ミストとリネット 鬼畜
「私に、罰をください………」
リネットは、一糸纏わぬ生まれたままの姿で、そう懇願した。
「………さて、今日も一日、何事もなく終わったか」
ミストの家で、宛がわれた部屋から傾いた月を見つめながら、リネットは小さく呟いた。
彼女の座る机には、開かれたままの一冊の手帳と羽ペン。
羽ペンを戻し、手帳を閉じたリネットはそれを本棚に戻した。
他には、何もない。
元々ほとんど無一文の状態でこの村にやってきたリネットに、そうたくわえがある訳でもない。
それにリネットは居候の身分として、あまり家具等を購入するのは控えていた。
今でも軍服を着てすごしているのは、それが理由でもある。
「………そろそろ時間、か」
トントン
「……リネットさん、お時間ですよ」
扉の向こうから、ミストの声が聞こえてくる。リネットはびくりと肩を振るわせた。
「……ああ……すぐに、いく」
その吐息は、熱く濡れていた。
「良い夜ですね」
月の輝く夜のした、ミストは上機嫌で"飼い猫"をつれて散歩していた。
村はずれにあるミスト宅近辺には、人工の灯りがなく、夜の本当の暗さと星の明るさのコントラストがどこか不思議な雰囲気をかもし出している。
また、夏真っ盛りだが街とちがって川が流れ洞窟の口が近辺に開いている事もあり気温は低く過ごし安くもあった。
そわそわとした風が、ミストとモ飼い猫モの毛を揺らす。
「ふふ、気持ちい風です。そう思いませんか、リネットさん?」
「………はい」
ミストが右手から下げた紐の先。そこに、飼い猫は繋がれていた。
ややクセのある、紅いショートの髪。普段は強気な瞳を潤ませ、首には紐と繋がった大きな首輪。真っ白な肌が、夜の闇にぼんやりと浮かび上がっている。
裸の、リネット。
「さ、急ぎましょうか。ラグナさんも待ち焦がれてるでしょうし、誰か人に見られたら事ですよ?」
「は、はい……」
ぐい、と紐を引かれながら、リネットは早足のミストについていく。
それも、両手をついた猫さながらの四つんばいで、だ。
体を隠すようなものもなく、隠す事もできないリネットの背後に回れば、その隠された茂みが丸見えになる事だろう。
それも当然。
今のリネットは、人間でなく猫なのだから。
「………どうしました、リネットさん?」
「……あ、あぅ……な、なんでも、ありません」
不思議そうに声をかけるミスト。だが、それが形だけであるのは丸分かりだった。彼女はうっすらと微笑を揚げたまま荒く息をつくリネットに近づくと、その背後に回りこんだ。
途端、巻き起こる甘い悲鳴。
「んぁああっ!ミ、ミストさん、そこ……はぁぁああっ!んっ!んあ、ああぅっ!!」
「ミスト、様でしょう?飼い主を呼び捨てなんて、いい身分ですね」
「あぁぁっ!あ、お、お許し、くださ……んんんんっ!」
ぐちぐちとリネットの秘所を指でこねくり回すミスト。たまらず、リネットは地面に上半身をついた。お尻を上げるようになった彼女の秘所を、なおもミストは攻める。
「それに、なんですか、これは?うふふふ、裸で首輪をつけて引きずり回されて喜ぶなんて、真性の変態軍人さんですね。いや、リネットさんは人間じゃなくて猫だから、変態猫ですか?」
「はぁっ、んあ、ううんっ!ミ、ミスト、さまぁああっ!?」
「うわ、凄い粘りよう……流石に自分から望んだだけはありますね?べとべとですよ?」
微笑を浮かべたまま、リネットを攻めるミスト。彼女は愛液でぎとぎとになった膣に指を突き入れたまま、親指でぷっくりと膨らんでいた豆を刷り上げた。
「ぁぁぁぁああぁぁあああああっ!!?ち、違う、違うのぉっ!」
「何が違うんです?ラグナさんに、罰をくださいっていったのはリネットさんでしょう?」
「んぁぁあっ!は、はうぅんっ、あっ、あっ、ぁあっ!?」
「全く……こんなに喜んでたら罰にならないじゃないですか。やっぱり、リネットさんは変態の中の変態ですね。罰をください、ってのもこういうのを望んでたんじゃないですか?ねえ?そう言えば優しいラグナさんはこうせざるを得ないって!ね!?」
「なああああっ!!」
ぎゅり、と剥き出しになった豆を潰されて、リネットは絶叫した。
ぷしゅ、と秘所から潮を吹いて、そのままぐったりと地面に倒れこむ。
「ふふ……」
ミストはその様を見て、薄く笑いながら右手を口元にもっていった。リネットの愛液でべとべとの指を、ぺろりと嘗め揚げる。
「……あ……」
「こらこら、気をやるにはまだ早いですよ?これからラグナさんの牧場にいって、たっぷり家畜達に可愛がってもらうんですから。それとも何です?」
ミストはリネットの顔をつかみ揚げて、その瞳を覗き込んだ。
そこに、普段の元軍人としてのリネットの顔はない。ただ、悦楽に流されて我を失っている雌の顔があった。
「ラグナさんに頼んで、また牧場まで連れて行ってもらいますか?ふふふ、無様でしたね、あの時の貴女。バッファモーの背中に張子を入れたまましばられて、ひぃひぃいいながら牧場に連れて行かれたんでしたっけ」
「あ……あ……」
ミストの言葉にその時の言葉を思い出したのか、リネットは体をぶるりと振るわせた。白かった体は真っ赤に染まり、乳首は立ち、秘所からはしとどに愛液が漏れ出す。
「………でも残念。そんな事したらラグナさんは今晩は満足しちゃいますからね。何が何でも、牧場までつれていきますよ。さあ、さっさと立ちましょう」
「う……」
よろよろと体を起こし、再び四つんばいになるリネット。その姿を、ミストは微笑を浮かべたまま見守る。
「そう。それでいいんですよ。貴女は」
「は、はい……。ミスト、様ぁ……」
「ふふふふ。良い顔ですよ。悦楽におぼれた、最低の雌猫の顔……」
わざと強く紐を引っ張るミスト。首輪に引きずられるように、リネットがおぼつかない足取りで後を追う。
彼女の通った後に、土が黒く湿っているのは見間違いではないだろう。
「昨日は……ウルフェンでしたっけ。今日は……何がいいですか?ふふ……アントに卵を産みつけられる、というのも得がたい経験だと思いませんか?」
「……あ……ああ……」
ミストの顔に邪気はない。まるで、蟲の脚をもいで遊ぶ幼子のように。
「……ふふふ、本当にお馬鹿な人。ラグナさんは何もかも許してるのに、罰を求めるなんて……。それじゃ、私だって本気にならないといけないじゃないですか」
くすり、という微笑。
「……ラグナさんから相談された時の私の気持ち、分かります?私はね、ラグナさんを傷つけた貴女の事、本当は許せなかったんです。本当なら、めちゃめちゃにしてやりたかった……けどラグナさん
がそれを望まないから、私も望まなかった。貴女をとめたのは、ラグナさんだったから。けど」
牧場が見えてきた。ミストは一度脚を止め、リネットが追いついてくるのを待った。
それと同時に、最後までこの雌に己の言葉を聞かせなければ、気がすまなかった。たとえ相手が正常な思考能力を失っていても、聞かせずにはいられなかった。
「……けど、貴女は罰を求めた。ええ、それも最低で、最悪の形で!確かに、夫でもない男に体を捧げるのは罰でしょう……少なくとも、貴女にとっては。けど、私にとってはですね。それがいかに重要で、大胆で、勇気のいる事か……分からないでしょう?貴女には!」
それは嫉妬だった。そして激怒だった。
ラグナに体を明け渡したリネットへの。ラグナに抱かれようとしたリネットへの。
そしてそれは、歪みきった形で爆発していた。
ミストの表情は変わらない。歪んだ微笑が、張り付いたまま。
「……貴女に甘い思いなんてさせない。辱められて、犯されて、愛も何もない悦楽に狂ってしまえばいい。そうやって裸でしとどに濡らして、私に喘がされて、モンスターにたっぷりと可愛がってもら
うのね。……貴女にはあげません。ラグナさんの愛も、欲望も、何もかも」
リネットは答えない。否、答えられない。
正気を失っているのもある。だが、それ以上に、彼女はもはやミストの一部だった。度重なる調教の果て、ミストの抱えている感情に取り込まれた彼女はもう、ミストの行為を拒否する事は出来なかった。
それに、罰を望んだのは、リネット自信なのだから。
ならばきっと、この状況はこれ以上ない、理想の形