「ツナー起きろー」

「や、だ…あと、5分…」

「ツーナー」

「…」

「起きないとお仕置するぜ」

「んー………んぅ?!」

 

口の中にぬるりとしたものが侵入してきて縦横無尽に動き回る。
そこでツナがやっと目を開けると、目の前に眩しいばかりの金色が広がっていた。

……

………

 

「ん〜〜〜…ぷはっ!ディーノさん!いつまでしてるつもりですか?!」

「えーお仕置だからオレの気が済むまで?」

 

悪びれもなく宣う。

 

「疑問系で言わないでくださいよ…」

「だってツナ起きねーし、可愛いし、しょーがないだろー」

「なっ!何がしょーがないんですか!」

「えー?寝てる時のツナすげー可愛いんだぜ?口が少し開いてて誘われてるかと思うし、
舌ったらずで喋られたらそりゃいただきたくなっちまうって。しかもパジャマもはだけててさー…」

「あーもー良いですから喋らないでください!」

 

止めなければ延々と続きそうなディーノの言葉を途中で遮る。

 

「それよりもどうしたんですか、こんな朝早くに」

「おっ、そーだった!あんまりにツナが可愛いから忘れるとこだったぜ。今から遊園地に行くぞ」

「はい?」

 

年上の恋人は今日もマイペースのようだ。

 

 

 

 

 

どうやら今日がツナの誕生日だと聞き、はるばるイタリアから飛んで来たらしい。
それで丸一日デートしようと思ってきたのだが、今日は生憎金曜日で学校がある。

だがディーノの熱い説得に(実際にはリボーンが面倒臭がって)、
後日授業の遅れ分をディーノが教えるのを条件に、リボーンから許可を貰った。

がたんごとんと電車に揺られながら遊園地へと向かう。
いつもは車で移動するのだが、今回はなんと部下の人達に内緒できたらしい。
いつも車は部下に手配してもらってたので、どうするかと相談してたのだが、
ディーノさんが電車に乗ってみたいと言うので電車になった。
何でも普通のカップルみたいな事をしてみたいらしい。
マフィアのボスなのにいつまでも子供みたいな人だ。

…そんな所も含めて好きなのだが。

ツナもディーノと二人で、しかも平日に学校をサボってデートするんだと思うといつも以上にドキドキする。

 

「わ〜平日ですけど、結構混んでますねー」

「だなー。貸し切りにしとけば良かったな」

「でもそんなに待たされるわけじゃないみたいですし、
待ってる時間も…ディーノさんと一緒なら、それだけで楽しいですよ」

 

はにかむように笑うツナに、ディーノは思わず抱き締める。

 

「ツナ、もうホントに可愛すぎ!」

「ディ、ディーノさん、苦しいです」

「んーオレもツナが愛しすぎて胸が苦しいぞー」

 

人目を憚らず思った事を告げてくるディーノに、ツナは堪らずに赤面する。

 

「あ、ほら、順番きましたよ!」

 

ツナは赤面したのを誤魔化すようにディーノを引っ張って行く。

 

 

 

それから昼ご飯を食べたり、いろんな乗り物に乗って周った。

 

「…いやー遊園地もバカにはできねぇな」

「ディーノさん大丈夫ですか?」

 

そろそろ暗くなり始めた頃に、ジェットコースターに乗りたいというツナに付き合って、
ディーノも乗ったのだが…見事に乗り物酔いをした。
少しフラフラとしてるディーノを、ツナが体を支えるように寄り添う。

 

「すいません、オレが乗ろうなんて言ったから…」

 

ツナがしゅんとしてうなだれる。

 

「気にすんなって。お前が楽しければいーんだから。楽しかったか?」

 

若干具合が悪そうだが、優しい眼差しで聞いてくる。
ツナは少しためらっていたが「はい!」と本当に嬉しそうに答える。

 

「そっか、ならよかった。おっ、そろそろか…ツナ次あれ乗らねーか?」

 

腕時計をちらりと見て、ディーノが指差したのは
遊園地の高い場所にある大きな観覧車だった。

 

「ディーノさんもう乗り物乗って大丈夫ですか?」

「あれぐらいならどーってことねぇよ」

「じゃあ行きましょう!」

「近くで見ると本当に大きいですね〜」

 

口をあんぐり開けてツナが呟く。

 

「あぁ。けど、すげーのは大きさだけじゃねーぜ」

「?」

「ま、それは乗ってからのお楽しみだな」

 

そう言うとディーノは係りの人の元へ行き話しかけると、
他の乗り物に比べて混んでいたが、すぐに乗れた。

 

「予約してたんですか?」

「あぁ。これだけは絶対に外せないからな」

「さっき言ってたお楽しみってやつですか?」

「ん。とりあえずこの景色を堪能してくれよ」

「え〜気になるじゃないですかー」

「あとちょっとでわかるって」

「ちぇっ…。それにしても本当に綺麗ですよねー。もうちょっと明かりがあればもっと綺麗に見えるんでしょうけど…」

 

観覧車の中から外を眺めると確かに周囲にあまり建物がないので、
遊園地の明り意外にはポツポツとしか明りが見られない。
夜景…とは言い難い景色である。

 

「あ、あとちょっとで一番てっぺんですね」

「んー」

「ディーノさん?」

 

腕時計を凝視したまま生返事を返すディーノを不審に思い、
ツナがディーノの方へと移動する。

 

「ディーノさんってば!」

「…よし、ツナ、誕生日おめでとう!」

 

その瞬間、遊園地が一気に光に彩られる。
先程乗ったジェットコースターや他のアトラクションが多彩な色で縁取られ、
視界は様々な光で溢れかえる。

 

「う…わ、……すごい!」

「ツナにこの景色をプレゼントしたくてな。
ちょっと時間ばっか気にしちまったけど、喜んでもらえたか?」

「…はい!」

 

感動しすぎて言葉が出ないツナをディーノは満足そうに見つめる。

 

「…ディーノさん、ありがとうございます」

「これでもツナへのプレゼントにしては控え目なつもりだぜ?
来年、再来年にはもっと驚いてもらえるようなプレゼントしてやるな」

 

ツナを抱きしめ耳元で囁く。

 

「…」

「ツナ?」

 

反応の返ってこないツナの顔を覗き込もうとしたら
柔らかい感触がディーノの唇に触れる。

 

「ディーノさん…オレ、本当になんて言って良いか…。
ディーノさんがオレの事好きでいてくれて良かった。…ずっと、ずっと…大好きです」

 

何度も軽く触れてくる唇にディーノは
されるがままにしておく。

普段は恥ずかしがって好きだというのも、キスするのも全部ディーノからだったのに、
今日は全てツナからしてくれている。
恥ずかしがりやなツナが、
精一杯の想いを込めてしてくれている事に嬉しさを隠せない。

暫くしてツナからのキスが止むと、今度はぺたりと密着してくる。
見上げてくるツナの瞳がしっとりと濡れている。

そんなツナの表情に愛しいと思うと同時に、抱きたいと思ってしまうのは大人の勝手なんだろう。

この場で抱いてしまいたいという思いを何とか抑え付け
ディーノもちゅっとツナの唇にキスを送る。

 

「オレもツナが好きだ。いや、好きなんて言葉じゃ表しきれねぇな。
愛してるんだ。…これからもずっとオレの事好きでいてくれるか?」

「…勿論です!」

 

光に彩られた夜景の中、二人は永遠の愛を誓う。

反省
ディノツナは何となくディーノさんが天然攻めって感じでイメージが固まってきました!他サイトのオヤジディーノとかもやってみたいんですけどね。
とりあえずツナ誕小説一番最初にできあがりました!あと3本…!頑張れ、自分!

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