マルク&チェルシー



初めは何もなかったこの島も今では随分変わった。
生活もすっかり安定し、動物も増えてだいぶ牧場らしくなってきたとはいえ
牧場主としては、まだまだこれから。
だからってわけじゃないけど、最近の私はマルクの牧場トークにハマっている。
さすが外で色々な牧場を見てきただけあって、マルクの話は面白い。
それに…同じ目線で話ができるのは、この島で彼だけだから。
すごいね、とか大変だね、とか皆色々言ってはくれるけど
実際にどう大変なのかは解ってもらえない。
でもマルクは違う。それがこんなに嬉しいものだなんて、知らなかった。
タロウじいちゃんは色んな事を教えてはくれるし頼りにはしてるんだけど
話し始めたら長い上に、少し口を挟むと「未熟者がっ」
なんて言われちゃうもんだから、最近はお天気の話ぐらいしかしていないんだ。



「で、そこの牧場では鳥の周りを二重に囲って、間に犬を放してたんだ」
「間に?」
「そう、囲いを何重にしようと、下を掘られたら終わりだろ?
 ところがその間に犬をいれておけば…」
「掘ってる間に追い払ってくれるんだ!」
「周り中に犬の匂いもつくしね」
「へぇ〜」

今日はいい素材が手に入ったので手料理を持ってマルクのもとを訪ねた私。
会話が弾んで、すっかり遅くなってしまった。

「…っといけない、女の子をこんな時間まで部屋に引き止めてちゃダメだね」
「あ、もうこんな時間」
「明日も早いんだろ? 送ってくよ。野犬が出るかもしれないしね」
「ありがと」

野犬をハンマーで追っ払った事があるのは一生の秘密にしよう、と私は誓った。


外の空気が気持ちいい、夏の夜。
マルクの手の甲が私の手とあたり、顔を見上げると
彼はにっこり笑って手を握ってきた。な、なんか、いい感じ…。

「あ、マルク、あれ見て」
牧場に着くと、川のある方からぼんやりと光が見える。
「近くに行ってみようか」
沢山の蛍が飛び交っている。空には満天の星。キレイ…
二人でちょっとぼんやり眺めていると、突然黒い影がマルクに飛びかかった。

ばしゃーん

「ったた…」
わんわん♪

暗闇からマルクにダイブした黒い塊…それは良く見たら私の飼い犬だった。
川に落ちたマルクの上に乗ってベロベロ顔をなめている。

「あーびっくりした。なんだ、お前かぁ…こいつめ!何すんだ」
「ご、ごめんマルク!うちの子が…」
「まったくだ。じゃ、飼い主にも責任とってもらおうか」
「え、ちょっ…」

ばしゃーん

「こら〜!も〜」
「あははは」

へくしっ
水の掛け合いに没頭してしまった私たちは、そのくしゃみで我に帰った。
夏とはいえ、夜の川の水はけっこう冷たい。

「ごめん、そろそろ戻ろう」
「私は良いけど…マルク、それで宿まで戻るの?」
すっかり水浸しの上、犬のせいでかなりドロドロでもある。
「う…怒られるかなぁ、これ」
「それもあるけど、風邪引くかもよ?
 ウチでお風呂入って行く? その…元々はウチの犬のせいだし…」


何故こんな事になってしまったのか。全裸のマルクは考える。
ここは、島の牧場主の家。の、風呂。
風呂に裸でいる事を咎める者はいないだろう。ただ、
深夜、隣家などない家に二人きりで、マルクが邪な想いを抱いていなければノの話だ。

さっきまで一糸まとわぬ彼女がここにいた気配
いつも彼女からする香りと同じ匂いの石鹸
それらですっかりおかしな気分になってしまった自分をどうにか抑え
何でもない顔でここから出なくてはならない。

危ないから、などといって彼女を送りに来たのに
今や自分自身が一番彼女にとって危ない存在になってしまっている。

何か別の事をかんが…え…

_______________________________

「マルク!マルク!」
「ん…」
気づくと、腰にタオルを一枚巻いた状態でベッドに横たわっていた。
どうやら、あのままのぼせてしまったらしい。

「はい、お水。もう大丈…夫 みたい、ね」
水を差し出したチェルシーの目線がどんどん横へ逸れていく。
上体を起こして水を受け取ってみると、タオルの下の自分も起き上がっていた。
あちゃー。って、……ん?
さっき自分は腰にタオルを巻いていただろうか?
倒れた自分を引き上げ、体を拭き、ここまで連れて来てくれた人物は一人しかいない。

もう一度チェルシーの顔を見ると、耳まで赤くなった状態で目を逸らしていた。
いつもバンダナが巻かれている髪は、洗われた後一つにまとめてあり
牧場作業とは縁のなさそうな、夏らしく露出の多い、可愛らしい部屋着を着ていた。
普段は上着に隠れている胸元がはっきりと主張しているのがわかる。

彼女の顔に軽蔑の色がない事を読み取ると、マルクは作戦を変えた。
水の入ったコップをサイドテーブルに置くと「うっ」と頭に手を当てる。
「マルク!?」
心配して顔を近づけて来たチェルシーをそのまま抱きしめた。
「チェルシーが可愛すぎて死にそう…」
「ちょっと、何いっ…」
反論はさせじと、そのまま唇を奪う。
「俺、どーにかなっちゃったみたい」
「マルク…」
チェルシーの目が、うっとりと潤んで光っている。嫌がっている様子はない。
もうこのままいくしかない。


「好きだ」
もう一度キス。今度は舌を使って、じっくりと。
「…んっ…ふぅ…」
手は自然と豊かな胸元へ伸びる。
普段は大きめのシャツを羽織っているせいで見えないが
マルクの手に収まるかどうかというほどの、やわらかい膨らみ。
その頂をきゅっとつまむ。
「んっ」
チェルシーは体をひねったが、逃がしはしない。
いまやそれを覆う布を突き上げてしまうほど硬くなっている。
大きめの襟ぐりのシャツを肩から下ろすと、その姿があらわになった。
「あ…」
唇を離すと、チェルシーが我に帰る時間も与えず、胸にしゃぶりつく。
半端にシャツを下ろされた状態では、たいした抵抗も出来ない。
「ふ…んっ…だめ、マルク…」
「どうして? すごくエッチな顔になってるよ。
 俺には、もっとしてって聞こえるけど?」
マルクのしゃべる息がぬれた肌に熱くかかる。
「俺、こんなキレイでエッチな女の子、見た事ない」
「やっ…なにいって…」
「かわいいよ、チェルシー」
今度は、耳元で囁く。そのまま唇は首へ滑り、キスを降らせる。
手は内股をそっと撫でている。
ショートパンツの中には容易に侵入するが、下着には触らず
そっとその周辺をなぞっていると、チェルシーは腰をくねらせ始める。

うっとりとした表情から悩ましいほどの目つきに変貌したチェルシーは
すっかりマルクの手の中へと落ちた。


「もっと、していい?」
頷くのを見て、半端にはだけていたシャツを脱がしショートパンツをおろす。
最後の1枚となったその布は、明らかにじっとりと濡れ、透けそうなほど張り付いていた。
清楚な筈の白い下着がいやらしすぎて思わず釘付けになる。
「お願い。それも…脱がせて…?」
もちろん、ここで止まれる訳がない。
するりと引き下ろすと つ、と1本、糸が名残惜しそうに伸びた。

「すごい事になってるよ、チェルシー。
 俺、ここにはまだ何もしてないけどなぁ」
「…そんな !…ぁんっ」
ずっと触って貰いたかったその場所を、たっぷり粘液をつけた指がつるんと滑った。
「だってマルクが…んっ ふぁっ そこ、やっ…っん あぁっ」
閉じようとした脚をぐっと開かれ、敏感な部分をこねるように指が往復する。
余った指は泉を探索し、唇はキスの雨を降らせた。
「あ…んん ふ…っ くぅっ」
くちゃくちゃと水音が部屋に響く中
マルクの唇が胸の先端へ届くと、チェルシーの体が大きく仰け反った。
「っひゅぁ!…ぁあ!ふあぁあぁんっ」

達したチェルシーの中に深く指を入れてみると
そこはあたたかく波打ってトロリとしているのに、絡み付いて彼を離さない。
指でこれだ。入れてしまったら、そんなに保たないかもしれない。
マルクももう限界まで来ている。
タオルの下のモノは既に先端を湿らせていた。

「マルク…指じゃ…やだ」
それが欲しいとばかりに、チェルシーの手がマルクの方へ伸びる。
「…! さっきより、おっき…ぃ?」
「入れてもいい?」
「…うん」
早く一つになってしまいたい。

マルクは2、3度スリットを擦り、侵入した。
「ふっ…あぁっ」
「全部、入れるよ?」
声をかけてから、更に深く腰を刺す。
「…っ! っくぅ…んっ」
「大丈夫?」
「…ふっ…ん…動…いていいよ」

ゆっくりと腰を動かし始める。
今まで抑えていた分、一気に自分を解放したい衝動にかられてしまう。
本来なら緩急を入れて彼女の反応を楽しみたい所だが、
こらえられずリズムが加速していく。気持ち良すぎて止められない。
「…んあっ…あっ…ぁあっ」
「声、我慢しないで。さっきみたいにもっと聞かせて」
そう言ってマルクは手を伸ばす。
「やっ…マルク…!あっダメ、そこ、あっあぁあん!」
両の乳首を刺激され、チェルシーの中が更に狭まる。
「い…っ…気持ち…い…ダメ、ダメまた来ちゃう…!」
 あっあっ!ふあぁああ〜〜〜〜〜!!」
殆ど同時に、マルクもたまらず精を放った。

事後マルクサイド
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気がつくと、辺りは明るくなっていた。
あのまま二人で眠って…
ふと見ると既に横にチェルシーの姿はない。

昨夜汚して洗われた服は、もうすっかり乾いていた。
慌てて服を着て、チェルシーを探しにいく。
外へ出ると、思ったより太陽の位置が高かった。

「マルクー!」
声の方を見ると、頭に赤いバンダナを巻いたいつもの彼女が
鮮やかな緑の中で手を振っている。
まるで昨夜の事が夢だったかの様に、少女は太陽の光を受け輝いていた。

「待ってて、いま終わるから。一緒にご飯にしましょ♪」
今日はSランクのミルクが採れた、と嬉しそうに言う彼女に
手を振りかえす。
「わかった、じゃぁそれまで馬の手入れでもしておくよ」

外に出た時から、栗毛の馬がじっとマルクを見つめていた。
仲良くしようぜ、お前とも長い付き合いになりそうだからさ。
後ろからは懲ずに犬がじゃれついてくる。
よく見れば、牧場内の柵は先日の台風であちこち痛んでいた。
彼女の為に出来る仕事はいくらでもありそうだ。

事後チェルシーサイド
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その後私たちは抱き合ったまま眠り、朝を迎えた。
鳥のさえずりが聴こえる。今日もいい天気♪
横で寝ているマルクを起こさない様に、そっとベッドから抜け出した。

牧場の朝は早い。
さぁ、早く皆のお世話をしにいかなくちゃ。
チェルシーはマルクの頬に軽くキスをすると
手早くいつもの服に着替え、外に出る。

太陽の下、青々と輝く牧草を眺めながら昨夜の事を思い出す。
マルクが、チェルシーの中を訪ねて来た瞬間…
あのとき初めて、この器の中でたった独りきりだった自分に気がついた。
でも、彼がやってきてくれた。
心の奥まで、満たしてくれた。

たとえマルクがいつかこの島を出て行ってしまったとしても
昨夜の事は、絶対に後悔したりはしない。

今日はなんだか牛達も機嫌が良くて、最高のミルクを搾る事ができた。
あの人に、これを一番に味わって欲しい。
そう思った時、彼が家から出て来た。テレパシーかもしれない。

「マルクー!」
嬉しくなって、思わず大声を出して手を振った。

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