ルーク×アカリ(女主人公) やすらぎの樹


「……ひ、ぁ……んっ」

男の熱杭が体の最奥を深々と穿つ度に、その下に組み敷かれた少女の口から、耳に柔らかい嬌声が止め処なく
溢れ出る。同時に、さらにその体の下、お世辞にもあまり頑丈な造りとは言えない寝台も、男女の動きに同調するかのように、
ギシギシと歯鳴りのような悲鳴を一定のリズムで刻んでいる。さして古い訳でもなかったが、純粋に『眠る』という
行為のためだけに作られたそれは、夜の営みを秘めやかに楽しむには少々役者不足なようだ。

「、アカリ」

甘ったるい喘ぎと、上擦った吐息と、そして気忙しいまでの寝台の軋み。そんな悩ましげな三重奏の合間を縫うように、
男は少女の紅潮した耳元に声を落とす。名前を呼ばれた少女――――アカリは、そっと寄せられたその声に、
それまで頑なに瞑っていた両の目蓋に、少しだけ隙間を作った。僅かに出来た空隙から男の顔を仰ぎ見ると、
琥珀色をした二つの瞳が、じっとアカリを見返してくる。同時に、彼が木材を扱う職業であることを思い出させる
節ばった大きな手がアカリの額に寄せられ、汗のために張り付いていた前髪を優しく払った。

「いいか?」

投げかけられる問いにこくりと首を縦に振ると、甘い蜂蜜を零したような瞳が嬉しげにすっと細められ、次いで情動的な律動が再開された。

「やっ……るぅ、く……あぁっ!」

アカリの口からその名が零れると、男の抜き差しはさらに激しいものへと変わった。
ぐちゅぐちゅと秘部から溢れる淫猥な水音は途切れることなく、アカリの羞恥を煽っていく。
ぎ、ぎし、ぎし、ぎし。二人の行為を大人しく受け止めているベッドは、恨めしそうに歯を軋った。

もし結婚したら、否が応でも新しい(そしてもっと大きくて頑丈な)ベッドに買い換えなきゃいけないのだろうが、
アカリは今使っている、このシングルベッドがそこそこ気に入っていた。
情を交わした後、ルークとぴたりとくっついて眠れるこの狭さが、
無邪気な寝顔を一番近くで見ることが出来るこの距離が好きだった。


ルークと付き合いだしてから、アカリの日常はすっかり彼に侵食されてしまっていた。
日中は彼の仕事場であるプラリネの森に、簡単なお弁当を携えて顔を出し
夜は夜で仕事上がりのルークと共に、キルシュ亭でアルコールを嗜む。
そして週末は、こうして互いの体を貪り合う。
必然的に二人でいる場面は増え、アカリの中の時間は徐々にルークで満たされていった。

もし、ルークと結婚したら。
シングルのベッドがダブルのそれに変わると共に、ルークとのこの関係も、別のものに変化してしまうのだろうか。
勇気を出して進んだその先が、今以上に居心地が良いだなんて、そんな安直な確信はない。
今現在が彼女にとって掛け替えのなく心地よいものだからこそ、アカリは変わってしまうことが怖かった。
可能性の一つでしかない、行ってみれば『例えばの話』にしかすぎないことだけれど、それでも――――

「!? ひゃぁっ!!」
「何神聖な愛の儀式のまっ最中に、他の事に気ぃとられてんの?」

思考を奪われるような、突然の突き上げ。腰骨を直下する電流に、アカリははっと正気付いた。
慌てて焦点をルークの方へと戻すと、そこには意地悪そうに唇の端を歪めて笑う彼の顔。

「ん、むぅ……っ」

息を継ぐ間もなく噛み付くような勢いで唇を重ねられ、上も下も全てルークで塞がれる。
器用な舌先が固く閉じていたアカリの歯列を割り、口腔を味わうように犯していく。
程無く、呼吸を奪われたアカリの体がくてりとし始めた頃、ようやくルークは唇を開放し
少しだけ荒さを増した吐息を混じらせ、小さく呟いた。

「……何をそんなに思いつめてるか、知らないけどさ、……、今は俺のことだけ考えてろって」

あれほどアカリの中で育っていたはずの懸念の塊も、ルークの些細な言葉で柔らかく解きほぐされていく。

「ルーク……ふ、あぁっ……!」

中に埋められていた彼自身がずるりと引き抜かれ、また勢い良く押し込められる。
与えられる刺激全てを受け止めることができず、飲み下せなかったそれがアカリの中で大きな渦となり、
行為の終わりへと彼女を押し上げていく。

「あ、やぁっ……も、イっちゃ……ッ!!」
「アカリッ、……っ」

絶頂に突き上げられたアカリの中で、ルークの熱が一際大きく脈打つ。
やがてルークも、無意識に彼自身を締め上げるアカリの動きに逆らわずに、一番奥で熱い欲望を迸らせた。


「……大丈夫か?」
「うん、平気……」

激しい快楽の残滓に溺れ、暫しの間、行為後独特の気だるい余韻に身を明け渡す。
平気、と口では言っていたものの、体を包み込むような倦怠感と幸福感とに、アカリがうつうつと目蓋を閉じかけ始めた。
程無くその瞳が完全に蓋をされたのを確認すると、ルークは彼女の耳元に唇を寄せ、何言か小さく吹き込んだ。

『      』

鼓膜に注ぎ込まれたその言葉が、アカリの耳の中に甘く反響し、ゆっくりと溶け合っていく。
眠っているはずのアカリの唇が、消えるような声で、うん、と小さく小さく呟き返した。









微かな寝息を立てるアカリの顔を、柔らかな笑みを宿して見つめていたルークの目に、
ふとベッド横に据えられた道具箱が映る。
青い羽根が閉じ込められた一番上の引き出しが、カタリと微かに音を立てた気がした。

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