アン「性欲を持て余す」
いつものように冗談を言うレディ・アンに、ラグナは苦笑いで返す。
「はい、お願いします・・・今日は、本当に。」
「ん?どーしたの。ミストちゃんと喧嘩でもした?」
「いえ、別にそういう訳ではないです・・・ていうか何か変な勘ぐりしてませんか?」
「ハハハ。ごめんごめん。冗談。で、何かあったの?」
「昨日の台風で飛んできた倒木で、屋根に大穴が開いてしまって。
夜中にそれで目が醒めたんですけど、風がすごいから応急処置も出来なくて。
結局家中水浸しになってしまいました・・・。」
「あらー。それは災難だったねぇ。」
「えぇ。ノイマンさんに修繕をお願いしましたけど、しばらくかかるみたいです。
いつもは寝袋で仮眠とかもしてるんですけど、ちょっと昨夜の寝不足のせいで
調子がよくないので、今日はご厄介になります。」
「はいよー。今日と言わず屋根が直るまでご厄介になってくれていいんだけどね。
・・・お客さん来ないし。」
・・・そして深夜・・・
(ふぅ。ミストさんの事根掘り葉掘り訊かれたってそんなに知らないよ、僕だって。
ていうか、カブ好きって事すら教えてもらえてないって、不憫を通り越して面白いな。
・・・結局11時か。早く寝ないと明日また辛いな。)
ザッハから開放されて、暗い廊下でウーン、と背伸びをする。
階下の自室に戻って寝ようと足を動かそうとした矢先、耳慣れない音が耳に入った。
やけにくぐもった、苦しそうな声・・・のように聞こえるそれは、奥の部屋から漏れてきていた。
(アンさんの部屋から・・・?ドアが少し開いてる。まさか不審者とか・・・。)
しっかり者のレディ・アンがドアを開けっ放しにするとは考えにくかった。
ゼークスが何やらきな臭い行動を取っているらしい、というゴドウィン町長の言葉が頭をよぎる。
(武器は・・・自分の部屋だ。どうしよう・・・)
そうこうしている間も音は止むどころか次第に激しさを増しているようだった。
一度アンの声のように意識してしまうと、もうそうとしか聞こえなくなる。
ゼークスの剣士に縛り上げられて転がされ、責め苦を受けているアンの姿が脳裏に浮かんだ。
(取りに戻る時間はない・・・早くどうにかしないと!)
足音を忍ばせて近づき、隙間から様子を伺う。
極度の緊張で口の中がカラカラに乾いていた。唇を湿し、唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえる。
(敵が一人なら不意をついて・・・アンさんだけでも何とか・・・)
常夜灯に照らされた薄暗い室内。
暗がりの中、ベッドの上に誰か居る。何やらもぞもぞと動いているが、何をしているのかはよくわからない。
部屋に居るのは、その独りだけのようだ。
(・・・?)
「んっ・・・ふ・・・ぁぁ・・・んん」
くぐもった声は尚も続く。
先ほどよりも近い分、はっきりと聞き分ける事が出来た。
アンの声だ。
部屋に独りだけ。当然拘束もされていないし、責め苦を受けているでもない。
(これって・・・え?)
目が慣れてきた。
ベッドの上のアンは、下着姿だった。
うつぶせになって、お尻を突き出すように膝を立て、股間に手を這わせている。
角度的に、こちらにお尻を向けている格好だ。
(アンさんが・・・オナニー、してる・・・)
はっきりとそう認識した途端、先ほどまでとは違った意味で口の中がカラカラに乾く。
部屋中あちこちに向けていた意識が、ベッドの上のアンの痴態に一気に集中する。
洞窟のわずかな光でも周囲を見分ける夜目は、常夜灯に幽かに浮かぶアンの肢体をはっきりと捉え、
遥か彼方のシフト装置の動作音を聞き逃さない地獄耳は、アンの口から漏れる喘ぎを的確に拾い上げる。
アンは下着の上から秘部をこすり上げている。
もうそれなりの時間続いているのか、下着はぐしょぐしょで秘部に張り付いており、
その下の陰毛や秘肉を浮かび上がらせていた。
時折下着を巻き込みながら指を奥に突っ込んでは、淫らにお尻をくねらせる。
いつもはスカートに隠されているそのお尻や、スリットからチラチラ見える
ふとももが魅力的なスラリとした脚が、今はただただいやらしくうごめくそのギャップに、
ラグナは自分でも不思議なほどの興奮を覚えた。
(あのアンさんが・・・こんな風にいやらしくなって・・・エッチな声出してる・・・)
残念ながらその表情は見えないが、アンは枕に顔を押し付けて声を抑えているようだ。
それでも大分昂ぶっているようで、漏れてくる声は段々大きく、激しいものになっていく。
「ふぅっ・・・ふっ・・・あくぅ・・・んむぁ・・はぁ」
胸をまさぐっていた片方の手を口元にやり、指を2本、口に含む。
「ふぅぐ・・・ピチャ、ピチャ、ジュブ、ジュル・・・んぷぁ」
念入りに、淫靡な音をたてながら指を湿らせて、股間にやる。
待っていた方の手で下着を脇にずらし、2本の指を絡ませて秘部に挿入した。
「・・・んぁっ!ーーーーっ!・・・ふぅ、ふぅ、ふぅ」
背筋を反らせて短く啼き、慌てて枕に顔をうずめ、息を整える。
その間も腰はクイクイと小刻みに振られ、突っ込まれた指はグチョグチョと水音を絶やさない。
「あぁあ・・・もう、駄目、我慢できないよ」
熱に浮かされたような口調でそう呟くと、突っ込んだ指を猛然と動かし始めた。
空いた方の片手はまた口元に持っていって、自分の愛液にまみれた指を舐めしゃぶる。
「やらしい味・・・ペチャ、ジュルル・・・レロォ、ジュプ、ジュプ」
そのまま上下の手指をピストンさせて、激しい水音を口と股間から上げさせる。
昂奮しすぎて息が続かないのか、最早枕に顔をうずめる事もなく、嬌声を響かせていた。
「あっ!んっ!んっ!ふっ!・・・んっ!・・やぁ、指曲げると、イイよぉ・・・ここ、イイ・・・」
そう呟くとアンはゴロンと仰向けになり、上体を起こすとパンティに手をかけた。
「・・・っ、ンもう、邪魔だね」
脚から抜いてベッド脇に落とされたパンティは、板の間にべちゃっ、と音を立てた。
「濡らしすぎだよ、全く・・・こんなに溜まってるのも、全部アンタのせいなんだ・・・」
そう呟いたアンの表情は、一瞬哀しみの色を帯びたようにラグナには見えた。
(亡くなった旦那さんのこと・・・思い出してるのかな・・・)
何となく覗いている自分が酷く情けない存在に思えてきた。
アンの大切な想いを勝手に踏みにじっているような、そんな罪悪感。
しかし、その罪悪感すら、背徳感ともども昂奮の燃料にしかならないところにまで
ラグナは昂ぶりきっていた。目が離せない。少なくともアンがイクまでは・・・。
あらわになった股間を思うさま弄り回すアンの両手。
手慣れたその動きは、独り慰める夜が長い間続いている事を想像させた。
クリトリスを押しつぶしながら秘部に突っ込んだ指をぐりぐりと回す。
いつの間にか指は3本に増えていた。
「ぅあぅ!あぅっ、あ、あ、あ、うんっ、ん、ふぅあ、あ!」
首をぶんぶん左右に回しながら、嬌声を上げ続ける。
「んやっ、やぁ、腰、跳ねちゃう、よぉ、あなた、あなたぁあ!あ!!」
記憶の中の亡夫に身体を委ねて昂ぶっていくアン。
ラグナは瞬きする事さえ忘れている事に、目がヒリヒリと痛みを訴えてからやっと気が付いた。
「んあ、あ、あ、あ、あーーー、ふう!うぁ、あっ!あぅっ!ああ、ああああああ、イキそ、
あ、イクよ、ねぇ、あなた、イク、イクっ・・・」
ぐぐっと腰をせり出して、四肢を緊張させるアン。絶頂が近い。
だが、腰がせり上がっているせいで上体はベッドに沈み込んでいる。
(イク顔・・・見たいかも・・・)
ラグナは、思考が完全にぶっ飛んでいる事を自覚していなかった。
無意識に半歩前進し、顔が見えないかと首を伸ばす。
薄く開いていたドアの隙間は、ラグナの身体が通り抜けられるだけの幅はない。
自然、ラグナの身体で押し広げられるようにドアが開いていく。
少々ガタが来ていたそのドアは、ぎぎぃ、ときしんだ鳴き声を上げた。
家主様、ここに覗き魔が居ますよ・・・そう告げるかのように。
「・・・っ!!だ、誰だいっ!!」
慌てふためいた声を上げながらも、アンは足元に蹴り寄せてあった毛布で身体を隠してドアの方をにらみ付ける。
絶頂間近で真っ赤に染まったその顔と潤んだ瞳で射すくめられたラグナは
(色っぽいなぁ・・・)
などと、ぶっ飛んだ思考のまま、ぼんやりと見惚れるのだった。
「・・・いつから見てたんだい。」
「・・・ごめんなさい。」
「だから、いつから覗いてたんだって訊いてるんだよ、ラグナ?」
「い、いつからでしょう。ちょっと解らないです。途中からなのは確かなんですけど。」
とりあえず軽く身支度を整えて、ラグナを室内で詰問する。
汗や愛液のにおいが残っているが、居間で問い詰める訳にもいかないし、散々覗かれた後に気にしても仕方がない。
「まっったく!とんだ出刃亀泊めちゃったもんだよ。そもそもどうしてこんな時間に二階に居るんだい。」
「いえ、それはかくかくしかじかで・・・」
「ザッハの馬鹿か・・・。それにドアが開いてた?・・・確かに閉めたはずなんだけどねぇ。
まぁウチも大概ガタが来てるしね。昨日の台風で立て付けが悪くなったのかもしれないけど・・・。」
そう呟いて考え込むパジャマ姿のアンをぼーっと眺めるラグナ。
下着を替えて、軽く身体を拭いただけだから、乱れた髪やうなじに貼りついた後れ毛はそのままだ。
まだ赤いままの頬も、火照りが引いていないように見える。
(アンさん、結局イケてないんだよなー・・・僕が邪魔しちゃったから)
一度ぶっ飛んだ思考は中々戻らないらしい。見当外れな事を考えながらアンを見つめていると、ふと顔が上がる。
「・・・なんだい?思い出してるのかい?」
怒ったような、照れたような、拗ねたような、微妙な表情でにらみ付ける。
ラグナの目には、化粧の施されていない素顔のアンは、にらみ付ける表情も可愛らしく映った。
「だっ大体、こんなおばさんのいやらしいところ見て喜ぶなんて、悪趣味もいい所だよ。
トルテが知ったら世を儚んでギガント山から身投げしちまうよ?」
「な、なんでトルテさんが出てくるんですか。」
「・・・あーあーそういう奴だったねこの朴念仁。じゃあミストちゃんならどうだい。」
「いやだから、別にミストさんとは何でもないですって。母子揃って勘ぐりすぎですよ。
ていうか、アンさん全然おばさんじゃないですから。バリバリ現役ですから。」
「・・・あのねぇ。今そんな事言われたって、自分の趣味を正当化しようとしてるだけに聞こえるよ?」
そもそも覗きがバレて怒られている所で「貴方は魅力的です」などとのたまうのはどうなのさ、と
頭の片隅でツッコミながら視線を下げると、ラグナの股間が目に入った。
(・・・おっきくしたまんまじゃないか、全く・・・。)
ゆったりめのパジャマの上からでもハッキリと解るほど勃起したそれを想像しようとするが、
実物を見たのなんて何年前の事やらで、ちっとも思い描けない。
(そういえば、結局アタシイッてないんだよね・・・ラグナに邪魔されたから)
頭をよぎる亡夫の顔。じくじくと内側から責め立ててくる甘い疼き。
ラグナが一生懸命に褒めちぎっているのを聞き流しながら、悶々と考え込むアン。そして。
「・・・ねぇ、ラグナ。アタシだけ見られたんじゃシャクだからさ。アンタのも見せてよ。」
まともな思考が出来なくなっているのは、寸止めされたアンも同様であった。
「・・・はい?」
「はい?じゃないよ。アタシの散々見といて、自分だけ見せないのは卑怯じゃないか。見せな。」
「な、なんですかその理屈〜!?」
「ていうか理屈がどうとか言い返せる立場かい、この出刃亀。
お互い恥ずかしい思いをしてチャラにしてやろうって言ってるんだからありがたく脱げばいいんだよ。」
「いや、あの、でも・・・」
今更前かがみになってもじもじしているラグナを見ていると、トルテの部屋を掃除している時に
机の上にあった本を思い出した。
(「ショタ」とか言うんだっけ、こういうの)
何の気なしに読んだその本は、幼さの残る少年と淫靡な行為にふけるという内容で、その時は
何とも思わなかったが、こうして恥ずかしがるラグナを見ていると、
なるほどこれはこれでグッとくるものはあるかもしれない、と娘の趣味が少し理解できた。
散々愚図るラグナを脅してみたりなだめてみたりするうちに、ようやく覚悟が決まったらしい。
「じゃぁ、脱ぎ、ます・・・!」
そう言って目をぎゅっと瞑り、ズボンとパンツを一緒に引きおろした。
パンツのゴムにひっかかったペニスがばちんっっと反動でラグナの下腹部を叩く。
「っ・・・ふーん。結構立派なもんだねぇ。」
適当だ。夫のものしか知らないし、その記憶すら最早薄れていて比較なんて出来ない。
それでも、勃起した男の下半身をじかに目にした衝撃は、アンの女の部分を疼かせた。
「先っぽから何か漏れてるよ?そんなに昂奮してたのかい?」
顔を真っ赤にしながらアンの言葉に耐えるラグナ。見られていることを意識してか、ペニスは時折ひくひくと自己主張する。
「しょうがないねぇ。こんな状態で廊下歩かれたんじゃ他のお客さんに迷惑だ。
小さくしてあげるからおとなしくしてるんだよ?」
そう言ってラグナの前にしゃがみこむアン。
「ちょ、ま、見るだけじゃないんですか!?」
「だってアンタずっと大きくしたまんまじゃないか。待ってたらいつ収まるか分かったもんじゃない。
こんなになってる所、めいさんあたりに見られてごらん?その場で切り捨てられるよ?」
しゃがんでしゃべるアンの呼気がペニスにあたる。
見上げるアンの表情は今まで見たどの時よりも昂奮しているように見えた。
ラグナは素直になる事にした。
「・・・分かりました。お願いします・・・。」
「ん。じゃ、触るからね・・・。」
自分の声が自分の声じゃないみたいにかすれている。
そっと竿の部分に指を伸ばし、上から下につつーっとなぞる。指先から伝わる熱気にアンは身震いした。
根元まで来たところで、そのまま軽く竿を握る。
掌全体が灼けるように熱い。ペニスがどくどくと脈打っている。
ほぅ、とため息が漏れる。亡夫のモノがどうだったか、やはり明確には思い出せないが、
これをどう扱えばいいのかは、ちゃんと思い出せた。
軽く握ったまま手を上下させてシュコシュコと竿を擦る。
ラグナの口から押し殺したうめき声が漏れ、ペニスがどくんと大きく脈打った。
先走りの雫が更にふくらみ、遂には亀頭部から滴り落ちる。
手に絡む粘液の感覚に陶然としながら、擦るスピードを徐々に上げていく。
「先走りで少しはすべり良くなるかと思ったけど、ラグナのが熱いからすぐ乾いちゃうねぇ・・・。」
「ご、ごめんなさい」
「仕方ないから、湿らせるよ・・・んっ」
そう言って竿に舌を這わせる。最初は舌先でくすぐるように、次に舌全体で舐め上げるように。
顔を近づけると鼻を突く、男のにおい。掌から、舌から伝わる、ペニスの熱さ。
記憶の奥底に亡夫の感触を探す余裕は、もうなくなりそうだった。
「唾もすぐ乾いちゃうよ・・・ホントしょうがないねぇ、このやんちゃ坊主」
「だって・・・アンさんの手とか舌とか、気持ちよすぎて、痛いくらいなんですよ、これ。
こんなになったの、初めてかもしれません。・・・記憶失う前の事は分かりませんけど。」
何となくカチンと来た。ラグナの過去の相手よりも劣っている可能性がある、とわざわざ言われたような気分だ。
ショタの本では、焦らしに焦らして自分からおねだりさせるような展開だったが、それはもういい。
「銜えるよ・・・ぁむ」
「え・・・ぅわぁ!アンさん、ちょ、待って・・・んはっ」
亀頭部を口に含み、舌でエラ回りをチロチロとなぞる。唾をタップリと垂らして、竿をしごく掌のスピードを更に上げた。
「アンさん、アンさんてば、激しすぎですよ〜!?うあぁあっ、んっ」
「ンジュル、ジュプ、んぷぁ・・・ごめん、止まんない」
「止まんないって、何で、うぅぅ・・・キクなぁ、これ・・・」
粘膜で直接ペニスを感じて、もうどうにも我慢が利かなくなってしまった。
(・・・んー、こんなにおしゃぶり好きだったっけなぁ・・・)
わずかに残る理性で、亡夫との営みを思い出そうとしてみるが、やはり無駄だった。
とにかく今は、口の中のペニスを堪能したくてたまらない。
舌を亀頭に絡めながら唇をすぼませてピストンする。併せて手では竿の下部をしごきたて、
あまった方の手では睾丸をやわやわと揉みしだいてやる。
「・・・っ!アンさん、アンさん・・・」
うめくように名前を呼びながら、アンの頭部に両手を回してそのまま行為を続けて欲しい事を暗に伝えるラグナ。
「ぅむぅっ、んむ、ジュルル、んむぁ、ぷふぅ、んっんっんっ・・・んぁあ」
口の中に広がる先走りの味が濃くなってきた。
「ンジュ、ジュブ、っぷあ、はぁ、はぁ、もうイキそうかい?」
「・・・は、いっ!」
「りょーかい、いつでも好きなときに出していいからね・・・んむ」
再度銜え込み、今まで以上に強く擦りたてる。ラグナの腰もアンの頭のピストンに合わせてクイクイと前後する。
喉の奥を突かれてえづきそうになるのをこらえながら、ラストスパートをかける。
頬がへこむほど強く吸い上げながら、竿をごしごしと擦り上げると、乗せられていたラグナの手が、
ぐいっとアンの頭を引き寄せた。喉の奥の奥までラグナのペニスに犯されて、ふんふんと鼻で啼くようにして
かろうじて呼吸しているところで、発射の時が来た。
「ア、ンさ、出、っっ・・・!っ!」
「んぶっ、ん!んぶ、ん、んぐ、んく、ん・・・ふぅー、んふぅ、んふぅ」
ペニスが震える度に補給される精液を次々に嚥下していく。喉の奥に迸りがたたきつけられる度に目の裏が白熱する。
飲み下す時の何ともいえない感触。鼻から抜けていく青臭い性臭。
飲みきれずに口から零れ落ちた白濁がつつ、と顎を伝って膝の上に落ちた。
それを追って目をやると、自分の股間の下に大きな水溜りが出来ているのに気が付いた。
(・・・アタシ、ラグナの飲みながら、イッっちゃったんだ・・・)
ようやく全てを出し切ってラグナが脱力したところで、ペニスから口を離す。
「っぷはぁ!いっぱい出したねぇ〜。精液で溺れ死ぬかと思ったよ。」
「・・・ぁ!ごめんなさい!僕、頭無理矢理・・・」
「ん、大丈夫大丈夫。それより、キレイにしたげるから、もう少しジッとしてるんだよ。・・・んちゅ。」
「うあ!ちょ、アンさん!?」
亀頭に吸い付いて、残っている精液を吸い上げる。白濁にまみれたペニスに舌を這わせて、舐め上げて掃除してやる。
エラの裏側まで、舌先でこそぐようにして徹底的に。舌で感じる精液の味に、アンは身体がまた疼きだすのを
自覚していた。もうそれを否定する気にも、押さえ込む気にもならなかった。アンの「女」は「男」に飢えていた。
掃除が終わる頃にはラグナのものは再度屹立していた。
「あらら、ホントしょうがないねぇ、ラグナは」
「いや、しょうがないってアンさん・・・わざとでしょう?」
「んー?何がだい。とりあえずこのままじゃ部屋まで帰れないし、もう一度だねぇ。」
「・・・ねぇ、アンさん。このままじゃ僕だけ気持ちよくしてもらって悪いですし、
今度は僕がアンさんにしてあげたいんですけど。」
そうだ。元々はラグナがアンの痴態を見たのだからアンもラグナの恥ずかしいところを見ておあいこ、という話なのに
ラグナは今こうしてアンにイカされてしまった。これではまた不公平だ。そういう理屈。
この場でしかまかり通らない、ぶっ飛んだ思考の理屈。
「ん・・・じゃぁ、ベッドに行くかい?」
「は、い。・・・行きましょう。」
アンにすんなり受け入れられた事に、ラグナは身震いした。
「じゃあ、服を脱いで横になりな。」
「え、でも」
「いいから、早くする。」
とりあえず素直に上も脱いで、ベッドに仰向けに横になる。
「アンさん、言うとおりにしましたけど・・・あ」
とアンの方を見ると、アンも裸になっていた。オナニーしていた時とは違い、下着も上下共にはずしている。
「じゃ、はじめようか。」
ラグナの視線を照れたような笑いで受け流し、ラグナの上に覆いかぶさる。が、頭の向きが逆だ。
「え、と、アンさん?」
「気持ちよくしてくれるんだろ?こっちもやってあげるから、頑張りな。」
あむ、とラグナのペニスを頬張り、舌で歓待する。そろそろラグナの弱点も分かってきた。
舌先で鈴口をくじりながら唇を締め上げてカリも刺激してやる。
「ぅああ・・・アンさん、それ駄目です・・・」
「ンジュ、レロ、チュポ・・・ホラ、そっちも、ね・・・んむ」
「あぁ、もう・・・わかりましたよぅ」
ラグナの手が腰をなで上げ、お尻を揉みしだき、太ももを鷲掴む。
火がつきっぱなしのアンの肢体は、それら全てを快感として受け止めて、秘部から滴る蜜へと変える。
ついにラグナの指がアンの股間へ到達し、指で秘肉を割り開いた。
アンの内部がラグナの視線に晒されるのを最後まで防ごうとするかのように、粘り気の濃い愛液が糸を引きながら左右に別れた。
「アンさんの中、すごい事になってますよ・・・」
「し、しかたないだろ・・・こんな事、久しぶりなんだから・・・ていうか、見てるだけなのかい?」
「んー、見てるだけでもアンさんのヒクヒクして、ドンドン蜜出てくるんですけどね。」
「アンタねぇ・・・アタシを焦らすつもr・・・ぃあう!!」
唐突にラグナが指を突き入れた。
「コ、ラぁ・・ぁあ!い、きなりィ・・・んあ、あん・・・んっ!ああ!あ!」
「確かさっき、こんな感じでやってましたよね?アンさん」
「んあ!あ!あ!駄、ぁ目ェ!そ、れ駄目、駄目、クイクイしちゃ駄目だって、あぅん!」
膣内で指を折り曲げて、襞を弄ぶ。アンがオナニーの時にやっていた事を真似してみたが、反応がものすごい。
嬉しくなって、ラグナは更に続けた。
(ちょっと・・・人にされるのって、こんなに違ったっけか・・・!?)
アンはあまりの快感の強さに恐怖すら覚えた。夫と死別して以来、独りで慰めてきた時のそれとは文字通り桁違いだ。
ラグナの指が3本に増えた。指を絡ませて奥までピストンしたかと思うと、3本バラバラに滅茶苦茶に蠢かしたりする。
予期できない刺激に翻弄されていた。軽い絶頂感が延々と続いていて、頭がおかしくなりそうだ。
「ああああ、んひっ、ひあう、あん、あん、ん、ん、ンジュル、むぷぁ、ジュジュジュ・・・」
必死に目の前のラグナのペニスを愛撫する。頬擦りして、銜え込んで、すすり上げて、男の味を堪能する。
秘部からの刺激は若干弱まるものの、自分が口腔愛撫で昂ぶってしまうので、プラマイゼロだ。
針が振り切れる寸前のラインから一向にテンションが下がらない。
互いの秘部から上がる淫らな水音と喘ぎ声だけが、しばし場を支配する。
「んむ、ジュル、アンさんの蜜、濃くなってきましたね・・・エッチな味、しますよ。」
ラグナの舌が襞を直接舐め上げて、どろりとした愛液をこそぎ落とすが、次から次へを溢れ返ってくるのできりがない。
「んあ、んふぅ、ん、レロォ、ラグナのも、ヒクヒクして・・・イキそうなんだろ?ぁむ」
「んっ・・・そうですね。・・・でもアンさん、まだ僕、触ってないところあるんですけど・・・」
「んーんー、んむぁ、はぁ、はぁ、・・・んぇ?」
思い至った時には手遅れだった。
「ちょ、ヤダ、待って、今クリ触られたら・・・やあああ!」
「あ、簡単に剥けるんですね・・・真っ赤に腫れてて、敏感そう。」
「や、やぁ、駄目ェ、いっ、あああ、駄目ェ、駄目ェ、触っちゃやだってば・・・」
「さっきはたしか・・・こう」
そういいながらラグナは首を持ち上げるとアンの秘部に吸い付いて舌を出来るだけ奥まで突き入れると同時に、
真っ赤に腫れあがったクリトリスをぐっ、と押しつぶした。
「!!ヤ!イッちゃうって、これイクの、イク、イク・・・・んううううううううううううう!!」
腰をラグナの顔にぎゅうぎゅう押し付けながら絶頂に打ちのめされるアン。
無意識に手の中のペニスをぎゅう、と強く握り締めた。
「ぅあ!・・・ぐむ・・・んっ!」
顔中にアンの愛液を浴びながら、予期せぬ刺激をペニスに受け、ラグナも2度目の射精に至った。
(−あー・・・精液、喉で受け損なっちゃったな・・・)
ペニスからどくどくと吹き上がる精液を顔で受け止めながら、朦朧とした意識の中でそんなことを残念に思うアンだった。
「んちゅ、ん、ペロ・・・んく」
当然のようにラグナのものを掃除し始めるアン。飛び散った精液を舐め上げ、舌の上で転がしてから嚥下する。
ラグナもアンの愛液を舐め上げては飲み下していく。
そうこうしているうちに行為は後戯から前戯へと変わり、ラグナのものは三度屹立した。
(結局、いくところまでいかないと満足しないんかね、あたしは)
まだ躊躇する理性が今の自分に残っている事が少し意外で、アンは苦笑いした。
「大概タフだねぇ、ラグナも。まぁたこんなになってるじゃないか。」
「アンさんだって、舐めても舐めてもドンドン垂れてきて、きりがないですよ。・・・満足できませんでした?」
「なんでそう微妙に癇に障る物言いするかねアンタは・・・。」
ラグナの上からゴロンと転がり、横に仰向けになる。
これは自分で言わなくてはいけない。ラグナから言わせては、言い訳が出来てしまう。
目を瞑り、亡夫の顔を心の奥にしまい込み、カギをかける。口を開く。
「・・・しようか、ラグナ。」
「はい。アンさん。」
ラグナはいい子だ。アタシの中の色々なものを、きちんと汲んでくれてる。アンにはそう思えた。
ラグナはアンにのしかかり、唇を重ねる。さっきまで互いの秘部を舐めしゃぶっていた舌が、
新しい粘膜同士の交歓に悦び、夢中で絡み合い、吸い付きあう。
「んちゅ、んぐ、ん・・・ぷぁ。ゴメンね、ラグナ。アタシ胸小さくてさぁ。あんまり楽しくないだろ?」
胸に手を這わせるラグナに、苦笑いしながらそう告げる。ラグナはにこりと笑って
「いえ、触っていて気持ちいいですよ、アンさんのおっぱい」
そう言って慎ましやかな膨らみに指を沈める。ふよふよと優しい手応えの中で、乳首だけが声高に自己主張していた。
「・・・ここも、ぷっくりして可愛いですし。」
乳首をつまみあげて、軽く押しつぶす。もう片方の乳首に口を寄せて、舌先でコロコロ転がした後に強めに吸い付いた。
「んんっ、ホント、物好きだねぇ・・・ん、ちょっ、強いってば・・・んあ」
今までの行為では受けていなかった新鮮な刺激が頭を痺れさせる。それでなくても前戯は済んでおり、我慢の限界だった。
胸に吸い付いているラグナの頭をかき抱き、耳元でささやく。
「・・・ね。もうさ、いいかい?」
「・・・分かりました。」
アンの膝を割り開き、腰を進める。
先端を軽くめり込ませたところで、視線を上げて目を合わせた。
「行きますね。」
「ん・・・おいで。−・・・っあー・・・んっんんん!」
一気に奥まで挿入する。散々ほぐしているので大丈夫だろうと思ったが、意外に強い抵抗を感じる。
「大丈夫・・・でしたか?ごめんなさい」
「んっ・・・久しぶりだからねー。ちょっとビックリした。はは・・・」
そう言ってアンが身じろぎするたびにキュッキュッと締めつけてきて、最初はきつかった膣内は
いつの間にか程よい圧迫感になっていた。
「もぅ・・・大丈夫だから。ラグナのしたいようにしてくれていいよ。」
「じゃ・・・動きますよ・・・ん」
「んふっ・・・ん、あ、ん・・・」
ゆっくりと動き出したラグナの腰は、徐々に激しさを増していく。アンもそれに合わせて腰を
振りたくり、いつしか激しい水音と腰を打ち付けあう音が響き渡るようになっていた。
「んぁあ!ぁあ!あ!これ!これぇ!これ・・・ぇえ!」
熱く脈打つペニスを奥底まで突っ込まれる感触。
力強くかき回される腰の動き。
組み敷く上半身のたくましさ。
耳元で聞こえてくる激しい息遣い。
体中で男を感じて、長い間眠っていたアンの女の部分が完全に目を覚ました。
「イイよぉ・・・ラグナ・・・気持ちいい・・・っ!それ、あ、今のそれ、もっと・・・んん」
両脚をラグナの腰に絡みつかせ、突き入れられるタイミングに合わせてぐっと引き絞る。
これ以上入らないところまでペニスが到達し、その感触に髪を振り乱して泣き叫ぶ。
口から淫らな啼き声が迸るのを抑える事が出来なかった。声高らかに快感をアピールし、
もっと攻め抜いて欲しいとおねだりする。
「んやぁ、あん、耳噛むの気持ちいい・・・んふあ、んあ、あっあっあっあっ」
コリコリと耳を甘噛みされながら短いストロークで奥を連打される。
(ショタとかどうとか、そんなの見た目だけじゃん・・・トルテじゃ荷が重いね、ラグナは)
逞しく激しく攻め抜いてくるラグナにすっかり身を委ねて、思う様快感をむさぼりながら、
我が娘の初恋相手の品定めをこんな形でしている自分はなんなんだろう、と少しだけトルテに申し訳なく思った。
「っ、ねっ、ラグ、ナ、も、イク、から、ね、ねぇ?んんっ、あ、あ、あ、あ、あ」
濃密過ぎて、時間の感覚が曖昧だ。あっという間なような気もするし、長い事こうして
腰を振っているような気もする。いずれにしても、もう持たない。
「ふっ、は、はい、僕、も、もう、出し、ます、から、ん、ん、ふっ、ふ」
「ラ、グナ、ね、口、ふさいで、ね、声、出すぎ、ちゃうから、さ、ね、イク時、ね」
「わかり、ましたっ、いつでも、どぞ・・・ふ、ふぅ、うん」
大きめのストロークを何度か繰り返した後、一気に奥まで突っ込んで小刻みに突き上げる。
このままアンをイかせるつもりで、息を止めてひたすら腰を振りたくる。
「あっあっあっ、ラグナっ、イク、イキそ、んあ、あぃ、うあ、あ、あ!!」
ラグナの背中に回されたアンの両手が、背中をかきむしる。
腰に回された両脚は今までで一番強い力で締め上げてきた。
キスをして、アンの背中に回した両腕にぐっと力を込めた。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!ー!・!!・・・」
腕の中でびくんびくんと痙攣するアンの四肢。
組み付いた両腕両脚は更に強く締め上げる。
そして絡みつくとも吸い付くとも締め付けるとも名状しがたい膣内の動き。
散々耐えてきたものを手放して、アンの最奥に白濁をぶちまけた。
一際強く痙攣したアンの四肢が脱力し、くてん、と頭が落ちた。
「ん・・・」
「あ、気が付きました?」
「−あー・・・ラグナ。・・・ん。凄かったよ。今何時だい?」
「はは・・・どうも。時間は・・・ちょっとこっからじゃ時計見えませんね。」
「・・・で。何でまだ中に入ってんの、アンタ。」
「あ、いや。アンさん気持ちよさそうに失神してるんで、何か動いたら悪いかなーって・・・。」
「ふーん。そうこうしてる内に、また回復しちゃったと、そういう訳ね。」
「・・・はい。ごめんなさい。アンさんの中ひくひく締め付けてくるもんだから、気持ちよくて。」
「どーすんのよ、これ。」
「できれば、その、もう一回協力していただけると・・・」
「・・・ハァ。そんな子供みたいな顔しといて、どんだけタフなんだか、全く・・・」
そう言いながら上体を起こし、ラグナの首に腕を絡める。
「んちゅ・・・ん。このまま、するかい?」
「今度はその・・・後ろからしたいんですけど・・・駄目ですか?」
「調子乗ってまぁ・・・。」
軽くねめつけてから、腰を離す。ちゅぽん、と妙に可愛い音がしてラグナのペニスが抜けた。
何だかお腹が寂しく感じる。早くまた埋めてもらないと・・・。
四つんばいになって、腰を持ち上げる。
「これで、いいかい・・・?」
「はい・・・いきますね?」
アンの腰を両手でがっしりと掴んで、ずぶりとペニスを突き入れる。
そのまま猛然と腰を振ると、アンも膝と腰を使ってテンポを合わせた。
行為に急速に馴染んでいる自分に少々呆れながらも、快楽に身を委ねてラグナのものを堪能するアン。
ポニーテールが別の生き物のように踊りまわる。
見えないところで、時計は午後1時を指していた。
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結局屋根の修繕が終わるまで、ラグナは1週間程宿屋の世話になった。
居心地が良かったので、折角なので・・・と周囲に説明するラグナの顔は
いつも寝不足で疲れているようだったので、周囲の者は首をかしげるばかりであった。
そして修繕が終わった後も・・・
「何、泊まってく?」
アンの冗談は、別の意味を持つようになった。