叔父として(マックスとアリア)
「マックスおじちゃ〜ん」
屋敷の外から走ってくるアリアを僕は溜め息まじりで見ていた。
「アリア、何度も言うけれどね。僕のことは『お兄さん』と呼ばなきゃダメじゃないか」
目の前で息も切らさずに僕の挨拶を待っている姪に注意する。掃除をしていたメイドのセシリアは開けっ放しだったドアを閉めておもしろそうにこちらをうかがっていた。
「だってわたしにとってはおじちゃ」
「ガッデム!アリア!」
アリアは困った顔をしている、がこれは譲れない。
そう、決して譲ることはできないっ!!
「……マックスお兄さん」
よろしい。
僕はアリアの頭を撫でる、アリアは照れながら笑っていた。
「ところでうちに何かようかい?ラムリアならいないけれど……」
遊びにきたのかと思って聞くと
「今日はマックスおじ……マックスお兄さんに用事があってきたの」
そう言って彼女は小さなかばんの中からこれまた小さな包みを僕に手渡した。
「アリア、これはなんだい?」
そう聞いてから僕は今日が何か思い出す。
「バレンタインだから、大好きなマックスおじちゃんに作ってきたのっ!」
そう言ってアリアは来たときと同じように走って屋敷から去った。照れくさかったのだろうか?
いや、あの子の年だ。本来なら父親に渡す年代だろう、だからこそ一番親しい僕にくれたのだ
「まったく……」
そう呟きながら、消えた義弟のことを考えていた
早く帰って来いよ、それまでは面倒見てあげるから
おじちゃんとして、さ……