今オレはイタリアに居る。
9代目からの帰還命令とのことだったので、何か火急の用かと思ったら…。

両親が、オレと姉貴が一気に家から居なくなって寂しいということを9代目に零したらしい。
それを聞いた9代目が可哀想に思って、今回帰ってくるよう指示を出したという話だった…。

まさかそんなくだらない理由だと思ってなかったオレは
空港で和やかに出迎えをしてくれている両親を見てガックリした。

だが、しかし。

くだらない理由での帰郷となったわけだが、さっさと日本に帰らないでも大丈夫だ。

何故ならば、今回は10代目も一緒にイタリアに来たからだ。

 

 

 

いつものように学校が終わってから10代目の家に遊びに行ったら、
リボーンさんから帰還命令が出てると告げられた。
現状では10代目候補である沢田さんより、
現在ボンゴレのボスである、9代目の命令が優先される。

しかし、10代目の側を離れるをオレが渋っていると

 

「ツナ、おめぇも良い機会だから獄寺と一緒にイタリアに行って来い」

 

その一言であれよあれよと言う間にオレと10代目のイタリア行きは決定した。

 

 

 

そして今、オレと10代目はオレの実家に居る。
親父もお袋も、すっかり10代目の可愛らしさにやられたらしく、
疲れている10代目を休ませることも無く質問攻めにしている。

長い時間飛行機に乗って、その上時差ボケ。そして親父とお袋の質問の嵐。
かなりの疲労が堪ってしまうのは無理もない。

10代目は食事が終わって風呂から上がった途端
パタリとベッドに倒れこみそのまま眠ってしまった。

ふかふかのキングサイズのそのベッドに
10代目は埋もれるかのように寝ている。
あまりにも沈みすぎて小さな身体がよりいっそう小さく見える。

前髪を払ってもピクリとも動かない10代目の瞼にそっとキスを送る。

 

「おやすみなさい、10代目。良い夢を…」

 

 

 

 

 

翌朝、起きて身支度をすませると
すぐに10代目の部屋へと向かう。

10代目は、寝息もほとんど立てないでぐっすりと眠っている。
よほど疲れているのだろう。
だが、あまり眠りすぎても逆に後で疲れるだろうから、
申し訳なく思いつつ起こすことにした。

最初は肩を軽く叩いてみる。

無反応。

次は少し軽く揺さぶってみる。

瞼がぴくりと動いた。

 

「10代目…起きてください」

 

耳元で囁く。

 

「んー…?あ、と…5分………」

 

とても5分では起きそうもない雰囲気だ。
こんなに疲れているのに起こすのはやはり忍びない。
暫くそっとしておこうかと思案していると、
廊下の方がバタバタと騒がしい。

うるせぇな、10代目が起きるだろうが。
その足音が部屋まできて、コンコンと控えめにノックをしてくる。
戸を開けるとオレが小さい時から仕えている執事が居る。
何故か凄く驚いた顔でこちらを見てる。

「どうした?何かあったのか?」

「あ、いえ…隼人坊ちゃんを起こしに行った者が坊ちゃんがいらっしゃらないと言うものですから、
今回の帰還命令に腹を立て、また昔のように何処かへと隠れてしまわれたのでは思い、みなで探していたところです」

「…何年前の話をしてるんだ。10代目を起こそうと思ってこっちの部屋に…」

「!!あの、いつも寝坊されていた坊ちゃんが人を起こしに…?!」

 

執事の後ろに居た古株の者達の顔も、驚愕の表情で彩られている。
…そんなに寝坊していたか?
………いや、寝坊じゃなくて姉貴のポイズンクッキングにやられて
生死の境を彷徨っていた事が頻繁にあったな。

 

「あれは、寝坊してたわけじゃねぇよ!具合が悪くて起き上がれなかっただけだ。
…たまに寝坊してたことあるけど、早起きする理由がなかったからしなかっただけ…」

 

と、後ろの方でクスクスと小さな笑い声が聞こえる。

 

「10代目!…申し訳ありません、起こしてしまいましたか」

「ううん、構わないよ。ぐっすり眠ったから疲れも大分とれたし。それに…」

「それに、なんですか?」

「獄寺君の面白い昔話も聞けたし」

「!」

「獄寺君、腹を立てたら隠れたりしてたんですか?」

「えぇ、そうなんですよ。旦那様達と喧嘩などをする度に私どもが見つけられない所へと隠れてしまわれて、
2,3日は戻ってこられない時もありましたよ」

「へぇ〜そんなことしてたんだ、獄寺君」

 

そういって笑いを漏らしながら10代目は言う。

 

「…あまりからかわないでくださいよ。ほら、お前らもいつまで10代目の前で失礼だろ。早く持ち場に戻れ!」

 

その一言でみな、それぞれの持ち場へと戻る。

 

「申し訳ありません、もう少し眠っていただこうかと思っていたのですが、騒がしくしてしまったようで…」

「いいよ、これ以上眠ったら逆に疲れそうだし。面白い話も聞けたし」

「ですから、それは姉貴のポイズンクッキングせいですよ!」

「でも、それ以外にも寝坊はしてたんでしょ?」

「そ、それは確かにしてましたけど…!でも、理由があればきちんと起きられますよ」

「ふぅ〜ん?何だか低血圧なイメージあるけど、いつもオレ迎えに来てくれているけど、辛くないの?」

「辛いはずないじゃないですか。朝早くから10代目に会えるんですよ?」

 

獄寺は心底不思議そうな顔で、平然と言ってのける。

 

「〜〜っ、どうしてそういうことをサラッと言うかなぁ」

 

ツナは耳まで真っ赤に染めあげ、また布団の中へと逆戻りする。

 

「だって、本当のことですから。お母様や10代目の家に中に居るやつらは仕方ないですけど、
早く起きれば起きるほど10代目がその日、家族以外で初めて見る人間がオレになるんですよ?
起きられないわけないじゃないですか。それにオレも早く10代目を見たいですし」

「も、わかったから…!」

 

先ほどの意趣返しとばかりに、
ツナが照れるとわかっているのに臆面も無く告白をする獄寺と、可哀想なくらい真っ赤になっているツナ。
珍しく獄寺が優勢かと思われたが…。
真っ赤なままのツナが布団から出てきて

 

「…いつも、わざわざ朝早くに起きて迎えに来てくれてありがとう…」

 

ちゅっ。

 

唇から僅かに逸れたところに可愛らしくキスをする。

ツナはそのままパタパタと廊下へと走って行く。

 

「オレ、お腹空いたから先に行ってるね!」

 

そう言って走って行くツナの耳は真っ赤だ。
が、それ以上に部屋に残された獄寺の方が遥かに真っ赤になっている。

 

 

 

それを遠くから見ていた執事達は

 

『隼人坊ちゃまが主導権を握るのはまだまだ先か…』

 

と、声には出さずとも意見は満場一致となった。

 

 

反省
わかってます!みなまで言わなくてもわかってます!!こんな展開になるわけないって…!!!
でも、でも思わずにはいられません!イタリア編になってもいいじゃないかって思ったらどうしても書きたくて…!!!
もちろん妄想ですから、設定とかはかなり適当です。その辺は目を瞑ってください><(いつものことですし/痛)
22日発売のWJは絶対に朝早くにローソンに買いに行きますよ!イタリア編になったら、暫くは祭りです!アップしまくっちゃいますよ!!!

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