どきどき魔女裁判!

「メロディさん、貴女魔女ですね?」
「・・・はい?」
11時過ぎ、営業終了後のお楽しみの入浴タイム。
服に手をかけた格好でメロディは固まった。
「いきなり何よ、ミスト」
「他の人たちの目はだませても、このあたしの目は誤魔化せませんよ」
得意げにほくそえんで、ずびし、と指指す。
「その服装は、何処からどう見ても魔女です!」
「・・・今更何言ってんの?昔っからこの格好でしょ?
まぁ、確かに魔法使いにはなりたかったけどさぁ、結局お風呂屋やってるし。
そもそも魔法使えて何か問題あるの?」
「魔女は魔女でも貴女は悪い魔女です。」
「は?」
「ここに匿名の投書があります。
カルディア在住、牧場手伝い、10代男性からのお便り」
「ラグナじゃん」
「カミュさんかも知れませんよ?こんな時でも思い出してもらえないなんて報われないですねカミュさん」
「いや誰でもいいけどさ」
「『その日は疲れてたので、早くお風呂に入りたくて、3時になるのをお風呂屋の前で
待ってたんですよ。で、さぁ3時になったと思ってすぐさま入ったら、まだカウンターに
誰も居なくて。さすがに急ぎ過ぎたかなーって思ったその瞬間!
今まで誰も居なかったカウンターに突然メロディさんが現れたんですよ!
やー、びっくりしました。メロディさん、魔法使えたんですね。』・・・以上です。」
「やっぱラグナじゃん」
「いや誰でもいいんですよ。問題なのは貴女が瞬間移動の魔法を使える事を
ひた隠しにしているという事です!何かよからぬ事を考えているに違いありません」
「それは仕様よ!アタシと結婚したらお風呂に入れなくなるのも仕様よ!アタシのせいじゃないわよ!!」
「ホラ、だんだん本性を現してきましたね。何を言ってるのか全然わからない」
「あたしも何言ってるのか良く分からないけど、アンタに言いがかりを付けられてる事だけは分かるわ。」
「そ、し、て。誰も見たことが無いとまで言われるこの魔女っ子帽子の中には・・・っ!」
「あ、こら!」
「ホラ、魔女っ子アンテナが」
「只の寝グセよ!」
「またまた。妖気に反応してるんですよね?」
「だとしたらアンタの方指してなきゃおかしいと思うんだけど」
「そこから針を飛ばしてあたしを亡き者にして口封じをしようと言うのですか。怖いですね」
「ホントに飛ばせたらそうしてやりたい気分になってきた・・・」
「このまま押し問答をしていても埒が明きませんね。仕方ありません。
本当はここまでしたくなかったのですけど。」
よいしょ、とリュックを下ろして、中を物色するミスト。
「メロディさん、貴女を魔女裁判にかける事とします。」
ずびし、とメロディを指差すミスト。今度はその手に鳥の羽を持っていた。


「・・・はぁ?」
仕事終わりの楽しみを邪魔され、ミストの変なお遊びにつき合わされて、
メロディの苛立ちは最高潮に達していた。
「魔女はその身体に契約の刻印を持っているそうです。この羽で、貴女の身体に
隠された刻印を暴いて見せましょう。」
「それ、単なる鳥の羽よね?」
「はい。ラグナさんからお借りしました。他にも色々魔女審判グッズを用意してありますよ。」
「また勝手に家入って物色してきたんでしょ?いい加減ラグナも怒るよ?」
「平気ですよ。私大家ですから♪」
にっこり笑ったミストは次の瞬間、目にも止まらぬ早業で距離を詰めメロディの両手を拘束する。
「わ、ちょ、痛いって!」
「丈夫なツルです。いくら魔女でも簡単には切れませんよ〜」
「今のアンタの身のこなしの方がよっぽど人間離れしてるんだけど」
「ごめんなさい、毛糸の方がお肌には優しいとは思ったんですけど、すぐ切れそうだと思って」
「そんなことで文句言ってるように聞こえた?」
「魔女の言う事は聞きません。さーて、始めますよ。」
心底嬉しそうに羽を構えて、
「どーこーにーあーるーのーかーなー・・・?」
ぎりぎり当たらない位置で、あちこちに動かす。
柱にくくりつけられたメロディに出来る事は、身を捩る事がせいぜいだ。
「ちょ、ちょっと〜。もうホント勘弁してよ〜・・・ぅひゃあ!」
ブーツを脱いだ素足の指をこしょこしょと撫で付けられる。
「とりあえず、下からいきますね」
そう言いながらも、羽を動かす手は休めない。
脛、ふくらはぎ、膝、膝の裏、太股・・・。
時に強く、時に弱く、行きつ戻りつ、フェイントも交えて、絶妙な責めを展開するミスト。
「うひゃ、や、くすぐったいってば、ちょ、あはっ、ははははっ」
「まだ余裕がありますねぇ。もう少し上まで・・・」
「ちょ、ヤダ変なところくすぐらないでよ、あひゃっ、くくくくっ、ひ〜」
内モモを責め上り、スカートの内側、パンティラインを何度か往復させたところで羽は離れていった。
「んー・・・ここは後回しにして・・・」
「は〜〜、は〜〜、は〜〜・・・死ぬ・・・」
「大分弱っているようですね。これが利くという事はやはり魔女で間違いありません」
「だから〜、ホントもう、冗談キツイってば・・・」
「まだ白状する気になりませんか。強情ですね」
鎖骨、首筋、耳と縦横無尽に這い回る羽。
疲れ果てて身もだえする気力すらなくなってきたメロディは、時折びくっと身体を振るわせるだけだ。
「顔、赤くなってきましたね。そろそろですか?」
羽を持ち替え、棒状の根元を鼻先に突きつけながらミストが問う。
「ふ〜、ふぅ〜・・・な、何がよ・・・」
「刻印、浮かんできたんじゃないですか・・・?こ・こ・と・か!」
そう言って、硬い根元をメロディの乳首辺りに検討をつけて突き立てる。
「ぃいったあああ〜い!」
「あら、ホントに当たっちゃいましたね。よ〜しよ〜し痛くないですよ〜」
「ちょ、やめてよ・・・指でそんな風に・・・やっ」
優しく乳首をなでさするミストの指を、押し上げるかのように乳首がツン、と立ってきた。


「むむ。これは更なる審問が必要のようです。」
そう言ってリュックを漁るミスト。その手に取り出したのは
「じゃーん。毛刈りバサミです。」
「ひぃっ!ちょっと・・・そんなもの使ってどうする気よ・・・?」
「こうするんです・・・よっと!」
ミストの手が閃き、あっという間にメロディの着衣がパンティ一枚残して切り刻まれる。
「こ、こぉらあ〜〜!なんてことすんのよぉ!」
「大丈夫ですよ。帽子だけはあちらに残しておきましたから、アイデンティティーの維持もバッチリです。」
そう言いながらハサミから羽に持ち替えたミストが半裸のメロディに歩み寄る。
「では、引き続き羽による審問を行います」
「・・・うっうっ。あたしが何したっていうのよぉ」
着衣に隠されていた部分を重点的に責めていくミスト。
腰骨、脇腹、ヘソ、指の間から腕を辿って、二の腕、脇の下。
いい加減くすぐったさよりも変な気分の方が強くなり、変な声を出さないように
堪えるのにメロディは必死だ。
「ぁは・・・っ、んーー・・・くぅ、ははっ、はぁ・・・んっ!」
「そろそろ白状したくなってきたんじゃないですか?メロディさん」
顔を近づけ、乳首を羽でサワサワしながら囁く。
「はぁ、んく、な、何も白状することなんて、ないって、ばぁ・・・んん」
「むー。羽じゃあ決定力に欠けますね。どうしましょう。」
顎に指をあて、ん〜、と考え込むミスト。メロディの胸をちらっと見やり
「搾乳器・・・は使い甲斐なさそうですし」
「アンタに言われたくはないっ!!」
「あ、元気になった」
「どー考えても
サラさん>(中略)>アタシ>ロゼッタ>フィル>アンタ>めいさん=セシリア
でしょうがぁ!」
「何ですかその主観と希望が入り混じった適当なランキング。公式設定ないからって言いたい放題ですね」
リュックに戻ってごそごぞし始めるミスト。
「とうとうあたしにこれを持たせてしまいましたね・・・後悔しますよ。」
そう言って振り返ったミストの手には
「・・・何それ」
「ラグナさんの釣竿の先っぽです。捨てられたから、強化する時に余ったんでしょうね」
竿を両手で弄び、びよん、びよんとしならせながら説明するミスト。
「・・・で、それで何しようってのよ」
恐る恐る訊ねる。
「プランBに変更です♪」
「・・・は?」
「プランAが真綿で首を絞めるようにじわじわなぶる、
プランBがハード路線でビシバシ責め立てる、
プランCが言葉責め、放置プレイなどのマニアック路線、などをご用意してきました。」
「どれだけ念入りにあたしをいじめるつもりだったのよアンタ・・・」


「こういうの初めてなので、力加減分からないんですけど、痛かったら我慢して下さいね?」
「何よその覚悟しろよ的な宣言は・・・」
「『痛かったら言ってください』って言っておいて『痛い』って訴えると
『もうじき終わるから我慢してください』って返してくるエド先生よりは良心的じゃないですか」
「ちょっと納得しちゃったけど、とりあえず今あたしが痛い目に遭う理由はないのよね・・・」
「理由ならありますよ。メロディさんが悪い魔女だからです。」
ヒュンッ、と風を切る音を立てて、竿が振り下ろされる。
ぴしぃっ!
軽い、乾いた音が響き渡り、メロディの脇腹に赤い筋が浮かび上がった。
「・・・ぃいいい〜〜!」
「んー、見た感じ、出血もしていないし、今くらいでいいみたいですね」
「や、いや・・・」
涙目でフルフルと首を振るメロディを無視して、続けざまに竿で打ち付けるミスト。
叩かれた部分が熱を帯び、じんじんと疼く。
「ここは、手応えが違うのかな・・・よっと!」
「いたぁっ!」
「あ、やっぱりちょっと柔らかい感じ。薄くても胸は胸ですねー」
「・・・また乳首当たってるっての・・・うぅ」
「あら・・・ごめんなさいねー、ん」
赤く腫れあがった乳首に吸い付いて、舌で転がす。そのまま、他の叩いた跡にも舌を這わせていく。
「ぅあ・・・やぁ」
じんじんと火照る肌が唾液で冷やされて心地よい。舌のヌメヌメとした感触が、
晴れ上がって敏感になった肌に快楽を刷り込んでいく。
舌の通った後が唾液でてらてら光っているのがいやらしい。
「・・・と油断させたところで釣竿でどーーーん!」
びしぃっっ!
「いたぁああああああ!」
内モモを痛打されて絶叫する。脱力していた所に、肌の弱い部分への一撃。強烈だ。
「んふふ〜、分かってますか?メロディさん。これは魔女裁判なんですよ?」
竿の柄で乳首をぐりぐり押しつぶしながら、パンティの上からメロディの股間をこする。
「こんな風に濡らしちゃって、あんな扱いされて感じるのは魔女の証拠ですね♪」
「だ、だから魔女じゃないっつうの・・・」
「んー、口の利き方がなってない魔女ですね〜」
下着ごと指を割れ目にぐいっと押し込んだ。
「ひゃあ!あ、あたし魔女なんかじゃありません〜!」
そのままぐちゅぐちゅと下着を巻き込んで秘部を刺激し続けるミスト
「うーん、背中にもないし、いよいよここ以外刻印がありそうな場所はないですね。」
そう言ってパンティに指をかけるミスト。
息を荒げたメロディは抵抗する余力もなくされるがままだった。


「あの〜・・・、何、してるんですか?」
耳に入ってきたのは、毎日聞き慣れた彼の声。
がばっ、と顔を上げて、視界にその姿を捉える。
そう言えば、作業が立て込んだ時などは11時過ぎに訊ねてくる事もあった。
そういう時も常連のよしみで、風呂を使わせてあげていたのだ。
お風呂の神様は私を見捨てていなかった。
「・・・ラグナっ!助けてぇ!このカブ女が、カブ女があああ!」
顔を真っ赤にして視線を逸らすラグナ。
「あ、ラグナさん。今悪い魔女のメロディさんを懲らしめているところです。」
「何だかミストさんの方が悪い魔女に見えますけど・・・。」
「あら。酷いですねラグナさん。毎日寝起きする家とお風呂、どちらが大切ですか?」
「いや、そういう怖いネタはいいですから。早くメロディさんを解放してあげてください。」
「もう、折角『SM』ってやつが分かってきた感じだったのに、残念。」
「・・・は?」
「トルテさんがこっそり図書館で読んでたんです。『百合』とか『SM』とか。
何が楽しいのかなぁって思って実践してみたんですけどね。SMはともかく、百合はいまいちですね。」
「じゃ、じゃぁ魔女がどうとかって・・・」
「言いがかりに決まってるじゃないですか。メロディさん、詐欺とかに気をつけて下さいね?」
ツルを解き、荷物をちゃっちゃとリュックにしまいながらしれっとそんなことを言うミスト。
メロディはへなへなとその場にへたり込んでしまった。
(・・・トルテ・・・アンタ趣味広いね・・・)
「さ、帰りましょうかラグナさん。」
「え、あの、はい・・・」
あられもない姿のメロディを直視できないラグナは、顔を背けたまま
「あ、あの、メロディさん、また明日来ますから・・・その、お休みなさいっ!」
ミストに背中をおされるまま、お風呂屋を後にするのだった。


「・・・結局、プランCまで実行してるし」
中途半端に火をつけられて疼く身体を持て余しながら、柱にもたれかかるメロディ。
風呂に入ったらミミズ腫れ染みるだろうなー、等とぼんやり考えながら、
明日トルテに「そっち系の趣味の本読む時は回りに気をつけろ」と忠告してやろう、と心に誓うのだった。

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