「はぁ〜…」
「…おい」
「いや、でも無理だしなー…」
「…おいそこのダメツナ」
「けど、聞いてみたいなー…」
「…」
チュン!
ツナの頬すれすれを掠める銃弾。
「ぅわっ!何すんだよ、リボーン!危ないだろ!!」
「うるせぇ。うじうじ悩んでねぇで直接聞いてくりゃ良いだろ」
「それができたら最初からこんなに悩まないよ」
「アホかお前は。こんな所で悩んでたって解決しねぇだろ」
「…そりゃーそうだけどさ。けど、あの雲雀さんにこんな事聞けないじゃんか。それに…もし拒絶されたら…」
「じゃあ聞くな」
にべもなく答えるリボーンに、ツナはまた溜息一つ漏らしてベッドをゴロゴロと転がる。
「でも雲雀さんがオレの事どう思ってるか気になるしさぁ…」
ドタドタバン!
「リボーン、覚悟す…くぴゃ!」
ツナの部屋に入るなり自分の足に躓いたランボ。そのランボにリボーンが近寄って、いつも何かしら入っている頭の中に手を突っ込む。
目的の物が見つかったようでそれをツナに向けて投げる。
「じゅ、銃?!」
「その銃の中には特殊弾が入ってる。それを撃たれたら、どんな質問にも素直に答えるようになる。
本来は自白させる為の特殊弾だから効果はかなり高いはずだ。貸してやるからさっさと雲雀に本心聞いて来い」
「それはランボさんの…!ひっ…が・ま・ん」
慌てて取り返そうとしたランボだかリボーンの一睨みで泣きながら部屋を出て行く。
「自白って、それはちょっと…。それに雲雀さんが素直に撃たれるはずないだろ」
「呼んだ?」
「ひ、雲雀さん?!また窓から入ってきて…って、どうしてここに居るんですか?!」
「赤ん坊に綱吉が呼んでるって聞いて来たんだけど?」
「リボーン!お前勝手に…!」
「オレが呼ばなきゃいつまでもうじうじしてただろ」
「それは…!でも、オレにだって心の準備ってもんがあるんだよ!」
「…人を呼び出しておいて揉めないでくれる」
少しだけ不機嫌を滲ませた声の雲雀に、ツナは思わず身を竦ませる。
「あ、…すいません」
「別に謝って欲しいわけじゃないんだけどね…。で、その手に持っているのは何なの?」
「えーと、これは、その…」
何と説明して良いかわからず、後ろ手に持って雲雀の視界から見えないようにする。
フッと手の中の重みが無くなったと思って後ろを見たら、リボーンが銃を雲雀に向けて撃つ所だった。
「!!雲雀さん、避け…」
パンッ
ドサッ
乾いた音に続いて倒れ伏すツナ。
「綱吉?!」
咄嗟にツナが雲雀の前に出て庇ったのだ。
「…赤ん坊、これはどういうこと?」
普段とは比べ物にならないほどの殺気をリボーンに向けて放つ雲雀。
そんな雲雀をリボーンは意に介した風もなく
「予定とは多少違ったが問題ないな」
そう言って部屋から出て行こうとする。
「ちょっと、綱吉はどうするつもり?」
「別に怪我はしてねぇし、すぐに目を覚ますから大丈夫だ」
雲雀から殺気が抜け、ホッとしたような表情になる。
その表情を見てリボーンは呆れて溜息一つと忠告をする。
「お前もう少し素直になった方がいいぞ」
「…何の事」
「想っている事を少しくらいツナに見せるなり聞かせるなりしてやれ」
「余計なお世話だよ」
「オレが親切心で言ってると思ってるのか?こっちにも迷惑かかるから言ってんだ。…後は自分でどうにかすれ」
そうして今度こそ本当に部屋から出て行く。
「ぅ…」
ツナが小さく呻き、大きな瞳が少しずつ開いてくる。
ホッとした表情を引っ込めいつもの顔に戻る雲雀。
「前にも言ったと思うけど、あれくらいの事で君に庇われる必要はないから、余計な事…綱吉?」
常ならこんな事を言われたら瞳に零れんばかりの涙を湛えるのに、ツナは虚ろな目をしたまま反応がない。
数回、頬を軽く叩くと焦点は未だに定まってないが、ゆるりと雲雀の方を向く。そして小さな声でぽつりと喋る。
「オレ、…必要ない?…要らない人間なの?」
「は?…突然なに言ってるの」
「だって必要ないって…余計な事したって…」
「別に君自身が必要ないとは言ってないでしょ」
「じゃあ、オレの事はどう想っているんですか?」
「どうって…別に」
「別にって、何とも想ってないって事ですか…?」
くしゃりと顔が歪み、いつの間にか瞳に溜まっていた涙が零れ落ちる。
「ちが「でも、オレは…」
否定しようとした雲雀の言葉に被せてツナが静かに、けれど確かな声で話す。
「雲雀さんがオレの事…何とも想ってくれなくても、オレは雲雀さんが好きですから。…ずっと、ずっと好、き…」
段々と虚ろだったツナの瞳に光が戻ってくる。目の前にはいつもよりも更に無表情な雲雀。
ハッとしたようにツナが捲し立てる。
「あっ!い、今の話は忘れてください!何でもないんです!だから…!」
呆れられた
ウザイと思われた
重い奴だと思われた
嫌われてしまう
特殊弾のせいとは言え、自分の失態に青褪めてしまう。
まともに雲雀の顔を見ることができない。
「ふーん…忘れて良いんだ?」
漸く聞こえた声には感情がまるで感じられない。
その声にびくりと体を震わせる。
「は、はい」
「本当に?」
「…はい」
「どうして?」
「え?あの、雲雀さん…?」
「僕は、結構嬉しかったんだけどね。でも、君が忘れて欲しいと言うなら忘れてあげるよ」
ツナから視線を外して横を向く雲雀を、まじまじと見る。
「雲雀さん、…もしかして照れてます…?」
「!…何バカなこと言ってるの」
「だって…耳、真っ赤ですよ?」
言われてハッと耳を押さえる雲雀だが、その手の下には確かにそこだけ真っ赤に染まった耳がチラリと見えている。
その行動にツナは最初ぽかんとしてるが、徐々に笑顔が広がっていく。
ツナの笑顔を見て雲雀も観念したのか、ツナに向き直る。
「…何か文句でもある?」
ツナは首が千切れんばかりに振る。
「オレ、雲雀さんの事…好きでいても良いんですよね…?」
「当たり前でしょ。…例え綱吉が僕の事嫌いになっても離してなんかあげないから…覚悟しなよ?」
いつものようにこちらの意見なんてお構い無しの噛み付くようなキス。
けれど漆黒の髪の下には真っ赤に彩られた耳がチラリと見えた。
反省
何ていうか雲雀さんは赤面なんてしないけど照れたら耳が赤くなるんじゃ…って言う私の妄想の産物で似非臭い雲雀さんになりましたごめんなさい(ノンブレスで謝罪)
最近ツンデレという単語の意味を知り、あれこれって雲雀のことじゃんとか思って書き始めた小説ですすいません(一息で反省)