新作予告
「あ…ラグナさん……調べ物ですか?」
とある秋の昼下がり。
気難しそうな顔をして週刊誌を眺めているラグナに、トルテは声をかけた。
するとラグナはずずいっ、と読んでいた雑誌を押し付けてくる。
「……ひとまずコレを見てください。これをどう思います?」
トルテは雑誌を受け取り、一通り目を通す。
暫くの沈黙の後、ぽつりと一言。
「すごく……大変です…」
「ですよね……さっさと処分しちゃいますか? こんなもん、ラッセルさんに見つかったら大変なことに…」
「僕がどうかしましたか?」
『ひっ!?』
慌てて雑誌を隠すラグナ達。
いつの間にか背後にラッセルが立っていた。
「いいい、いえいえ! なんでもないです! なんでも!!」
慌てふためくラグナ。
彼に同調するように、トルテもコクコクと首を縦に振る。
しかし察しの良いラッセルにこのような誤魔化しが通用するはずも無かった。
「…………」
笑顔でこちらをじーっと見つめてくる。
無言の重圧と言う奴だ。
若干殺意が混じっている気がしないでもない。
「……あ、あの…怒らないでくださいよ?」
やはり実戦経験者のプレッシャーは効果的面だったようだ。
耐えかねたラグナが仕方なさそうに雑誌を手渡す。
「もう。いい大人なんですから、隠し事なんかしちゃだめですよ?」
いたずらっ子を咎めるように、ラッセルは言いながらページをめくる。
そしてある一ページが開かれるや、彼の動きは止まった。
開かれたページには『新キャラクター登場! なんと前作の登場人物も……!?』の文字。
「……せいぜいゲスト止まりかと思っていたんですけど、まさかヒロイン候補とは…」
「…意外です……」
うなだれながらため息をつくラグナとトルテ。
暫く動きを止めていたラッセルだが、口の端を引きつらせながら呟く。
「いやいやいや……無いですって。いや、だってその、あれですよ? うちの子に限ってそんな……」
「あれ? このライバルキャラ、やんちゃしてた頃のラッセルさんに似てないですか?」
「あ、ホントだ。部屋に飾ってた写真にそっくり」
「そういえばセシリーちゃん、かなりのお父さんっ子でしたよね……」
どこから沸いてきたのか、カミュ、メロディ、ラピスが雑誌を覗き込みながら言う。
「…………」
気まずい沈黙。
何を思ったか、ラッセルは軍刀片手に図書館を出て行こうとする。
「あ、あの、ラッセルさん? 一体どちらへ……」
恐る恐るラグナは尋ねる。
「……しばらく休暇を貰います。店番頼みましたよ、トルテ」
(……なんというロリコンキラー)
(一目見ただけで分かってしまった)
(間違いなくニコルは一生独身)
海岸の方へ向かって手を合わせる五人なのであった。
「暴走するラッセルさんに危機感を覚えたラグナとカミュは、ついに辺境の町アルヴァーナへと向かう決心をする!
果たして、彼らを待ち受けるものとは!?
そして置いてけぼりを喰らった嫁達の運命は!?
次回、『鬼道戦士ラッセルさん』 第二話!『主婦にも休日を』
チャンネルはそのまま!」
「言ってて恥ずかしくないのか?」
「……少しだけ…」
※この話はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。