膝まくら(なんかもう全部バカップル)カイル×セシリア

おだやかな陽気が気持ちのいいとある春の祝日。
結婚してから初めての祝日に、二人はゆっくりと家でくつろいでいた。
「今日も気持ちのいい天気ですね…」
「うん。畑仕事も終えてきたし、二人でのんびりするのもいいよね」
部屋でベッドに腰掛けながら他愛もない会話を続ける二人。
結婚してからまだ日は浅く、互いに話したいことはいくらでもあったため、会話はなかなか終わる気配を見せなかった。
が、春の陽気に触れられ、セシリアが言う。
「春ってなんだか…すごく眠くなりますよね……」
「ん? 眠くなったの?」
「はい、ちょっと…。…………」
「…どうしたの?」
セシリアが何かを考え込むような顔をしていたため、カイルが怪訝そうに彼女の顔を覗き込む。
「いえ…ちょっと小さい頃のことを思い出してて…。こんな日はよくお父さんが膝まくらをしてくれてたなぁ、って…」
「そうなんだ?」
「はい、それで、その…あの……」
ちらちらとカイルの方を見るセシリア。
その理由がわからず、きょとんとしていたカイルだが、やがて理由を察すると、セシリアの方を向き、両手を広げた。
「……おいで、セシリア」
「………はいっ! お邪魔します!」
セシリアはすぐさまカイルの胸に飛び込み、そのまま膝に顔をうずめた。
愛する人の膝の上、そしてこの春の陽気。セシリアは1分と経たないうちに眠りについてしまった。
彼女の寝顔を見つめるカイルは、笑顔でつぶやいた。
「…大好きだよ、セシリア」
そうつぶやくと、カイルは優しくセシリアの髪に口づけた。


一方その頃、ヴィヴィアージュ広場では残された二人が雑談をしていた。
その後姿には、何ともいえぬ物悲しさがあったという……。

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