「うぅ……さ、寒い」 今日は朝からどんよりと重たい雲が空一面に広がっていた。 季節は冬。いつ雪が降ってもおかしくはない時期だ。 寒くても布団の中でもぞもぞしていたら、スパルタな家庭教師に蹴り起こされた。 授業の途中で生徒の一人が外を見て「雪だ!」と叫ぶ。 放課後になり、部活の山本(雨や雪の日は室内での筋トレになるらしい)に別れを告げて獄寺と2人帰路につく。
「とうとう降ってきたねー」
ツナは自分の口から出る白い息を見ながら言う。
「そーっスね。10代目は雪嫌いなんスか?」 「んー…嫌いじゃないよ。けど寒いのはちょっと、ね。獄寺くんは?」 「オレは…昔は嫌いでしたね、あまりに真っ白で」 「白が嫌いだったの?」 「あー…昔、イタリアに居た頃、マフィアになりたくて毎日のようにいろんな組の奴に喧嘩売ってて…
苦笑しながら肩を竦める獄寺が続ける。
「ある日あんまりにもオレがしつこかったんで本気でやられた事があったんスよ。 「…何となくわかる、かな。オレも学校で嫌な事あった時、帰り道で派手に転んじゃってさ。
へへっと照れたように笑うツナに獄寺は慌ててそんなことないっスと首を振る。
「大丈夫ですか、10代目?!こんな寒いのに引き止めてしまって申し訳ありません!」 「大丈夫だよ。それにしても本当に寒いね〜」
手を擦り合わせて熱を得ようとしていると獄寺が失礼しますと言ってツナの手をそうっと握り、息を吐きかける。 「わ…っ、獄寺くん、そこまでしてくれなくても…!」 「いいえ、これで10代目に風邪を引かれてしまっては大変ですから」
そう言って何度も息を吐きかけてはツナの手を擦り暖めてくれる。
「どうしたんですか?」 「あのね、同じ色なんだよ」 「え?何がです?」
ツナが何を言いたいのかわからず思わず聞き返す。
「空の色と獄寺くんの髪の色だよ」
言われて改めて自分の髪と空を比べると確かに灰色のような似た色をしている。
「確かに似てますけど…どうしたんですか?そんな嬉しそうに」
イタズラを思いついた子供のように笑い、未だにツナの手を握ったままの獄寺の手をグイッと引っ張り、
―――獄寺くんと同じ色だと思えば、この空も好きになれるかも。
反省 最近あまりの寒さに耐えかねて書いてしまいました。ツナへの愛で雪が溶ければ良いのに(脳みそが溶けたかのような発言だ!) |