獄寺は現在イタリアを離れていた。

ボンゴレが治めるシマで、ボンゴレに敵対する勢力が手を出してきているのだが、
その勢力に武器を流しているルートを仕切っている組織を潰す為、少数の部下と秘密裏に行動中である。

ばれないようにと慎重に慎重を重ねての行動は思っていたよりも精神的に堪える。
流石にマフィアとして長年生きてきた獄寺にも疲れがあるが、
疲れている表情を見せては部下達の士気まで下がってしまうので
指導者として弱っているところは見せられない。

 

そんな折、明け方頃に携帯が鳴る。
この曲は…10代目だ。

 


『今日中に帰ってこれそう?』

 

証拠は既に押さえてあるので後は乗り込むだけだ。
けど、どうせならボンゴレの勢力下に入れてボンゴレに有利になるようにと思っていたのだが…
10代目の一言で決行が決まった。

今日中に潰してイタリアに帰る。

大した用でない限り,、仕事中に連絡なんて寄越さない10代目が送ってきたと言う事は、
よっぽど大切な用事であるということに相違ない。

 

『えぇ。朗報を待っていてください』

 

そう返事を送って、すぐに動き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

ツナの為に急いで帰ってきた獄寺だが、部下が居る手前、
久しぶりに会うツナの元に走って行きたい気持ちをおさえる。

それでも出来る限り早歩きでツナの執務室へと向かう。
控えめに執務室の部屋をノックして入る。

 

「10代目!獄寺隼人、只今戻りました!!」

「あぁ、ご苦労様。どうやら成功したみたいだね?」

「えぇ、武器を密輸してた組織は壊滅させてきました。
奴らが使っていた武器の密輸ルートを利用して、
武器に細工をした不良品を送っておいたので
こちらの抗争ももうじき流れが大きく変わるかと…」

「流石はオレの右腕だね。抜かりはないみたいだ」

「恐れ入ります」

「他の皆もご苦労だったね。3日ほどの休暇とボーナスがあるから
少しの間じっくりと体を休めておいて。
…休みが終わる頃には派手に暴れている奴らにキツイお仕置きが必要になるから、
その時にはまた皆の手を借りることになると思う。よろしくね」

 

ニコリと綺麗な笑いを浮かべながら、空恐ろしいことを言うツナ。

そんな若きボンゴレ10代目に
獄寺を除く部下達が
萎縮しながらも尊敬の眼差しで見つめている。

では、解散というツナの言葉に
部下達は執務室を出て行く。

 

「…10代目、申し訳ありません!!」

「どうしたの?組織はきちんと潰したんでしょ?
それにオレが指示出さなかったことまでしてくれたのに」

「いえ、10代目との約束を守れませんでした…」

 

先ほど、部屋に入ってツナに挨拶をした時点で、時計の針は12の数字を少しばかり過ぎていた。

 

「あぁ、そのことについてか…。まぁ、オレとしては日付が変わる前に伝えたかったんだけどね。」

「!…何か問題でも起きたのですか?」

 

深刻な事かと思って、居住まいを正して問う。

 

「いや、そんなに畏まらなくて良いよ…。ただのオレの我侭だから。
ボスであるオレが職権乱用なんてしちゃまずいんだろうけどね…。
でも、どうしても9日のうちに伝えたかったんだ。
…誕生日おめでとう、隼人」

「へ?」

「やっぱり忘れてたね。もう過ぎちゃったけど、
昨日は君の誕生日だったでしょ?」

 

言われてみれば、昨日は確かに9月9日。
24歳の誕生日だった。


「すっかり忘れてました…」

「だろうね」

 

クスリと笑いツナが獄寺の方に近寄る。
そのままするりと抱きつくと
キスを送りながら話しかける。

 

「本当なら秘密裏に行動している最中に、
あんなメール送るなんてやっちゃいけないことだってわかってはいたんだけど…。
でも隼人の事だから自分の誕生日の事なんて忘れてるだろうし、
仕事の事で頭が一杯になってるだろうから催促しないとなかなか帰ってこないと思ってね」

苦笑混じりにツナが呟く。

確かにボスとしては正しくはない行動かも知れない。
組織の事を一番に考えるなら
獄寺が武器を密輸していた組織の武器を全て奪い取ってくるまで
待っているのが一番妥当なところだろう。

だが、恋人としてはそんな事言われたら嬉しくて堪らない。

身体が芯から熱くなってくる。
その細い身体を抱きかかえ
寝室へと続いているドアを乱暴に開ける。

ベッドにツナを静かに横たえると
もどかしい思いで服を脱ぐ。

 

「すいません…久しぶりだから加減、できないかもしれません」

 

熱い眼差しでツナを見つめながら獄寺は呟く。

 

「いいよ。オレも早く隼人を感じたいから…」

「…あまり挑発しないでください。本当に、理性なんてなくなりそうなんですから…!」

「だから、いいよって言ってるでしょ。誕生日プレゼントって事で…ね?」

 

まだ理性のある獄寺に抱きつき
押し倒してキスをする。

そこまでが、獄寺の理性が保っていられる限界だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに全力でお互いを求め合ったせいで
かなりの疲労感が漂う。
獄寺に至っては仕事が終わって休んですらいなかったので、
体の疲労は計り知れない。

だが、気持ちの充実感はそれ以上にある。

 

胸元でカチャリと音が鳴る。

獄寺とツナの胸元に同じデザインの指輪が光っている。

 

「そういえば、指につけるの忘れてたね…」

「まぁ、そろそろ指につけたままでも構わないと思うんですけどね」

「ん〜確かにそうだけど、やっぱり二人の『秘密』はあった方が嬉しくない?」

「貴方が望むなら、オレはどちらでも構いませんが」

 

10年前からの二人だけの『秘密』

毎年成長する体に合わせて
指輪も毎年新しくして。

年を重ねるごとに
お互いを愛しく想う気持ちは益々募ってくる。

マフィアになった今もその気持ちに変わりはない。
むしろ、いつ何が起きるかわからない世界だから、余計に今生きている事を愛しく思う。

 

「来年もさ…」

「はい」

「ううん、10年後も、何十年後も
こうやって誕生日を祝ってあげたいな」

「オレも同じ気持ちですよ」

 

二人は笑いあってキスをする。

 

 

 

 

絶対なんてないこの世界。

明日には突然人生が終わるかもしれない。

けれど、こうして出会えて

沢山の思い出を共有しあって

今を生きている。

そんな奇跡に感謝して、これからも共に歩んで行くことを指輪に誓う。

 

 

 

 

 

 

反省
案の定予告通りの時間にはアップできず…。
けども、10年後捏造好きなので、書けて満足です。できればもうちょっとマフィアっぽい話にしたかったんですけど…。

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