなりなの…?」
と言いながらも、リリアは脚を大きく開く。ショーツを引きはがし、
もう既に場所を覚えているクリトリスをつまみ、弾き、丁寧に捏ねる。
「あ…ん…」
リリアの口からため息が漏れる。リリアは自分で胸に手を当て、乳房を揉んでいる。
「リリアさん…我慢できないの…?」
リックが苦笑して、リリアの夜着を脱がせ、乳房の突起も同時につまむ。
「…だってぇ…」
その口から漏れる言葉は少女のままだ。
「私もリックのしたい〜」
そう言って、リリアが体勢を入れ替える。
二人とも、ベッドの上に身体を投げ出し、お互いの性器に口づける。
リリアがリックの下着を降ろし、ペニスを取り出してぺろりと舐める。
リックがリリアのクリトリスを舌で転がす。
「やぁ…ん」
どうしてこの女性はこんなに煽情的な声を出すのか。
リリアの喘ぎ声を聞く度にリックのペニスに血液が集まる。
この声をいったい何人の男が聞いているのか。
自分が面差しを受け継いだという男は、どんな声をリリアに出させたのか。
そう思うと、リックはもっとリリアを鳴かせたくなる。
リリアのクリトリスからさらに奥へと舌を這わせ、スリットに向かう。
片足を持ち上げて、深いところを探る。
クリトリスを指で捏ねながら、スリットに舌を差し込む。
そこはもう甘い蜜が溢れていて、じゅるっと音をたてて啜る。
「やん…リックのエッチ…」
ペニスを喉の奥まで銜え込みながら、エッチと言われても、とリックは思う。
リリアも、じゅぷじゅぷと音をたててリックのペニスを吸っている。
「あ…ん…リリアさん…すげーイイ…」
「だってリックのいっつもおいしい…」
丁寧にペニスの先端にある切れ目から膨らみ、くびれまでリリアは舌で確認する。
「これ…アソコに入るともっとイイの…」
アソコに入れる前に一回吸い出されてしまいそうだとリックは思う。
リリアの口はそのくらいいやらしい。
出す声も、その行為もどちらも暗がりの中では男を虜にする。
自分は昼間のことは知らないが、大陽の光の下でも同じだろうと思った。
そのことは、海辺に住む男が知っているかもしれない。
魔性の女とはまさにこの女性のことか、とふと思った。
案の定、くびれを吸われ、裏筋をしゃぶられて、リックの方が先に音を上げる。
「リリア…さん…っ俺…もう…」
「イイよ〜。お口に頂戴…」
その一言で、リックがリリアの口の中に吐精する。
リリアはしっかりとそれを口に含んで、ごくりと飲み込む。
「かわいい…大好き…」
そう言って、まだ少し液体が垂れているリックのペニスをもう一度舐める。
堪らず、リックが体勢を変える。
リリアの唇に自分の唇を重ねる。
そのまま、少しずつ身体をずらす。耳たぶを甘噛みし、耳の後ろにキスをし、
鎖骨を吸う。片手で乳房の突起をつまんで捏ねながら反対側の乳房に口づける。
きっと昔も同じことをしたんだろうけど、と頭の片隅で考える。
今は目的が違うのに、とおかしくなる。
乳首を舌で転がしては捏ねていると、リリアがぴく、と反応する。
「あん…リック…下のお口が寂しい…」
もう一度、脚の間に手を差し入れる。
クリトリスを軽く弾くと
「ひゃんっ」
とリリアが鳴いた。
「リリアさん、ここ触られんの好きだよね」
「ん…大好き…」
「でもこっちの方がもっと好きでしょ?」
そう言って、スリットに指を入れる。
ぐりぐりと指を動かす。
「今日はどこがイイの?」
「あんっ…どこ…でも…好き…リックに触られるとこはどこでも気持ちイイ…」
リリアの答えにリックの血液が再び集まってくる。
「だって…リックとするの大好き…だもん…」
リリアの手がリックのペニスに伸びる。
「うふふ…ちょっと元気になった…?」
そう言って、先端を軽く撫でる。その指先が余計にリックを刺激する。
「ね…頂戴…?」
迷いなく、リックがリリアのヴァギナにペニスを挿れる。
「あ…あんっ…」
さすがに、経験豊富なだけあって、感度が良い。
経験値とは関係ないのかもしれないけど、とにかくリリアは感度が良かった。
まだ先端しか挿れていないのに、もう反応している。
「リック…いっぱいして…」
リックが腰を前後に振る。
「あぁ…ん…あ…んっ…やん…気持ちイイよぉ…」
リックの腰の動きにあわせて、リリアの腰も動き始める。
ふと思いついて、リックがリリアに口づける。
「ね、今日はもう一つやってみようよ」
「ん…なぁに?」
すでにイキかけているリリアがぼぅっとして答える。
リックがリリアをいったん抱きかかえ、くるりと後ろを向かせて四つん這いにさせる。
「やぁん…これ…いつもより感じちゃうの…」
そう言いながらも、リリアは膝をついたまま腰を突き出す。
もう一度、ヴァギナを確認して、リックがペニスを挿れる。
「違うところに当たるんでしょ?」
「そうみたいなのぉ…」
前後に腰を動かしながら、リリアにペニスを挿れていく。
リリアも前後に腰を振る。
「やん…奥まで…奥までクルよぉ…」
長いピンクの髪が背中を覆っている。
その上にリックは覆い被さり、リリアの両手を握って、頭を下げさせる。
「やぁっ…もっと…もっと…」
リリアが顎を反らせてリックに強請る。
奥を突くたびに、リリアの口からよがり声がでる。
「すごい…リックのイイよぉ…頭が…変になっちゃう…」
リリアの身体が揺れるたびに乳房が揺れ、その乳房を後ろからリックが掴む。
「やぁんっ…あん…リック…やめてぇ…っ」
もうリックは止まらない。
「そんなにイイの…?このままイク…?」
「うん…良すぎて…気が遠くなっちゃう…でも…イクときはリックの顔見てたいのぉ…」
迷わず、リックはリリアの顔が見えるようにリリアを動かした。
「ちゃんと、脚あげててね」
リリアは少女のように素直に従う。その方が快楽に溺れられると知っているから。
脚を大きく開いて自分で持ち上げ、リックを迎える。
リックは一気にリリアを貫く。
「あ…あ…あぁああんっ…!」
脚は上げたまま、手を離して、腕をリックの首に絡める。
リックが動くたびに、リリアの指がリックの背中に食い込む。
「あっ…あんっ…」
リリアがリックの唇にむしゃぶりつく。
激しいキスを交わしながら、リックがリリアの奥を突く。
「やぁっ…イクぅ…っ…イッちゃうぅ…っ」
ついに、リリアの背中に電流が走る。思わず唇をリックから離して、仰け反る。
リリアの中がかっと熱くなって、どくん、と収縮し、リックのペニスから精液を絞り出す。
リックはリリアの中で、自分が通って来た場所に、再び自分を解き放つ。
二人が同時に弛緩する。
「リックぅ…」
譫言のようにリリアが呟く。
「なぁに、リリアさん」
そう答えるリックも息が上がっている。
リリアは、文字通り、男の精力を吸い尽くす。
「今日も素敵だったぁ…ん…」
そう言って、キスをせがむ。
「リリアさんも最高だよ…」
リックがリリアの唇に自分の唇を重ねる。
まるで恋人同士のように、また何度もキスをする。
そのまま、しばらく裸で抱き合ってキスを交わす。
永遠のお姫様。妖精の女王。魔性の女神。…なんでもいい。
生まれたままの姿のリリアは美しく、その存在感はタブーも倫理も簡単に超える。
きっと、この女性からは逃れられない。
この部屋で、この暗がりの中での関係は、白日の下では違うものになるのかもしれない。
それでも、リリアが存在し、この部屋がある限り、この関係は続く。
リックは満ち足りた気持ちでリリアの部屋を出る。
次の朝、日の光を浴びれば、この想いが霧散し、重い罪の意識となって襲ってくるのに。
それでもいいと、刹那的な幸福感にその身を浸す。