カイルとおフロ 後編 カイル×ジュリア
ジュリアの手により絶頂に達してしまったカイル。その余韻と、自分に否は無いとはいえ
女性の前で醜態を晒してしまったことによる羞恥心から半ば涙目になる。
一方のジュリアといえば、自分の右手を、正確には自分がさっき搾り出して手に付いたカイルの精液を見つめている。
そういった方面の知識は無いわけではないが実体験はこれが初めてである。
気持ちが沈んでいるカイルとは逆に彼女の興奮が冷める気配は無かった。
「ねえ・・・カイル」
「・・・・すいません」
咎められたわけでもないのに謝罪の言葉が出てしまうカイル。そこでジュリアはようやく自分の気持ちを伝えたほうがよいことに気付く。
「あ、ちがうの。べつにおこってるわけじゃないのよん。やっちゃったのはわたしなんだし」
その言葉がカイルにとっていくらかの救いになった。次の彼女の言葉を聴くまでは。
「だからさ・・・もういっかい・・・いまのやってみていい?」
「はい!?」
申し出の意味が分からないカイル。いや意味は分かってもその意図が分からない。
「な、何でそんな話になるんです!」
「え・・・なんでって」
さっきのカイルのかおがすごくかわいかったから、とはさすがのジュリアも恥ずかしくて言い出せなかった
「な、なんでもいいじゃないのん。ね、おねがいなのよんカイル」
「・・・・・」
カイルもジュリアの性格はよく熟知している。今のジュリアの提案にも悪気が無いのは承知しているつもりだ。
しかしだからといって、はいそうですか、とカイルが納得できるはずもない。
むしろこの発言が今まで繋ぎとめていたカイルの理性を吹き飛ばしてしまった。
「・・・わかりました・・・ただし条件があります」
「なあに?」
「ジュリアさん、ぼくに背中を向けてちょっとここに腰掛けてください」
そういうとカイルは上半身を起こし、自分の前にジュリアが腰掛けられるだけのスペースを作った。
カイルの意図が読めないままジュリアはカイルに言われたとおり、
服が濡れないようタオルを敷いてから足を伸ばしてカイルの前に座る。
「これでいいのんカイル?次はどうす―」
ジュリアが言い終わらないうちにカイルはジュリアを自分の方に抱き寄せてしまう。
「ふぇ?ちょ、ちょっとカイル!?」
「・・・・・ジュリアさんばっかりずるいですよ」
そう言うとカイルはジュリアのうなじにキスをする、というよりはうなじに吸い付いくと言ったほうが正しいかもしれない。
シャンプーとジュリア自身の肌の匂いが混じって鼻孔に入るのが分かる。
「ん・・・」
ジュリアの口から甘い吐息が漏れ始める。カイルはジュリアの反応を楽しむように首筋へ舌を這わせ、甘噛みを繰り返す。
「あ・・・・・カイル・・・」
抱きしめられたまま、自分は身動きもとれずにカイルにされるがままにされ、どうしようもなくせつなくなってしまう。
完全に先程と立場が逆になってしまった。
「カイル・・・お・・おこってるのん・・・」
「・・・いいえ」
嘘は言ってない、と思う。ただ今は自分の中から溢れる怒りとは違うこの感じに正直になりたかった。
それに従うようにカイルは右手をジュリアの太股に這わせ、そのまま辿るようにスカートの中に潜り込ませた。
「!」
さすがにジュリアも焦りを見せるが、カイルはそれを気にも留めずにショーツの上から秘部の場所を探り当てる。
「カ、カイル・・・そこは・・・」
「・・・・・濡れてます」
「えっ?――はっ!はん!」
カイルの指の動きが急に強くなる。直接ではないとはいえ指でなぞられ、突起を愛撫されたことにより、
ジュリアの息づかいが荒くなっていく。
「あっ!そ、そんなに・・・つよくしちゃ・・・んんっ!」
広い浴室の空間にジュリアの声が反響し、それが余計にカイルの情欲を掻き立てた。
既にカイルの右手の平はジュリアの愛液にまみれており、彼女を抱えている左手には
右手の動きに呼応した彼女の動きが伝わってくる。
「やあっ!そ、そんなにしちゃ・・・・ダメなの・・・っっ!」
「直接さわりますよ。ジュリアさん」
言うが早いか、行うが早いか、カイルは右手をショーツの中に忍び込ませる。
「んあっ!・・・ゆ、ゆびがっ・・・・」
内側の肉壁は柔らかく、それでいてカイルの中指を締め付ける。
これが指じゃなかったら、そう考えただけでカイルの股間も再び熱を持ってきた。
ジュリアの喘ぎに混じって、くちゃくちゃと水風船がはじける様な音がする。
その音をもっと聴きたいと思ったのか、カイルは左手の人指し指と中指を開き放しのジュリアの口に入れる。
「んぶ!っむ!ふむうう!」
上下の口を同時に攻められジュリアの肉体は押さえきれない快感に襲われる。絶頂を迎えるまでそう時間はかからなかった。
「ん ぐ う う う う う う う っ!!」
瞬間、ジュリアは足の指先まで痙攣させ、その後ぐったりとしてカイルのほうに倒れこんだ。
(やっぱり、やりすぎかな?)
涙を浮かべて息を荒げるジュリアを見て罪悪感に苛まれるカイル。自分がされたことを相手にもしただけだ。しかし――
「カッ・・・カイル・・・」
「はっ、はい」
「カイルも・・・あ、あたしにされたとき・・・・」
まだ肉体的にも精神的にも落ち着きを取り戻していないらしく、途切れ途切れの言葉が続いた。
「こんなふうな・・・きもち・・・だったのん?」
「・・・・・・」
自分は男で向こうは女性だ。比べられるはずもない。
「わかりません・・・ただ・・・」
「・・・なに?」
「さっきのジュリアさん、凄い可愛かったです」
「え?」
(何を言ってるんだろう僕、そんなこと言って許されるはずもないのに)
カイルは意味も考えず、ただ自分の考えを正直に言った。その言葉を聞いたジュリアは少し考えるような顔をした後、
立ち上がって胸のリボンを解き服を脱ぎ始める
「ジュ、ジュリアさん!何を!?」
「だってカイルのせいでびしょびしょになっちゃったもん、このままじゃしわになっちゃうじゃん」
「そ、そうですか、そうですよね」
「なに〜、もしかしてへんなことかんがえたのん?」
「い、いえ!決してそういうわけじゃ!」
すでにジュリアの目からは涙は消え、二人の会話はいつも通りに戻っていた。
「はくしょんっ」
ふと、ジュリアが小さなくしゃみをする。
「ひえちゃったみたい、あたしもおフロはいろっと」
「あ、じゃあ僕帰りますね」
今は退散したほうがいい、明日改めてお詫びに来ようとカイルは思った。
しかし浴室を出ようとしたカイルの手をジュリアが掴む。
「いっしょにはいろ♪」
「へ?」
突然の申し出に一瞬また固まるかいる。
「カイルもながいじかんおフロからでてたんだし、あたたまりなおしたほうがいいよん」
「でも一緒っていうのは・・・」
「あ〜、やっぱりへんなことかんがえたんでしょ〜、このエロカイル〜」
「ち!違いますってば!」
その後、二人はそろって入浴し直した。
自分と同じようなことをカイルが思っていた。なぜかは分からないがそのことはジュリアには嬉しかった。
今は同じおフロに入ってるだけ、でももっと自分の気持ちをカイルみたいに正直に伝えられたら―
「そのときはさっきのつづきをしてあげてもいいかしらん」
「何か言いましたか?」
「ん?なんでもないわん?」
廊下に飾ったトイハーブの香りが浴室の中にも漂い始めていた。