ホームルーム中、先生の話を適当に聞き流しながら意識は既に廊下に向かっていた。
先生の『今日はここまで…』の言葉と共に廊下へ駆け出す。

後から獄寺と山本の声が聞こえたが、今はそれどころじゃないのでそのまま下駄箱へ向かう。
外靴に履き替え校門に向かおうとしたが、フッと違和感を覚える。
もう一度視線をやると校門脇の茂みに全身黒で統一された人達が見え隠れしていた。

 

(正門からは逃げられないか。裏門にも居るだろうし…)

 

悩んでいる間にも時間は刻一刻と過ぎていく。
他のクラスのホームルームも終わったようで、校内が俄かに騒がしくなってくる。

まずい…あまり時間が残されていない。
遅いと思われて探しにこられたらあの人数だ…逃げ場はない。

 

「あ!そうだ!あそこの穴からなら逃げられるかも…」

 

以前、遅刻した時に校門を閉められどうしようかとウロウロしていたら、猫が一匹学校の中から出て来たのだ。
近くの塀を調べてみると、上手く茂みで隠れて見えないが屈めば一人くらい通れるほどの穴があった。
その後、すぐにリボーンにばれてしっかりと教育的指導をされて以来使ってないが、可能性は0ではない。
正門と裏門から見えないよう非常口から外へ出る。

 

「確かこの辺だったはずだけど………あ、あった!」

 

急いで穴を潜り抜け、ホッと息を吐く間もなく走り出そうとしたツナに声がかかった。

 

「やぁ、どこへ行くんだい?」

 

誰かなんて振り向かなくてもわかるが、ついつい僅かな希望に縋って振り向いてしまう。

 

「………コンニチハ」

 

そこには予想した通り雲雀恭弥が立っていた。

 

「どうしてこんな場所から帰ろうとしてるんだい」

「………えーと、気分転換なんてしてみようかと」

「へぇ?隠れるようにコソコソするのが気分転換になるんだ。変わってるね」

 

雲雀さんほどではありません。そんな言葉が危うく飛び出してきそうだったが飲み込む。

 

「さて…こんな所で立ち話もなんだから、応接室へ行こうか」

「………はい」

 

 

 

 

応接室に着くと雲雀が紅茶を淹れてくれた。少しだけ気分が落ち着いてくる。

「綱吉」

「…はい」

「どうして帰ろうとしたの?」

「それは…その…」

「逃げたって事は、今日がホワイトデーだってわかっていたよね」

「…はい」

 

先月のバレンタインデーで言われたことは、いつもの気紛れだと思ってすっかり忘れていた。
けど、3月14日が近付いてきた先週の放課後。
廊下で擦れ違った際に、雲雀が『あ、そうそう』と話しかけてきたのだ。

 

『3倍返し楽しみにしてるよ』と。

 

この一週間の間、どうしようか必死に悩んで色々考えたもののちっとも良い方法が浮かばなかった。
よしんば今日逃げ切れたとしても、明日どうなるかわかったもんじゃない。
そう思ってはいたけどやはり逃げてしまって、しかも結局見つかってしまったが。

 

「まさか…お返ししないつもりだったなんてことはないよね」

 

笑ってはいるが、何故か背筋が寒くなる。

 

「そんなことは…とりあえずこれホットチョコのお返しです」

 

そう言って包装されたクッキーを渡す。

 

「ありがとう。でも3倍で返して欲しいのはこんな物じゃないよ?」

 

クッキーを受け取るついでにツナの腕を引っ張り抱き込み、耳元で囁くと面白いほどに真っ赤に染まる。

 

「絶対にムリです!あ、あんなことの3倍返しなんて…!!!」

「あんなことって?」

「っ〜からかわないでくださいよ…!」

「別にからかった覚えは無いけど。で、何がムリなの」

「だ、だって、あんな…3倍返しなんてしたらオレの身体が持ちませんよ………!!!」

 

気持ち良すぎて

 

ポツリと呟くように言って、雲雀の肩に顔を埋める。

 

「…綱吉」

「はい?」

「君、僕のこと性質が悪いって言うけど、君の無自覚の方がよっぽど性質悪いよね…。それともわざとやってるの?」

「え?」

 

雲雀の瞳を見つめながら小首を傾げる。

 

「…本当に性質が悪いよね」

 

 

 

 

「あっ…やぁ、んっ」

「ねぇ…3倍返しは酷かもしれないけど、少しくらい誠意見せてみても良いと思わない?」

「え…?」

 

そう言うなり雲雀は膝の上に抱えていたツナをそのままに、ソファに寝そべる。
朦朧としていた意識が徐々に戻ってくる。

 

「ひばりさん…?」

「自分で動いてみなよ」

「なっ…!そんなのムリです!!!」

「イきたくないの?」

 

軽く下から突き上げる。

 

「あっ…!」

「別に君がイきたくないならこのままでも僕は構わないよ」

 

そう言いながら軽く、もどかしいほどの動きで突いてくる。
達する直前で止められて、達するには足りない程度の動きを繰り返され理性が崩れてくる。
雲雀の緩やかな腰の動きに合わせる様に、自ら腰を動かし始める。

 

(これで自覚が無いっていうのが凄いよね)

 

どこか恍惚とした表情で一心不乱に腰を上下させるその痴態に目が離せない。
口では否定の言葉を吐いても、抱いてる時の表情を見ればどう思ってるかなんてすぐにわかる。
普段はくりんとした丸い目が、朱色に縁取られ今にも零れ落ちんばかりの涙が溜まっている。
扇情的な姿に思わずゾクリとする。

 

「あぁ…!雲雀さ、ん…も、イきそ…」

 

ツナの痴態を見て硬度を増したせいで、ツナは一気に昇り詰める。

 

「いいよ…」

 

白濁した液を零すツナ自身に手をかけ、爪を先端に立てる。

 

「ひぃっ…あぁぁぁ…!!!!!!」

 

 

 

 

ソファで静かに眠るツナを見て、雲雀は一人ごちる。

 

「あれだけ扇情的な姿なら3倍返し以上かな。…来年も楽しみにしてるよ」

 

反省
ギリギリアップできそう…!!!(現在14日の23時50分!)
エロが久しぶりすぎて淡白になりました><
他サイトさんの小説を読んで勉強してこなければ…!!!


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