「ツナー、そろそろ起きなさいよー」

「うー…眠い…」

 

昨日はスパルタの家庭教師がイタリアに帰国したものだから、つい調子に乗って夜更かししてしまった。
明け方近くまでゲームをしていたからまだ眠い。うるさい奴も居ない事だしもう少し寝てても大丈夫かな。
そんなことを考えていたらうとうとと睡魔が襲ってくる。抵抗せずに瞼を閉じた瞬間、ドアが開く音がした。

 

「あとちょっとだけ眠らせて…」

「ツナ早く起きねぇと遅刻すっぞ」

「…?…山本?!」

 

母親だとばかり思っていたら、そこに居たのはニコニコと爽やかな笑顔を浮かべた山本だった。

 

「え?なんで山本が居るの?朝練じゃ…」

「今日は朝練休みなんだ。で、昨日ぼうずが来てツナが遅刻しないように迎えに行けって言われてよー」

「またあいつは勝手に…!あー…ごめんね、山本。もしかしたら遅刻するかもしれないから先行ってていーよ?」

「んー折角来たんだから待ってる、つーかまだそんなに遅刻するような時間でもないしな」

 

言われて時計を見ると確かにまだ7時30分を過ぎたくらいだった。むしろいつもより早い目覚めだった。

 

「朝練やってた癖でちょっと早くに起きすぎちまってなー。もしかしていつももっと遅くまで寝てたか?」

 

照れたように笑い幾分申し訳なさそうにする山本に、ツナはそんなことないよと返す。実際そんなに早起きと言う時間でもない。

 

「急いで支度するからちょっと待っててね。ゲームとかやってて良いし」

「おう、そんなに急がなくてもいーからな」

 

とは言っても待たせる訳にはいかないから、すぐに着替えて下に御飯を食べに行こうとすると、山本に呼び止められた。

 

「前髪に寝癖ついてるぞ」

「あー、うん。毎朝寝癖酷いんだよ」

「そっかぁ、結構癖っ毛だもんなー」

「山本みたいに黒くてまっすぐな髪って羨しいな。寝癖とかあんまりつかなそうだし、ついてもすぐ直せるでしょ?」

「そうだなー。水つけたらすぐに直るな」

「いいなー…」

 

ポソリと呟くツナの頭をくしゃりとかき混ぜ山本はその感触を楽しむように何度も撫でる。

 

「…オレはツナの髪好きだぜ?触り心地良いし、陽に透けると金色みたいに見えてすっげー綺麗でさ」

 

臆面もなく綺麗だと言ってくる山本に一瞬ぽかんとした後、一気に赤面する。

 

「な、なに言ってるの、山本」

「何ってツナの髪って綺麗だよなーって」

 

髪の毛を…と言うより、顔の輪郭をなぞるように撫でながら、目には真摯な色が窺える。

 

「っ〜〜〜か、かお洗ってくる!」

 

その空気に何故か無性に照れて、耐え切れずにツナは階下へと転がるように降りていく。
その後姿を見て思わず山本は噴出した。

 

「ほんとーにツナって表情コロコロ変わってかわいーよな」

 

綺麗だと言っただけで赤面してジッと見つめると更にその顔が赤くなる。
苛めるつもりはないけれど、顔を真っ赤にして一生懸命話を逸らそうとする姿は何度見ても楽しいのだ。
それに寝起きのせいか、髪の毛がいつもよりペタッとしていて、いつもと雰囲気が違って見えた。
ただでさえ小柄で色白で細くって、そのくせ目だけはくりくりと大きい。まるで女の子みたいだった。

 

「うん、かわいーよな」

 

なんて一人ごちてたら、下からツナが戻ってきた。もう準備が出来たらしい。

 

「お待たせー。って、山本さっきからずっとそこに立ってたの?!」

「ん?あー…いや、そろそろツナの準備が出来たかと思ってな」

「あ、そうだったんだ。じゃあ、学校にいこ?」

 

どうやら先程から結構な時間が経っていたようだ。
やべーやべー。まさか入り口に突っ立ったままツナの事ずっと考えてましたなんて言えねぇからな。

それでも普段見ることのないツナの可愛い寝起き姿を見れて、これからは朝練の無い日は迎えに来ようと密かに誓う山本であった。

反省
久しぶりに書くので違和感ありまくり。ってか、また山本像が自分でも良くわかんなくなった(汗)
白なのか黒なのか灰色なのか微妙な感じですね。久々なのでリハビリって事で勘弁してください。

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