ラグナとミスト
「ラグナさん、六軍団を作りませんか?」
雨の日の午後は暇らしいミスト。
それゆえに梅雨時ともなるとラグナの家に入り浸る日も多い。
どこから持ってきたのかはわからないが、暇つぶしの本をダラケ読みしながらミストが言った。
「作りませんか? って言われても、何が何だか……」
ラグナの言葉は尤もな話だ。目の前の女の人の唐突性やら天然性やらは理解しつつも、思考までは
読めるはずもない。いきなり六軍団と言われても、話は通じないだろう。
「六軍団は六軍団です。今回ぜークス帝国が攻めてきたときは幸運にも何とかなりましたが、
次に攻めてきた時はどうなるかわかりません。そのための六軍団です」
何を興奮しているのか、身振り手振りを交えつつ説明するミスト。どうやら手に持っている本は
漫画のようである。
「はぁ」
「もうメンバーも決めてあるんですよ」
テンション高めなミストについていけないのか、締まらない返事なラグナ。
「不死騎団!! 黄泉の世界から誘われし、不死身の軍団!! 死を恐れぬ者の戦いは全てを滅ぼします!!」
「はぁ、ファストとメロウですか」(鎌持ってる死神っぽい奴ね)
「氷炎魔団!! 灼熱の炎と凍てつく吹雪から生まれし生命体!! 彼らは全てを燃やし尽くし、全てを凍らせます!!」
「えっと、ツンドレとイグニですか」(火と水のやつ)
「妖魔士団!! 比類なき魔力を操り、強力な魔術を駆使する魔術師達!! 彼らの振るう魔法は全てを破壊するでしょう!!」
「メイメイとウィウィですか」(杖持ってるやつ)
「百獣魔団!! 凶暴な力と凶悪な野生が溢れる獣の軍団!! 彼らが蹂躙した後は何も残りません!!」
「……ここだけ多いですね」
「超竜軍団!! 最強の生物と名高いドラゴンの軍団!! 最強の軍団に相応しい力で敵を圧倒します!!」
「ドラドラしかいませんね」
「魔影軍団!! ……はわたしがやりますね」
「ミストだけに……ですか」