魅惑の媚薬

 ある晴れた日の事だった。
 カイルは突然、友人であり義兄であるマックスに呼び出され、ヴィヴィアージュ家を訪れていた。
「こんにちは〜」
 最初は戸惑ったものの、今となっては勝手知ったる我が家のように気兼ねなく、豪華な装飾の施されたドアをくぐるカイル。
 やはりやたらと豪華なホールに脚を踏み入れてしばらく待つと、当然のように彼はすたすたと階段に姿を見せた。
「やあ、我が弟よ」
「……マックスさんにそう言われると、ちょっと複雑です」
「はっはっは、事実だから仕方ないではないか」
 まあそう嫌がらずに、といいながらキラリンと歯を輝かせるマックス。カイルはというと、なんだかんだいって慣れているのか突っ込む事もなく、カバンからトマトを取り出すとマックスに差し出した。
「あ、これ、朝に庭で取れたトマトです。どうぞ」
「すまないね。呼び出したのはこっちなのに」
 カイルからトマトを受け取り、それを横手に持つ。と、いつの間にか待機していたセシリアがそれを受け取り、とことこと台所に消えていった。
「……それで、今日君を呼び出した理由なんだがね」
「あ、はい」
 セシリアを目で追っていたカイルは、その言葉でマックスに向き直る。
 マックスは、そんなカイルの耳元に口をよせると、ぼそりと呟いた。
「……ロザリンドの具合はどうだい?下品な言い方をすると締まりとか」
「!!!??? ま、ままま、まままままああ!?」
 ぼんっ、と顔を真っ赤にするカイル。きょどりすぎて言葉が言葉になっていない。
「はっはっは、そう真に受けるな弟よ。ほんのジョークだ」
「ジョークにしては悪質すぎますよっ!?」
 それこそ顔をトマトのように真っ赤にして抗議するカイル。それを笑ってながすマックス。
「まあ義兄弟のふれあいはこの程度にして、そろそろ本題にはいろうじゃないかカ〜イル君」
「最近キャラ変わってませんかマックスさん……?」
「まあ、それで今日君を呼び出した本題なのだが」
 マックス、華麗にスルー。
「もー……はい。で、なんですか?」
「君にこれを渡そうと思ったのだよ。あるツテで入手したのだが、あいにく私には使う当てがなくてね」
 そういってマックスが取り出したのは、なにやら毒々しい色合いのビンだった。
 目に突き刺さるようなショッキングピンクに、なにやら金色でカイルのしらない文字が書かれている。なんだか如何わしい感大爆発だ。
 当然、首を傾げるカイル。
「なんですか、これ?」
「媚薬だ」
「ぶっ!?」
「あ、こら、落とさないでくれたまえ。貴重品なんだから」
「や、ちょ、なに冷静に反応してるんですかっ!?媚薬って、あの媚薬っ!?」
「そう、媚薬だ。君がどの媚薬を指しているのかは判らんが、まあ飲めばハァハァの媚薬だな」
 しれっと応えるマックス。なんだかカイルは頭痛がしてきた。
「で、これをどうしろと……?」
「決まっているじゃないか、ロザリンドに飲ませたまえ」
「あんた本当に人の兄っ!?」
 流石につっこむカイル。が。
「何か変かね?これは立派な医薬用品であるし、ちゃんとした商品だ。別に服用する事が法に触れる訳でもなんでもない」
「いや、そういう問題では……」
「ふむ。じゃあはっきり言ってやろう」
 マックスはカイルの耳元に口を近づけると、こう告げた。
「……エロエロでドロドロのロザリンドを抱いてみたいとか、思わないのかい?」
「…………」
 結局、カイルも男だった。



 で、結局。
「それで、これがお兄様のくれた媚薬というやつですのね……」
「……うん」
 黙ってのませる事も出来ず、馬鹿正直に全部白状したカイルだった。
 ロザリンドは机の上におかれたその瓶を、摘み上げながら。
「……まあ物は確かなようですね。一度お父様の部屋で見た事がありますから」
「へ?」
「あ、勘違いなさらないで。これは一応、各種の貴重な食材を組み合わせて作られたものですので、お父様は一種の嗜好品として服用なさっていたの。男には効果がありませんし」
「へー……美味しいの?」
「さあ、飲んでみない事には」
「それもそっか」
「なので、飲んでみましょう」
「え」
 カイルが言葉の意味を理解するよりも早く。
 ロザリンドはきゅぽっと栓を抜き、ぐびっと中身を飲んでいた。
「むぅ、けっこうエグい味ですね……」
「ロ、ロロロロロザリンド!? だ、大丈夫なの!?」
「大丈夫か、と聞かれると……あっ」
 首を傾げていたロザリンドが、不意に声を上げてへたり込んだ。
 とさり、と軽い音を立てて、床に沈みこむ。
 すわ、やはり体に悪いものが、と思ったカイルは慌ててロザリンドの肩を掴み、抱き起こそうとした。
 その途端。
「んっ」
 あがる、異様になまめかしい声。
 ビキリと固まるカイルの腕の中、抱きとめられるような形のロザリンドは、ゆっくりとカイルに顔を上げた。
「あ、あなた……お、おかしいの……」
 顔が、赤い。
 はあはあと熱い息を零しながら、ロザリンドは体の不調を訴えた。
「体が、熱いの……。それだけじゃなくて、お腹が……」
「お腹……?」
「う、うん……子宮のあたりが、どくどくって……あ、駄目、もうたまらないぃ……っ」
 ゆっくりと、ロザリンドの手が自分の胸元に伸ばされていく。それが、ぎゅ、とわしづかみにされる。
「あああああああああっ!」
 上がる、甲高い嬌声。
「あっ、あああっ!な、なに、なに…?!や、やだ、はしたないのに、あなたの前ではしたないのに、体が、とまらないっ。は、あはっ!ああんっ」
 そのまま、まるで自慰するかのように、ロザリンドは胸をもみし抱き始めた。恥じるような言葉を口から漏らしながらも、その手は止まらない。
 むしろ、いっそう激しくなるその様子を、カイルはがちんこちんに固まったまま見つめていた。
「んっ、あ、んあっ………だ、駄目ぇ……駄目なのぉ……」
 恐るべきは媚薬の効果か。
 葛藤しつつもとろんとした目つきのロザリンドが、ふいに体を寄せてきた。カイルにぐっと体重をかけるとそのまま床に押し倒し、彼の脚を跨ぐようにして腰を下ろす。
「ろ、ロザリンド……?」
「駄目なの、あなた……からだが、からだがうずいてとまらないの……。んぁ、は、お、お願い、助けて、助けてあなたぁ……」
 ぐちゅり、という音。そして、脚に伝わってくる熱い感触。
「だめ、全然とまらないのぉ……もう、もうこんなになっているのに……」
 カイルの太ももに秘所を押し付け、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てるロザリンド。
 その間にも、両手は激しく体を弄り、途切れ途切れの嬌声を上げる。
「お願い、あなた……助けてぇ、たりないの、もっと、もっと……貴方の太くて固いの、私の子宮にください……」
「………っ」
 ブチリ、と頭の奥で何かが切れる気がした。
 その後の事を、カイルはよく覚えていない。


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