今日は久しぶりに寝坊をした。
いつもなら迎えに来た獄寺君と一緒に登校するのだが
今日はダイナマイトを仕入れに行くから休みだったので迎えには来なかった。

しかも珍しくリボーンも居なかったので、
たまには遅刻しても良いかなと思い学校への道のりをゆっくり歩いて行く。

校門前に風紀委員の人達がいて時計をチラチラ見ている。
どうやら間に合ったようだ。

校門にツナが入ると同時に後ろで校門が閉じられる。
とはいえ、ギリギリの時間という事に変わりはない。
このままだとHRには少し遅れるだろうが、遅刻はしてないからまあいいだろう。

リボーン達が来てからと言うものの、のんびりする暇もなく常に周りで騒動が起きて、原因はオレの良く知る人達ばかりだ。
たまには今日みたいにのんびりできる日があってもいいな。

そんなことを考えながら教室へと歩いて行くと、自分の教室から凄い歓声が上がった。

 

嗚呼、今日もまた何か問題が起きたようだ。

 

短い平和だったなぁ…。
いつも問題を起こす獄寺は休みだ。
なら、ランボかリボーンあたりか?
誰にしても、また問題はツナの良く知る人物であろう。
諦めた気持ちで教室のドアを開ける。

「おはよーございます」

「沢田、遅いぞー。早く席に着け」


そう言ってきたのは、担任ではなくて
眩しいほどの金髪、整った顔立ちのディーノであった。

 

(な、なんでディーノさんが?!)

 

ツナが戸惑っていると
ディーノはパチリとウインクを送ってくる。

それを見たクラスの女子は黄色い声を上げる。

…なるほど、さっきの大歓声はディーノさんを見て女子達が騒いでいた声だったのか。

とりあえず席についてはみたものの、何故ディーノがここに居るのかわからないツナは、気になってディーノの事をチラチラと見る。
その視線に気付いたディーノがツナに微笑むとまた黄色い声が上がる。

「じゃあ、全員揃ったみたいだから自己紹介するぞ。
オレの名前はディーノだ。
少しの間、講師をやることになった。
担当は英語だ。暫くの間よろしくな」

以上、質問は?と聞くと
女子達が一斉に手を上げて口々に質問攻めにする。

「身長いくつあるんですか?」

「誕生日は?」

「何所に住んでるんですか?」

「好みのタイプは?ってか、彼女居るんですか?」

 

良くそんなに出てくるなってくらいに矢継ぎ早に質問している。
さすがにディーノも女子の勢いに驚いてる。

 

「あー、オレ英語担当するから、質問は英語で言ってくれな」

 

これにはさすがに
女子も勢いを失ってしまって口を噤む。

 

「質問はなしってことで良いな?担任の先生はちょっと用があるみたいでHRは省略。
そんじゃ、20分後に授業始めるからそれまで休憩…
おっと、忘れてた。理科の小テスト返すように言われてたんだ。
出席番号順に取りに来てくれー」

 

途端にマジかよーと悲鳴じみた声があがる。
ツナもかなり点数が悪いであろうテストも気になったが、
何故ディーノが暫くの間とは言え講師をやることになっているかの方が気になる。

みんな嫌がりながらも出席番号順にテストを取りに行く。
ツナが小テストを取りにディーノの元に行く。
ちらちらと視線をディーノに送るが、
ディーノは相変わらずニコニコ笑っているだけ。
意を決して聞いてみようと口を開いた瞬間

 

「沢田、赤点だから後で理科準備室まで来るよう言われてるぞ」

 

一瞬意味ありげな視線をツナに送ってまた何事もなかったように答案を返す。

全員に配り終えて教室を出ようとするディーノをクラスの女子がそう簡単に離す訳ない。
瞬く間に囲まれて、さきほど同様また質問攻めにされている。

ツナは女子に囲まれているディーノが気になったが、理科準備室まで移動する。
多分、理科準備室には誰も居なくて、後でディーノがくるはずだから。

理科準備室に入って2,3分経つとディーノが来た。

 

「わりぃ、ツナ。女の子達に捕まって遅くなっちまった」

「あ、いえ…。それより、ディーノさんがどうして講師になってるんですか?」

「んーちょっとリボーンに頼んでみたんだ。
今回は結構長い間日本に滞在できるんだけど、ツナほとんど学校に居るだろ?
だから講師になれば学校に居る間もツナと居られると思って。
それにツナが普段何をしてるのか気になってな」

 

へらりと笑いながら殺し文句を言う。
自分と一緒に居たい…ただそれだけの為にマフィアのボスともあろう男が学校の講師になるなんて。

唖然としていて何も喋らないツナを見て

 

「ツナ、呆れてる?もしかして迷惑だったか…?」

 

なんて、自分のよりも年上のディーノが不安そうに見つめてくる。
綺麗な顔をしている人がこんな表情してると、自分がとても酷い事をしたような気分になる。

 

「な、そんな事はないですよ!オレだってディーノさんといつもより多く居られて嬉しいですよ!
確かに、学校にディーノさんが居るのにちょっと驚いたけど。でも、迷惑なんて…全然ない……です」

 

だんだんと小さくなっていくツナの声とは逆に
ディーノの表情はパァと輝く。
そのままガバッと抱きつく。

 

「良かった〜。ツナに嫌われたらどうしようかと思った」

「…オレがディーノさん嫌うなんて、ありえないですよ」

 

小さい声だけど、抱きついている状態なのでディーノの耳にはしっかりと聞こえる。
ディーノはこれ以上ないってくらい満面の笑みを浮かべると、
自分の腕の中にすっぽりと納まっている小さな身体を愛しさを込めて力一杯抱きしめる。

 

「ディーノさん、く、くるしいです…」

「ん、わりぃ。でもツナが可愛いから離さない」

「な、何言ってるんですか?!」

「あ〜マジで学校まで来て良かった〜」

「ディ、ディーノさん、そろそろ授業が…」

「そーだなー。でもまだツナ抱きしめててー」

「講師が授業遅れてどうするんですか?!」

「んー…それはまずいな」

 

まずいといいながらも、一向に離す気配のないディーノ。
ツナも最初は説得しようとするが。
抱きしめてくる力強さ、ディーノの暖かさ、顔に降ってくる唇、そんな心地良さに身を委ねる。

 

 

結局1時間目は講師が堂々の遅刻をして開始が20分も遅れた。
初の授業ということで、様子を見に来ていた担任が遅れてきたディーノを怒るが、
ディーノは終始ニコニコと幸せそうな顔をして更なる怒りを買ったせいか、講師はたったの3日で終わったらしい。

 

 

 

 

反省
こんなんだったら萌えるなとか思いつつ書いてみました。ちなつさんのメールでヒントを得たアイコンタクトネタがもっと生かせればと後悔中(涙)
本当は理科準備室なんて密室で二人きりなんですからあれやこれややらかそうと思ったのですが…
さすがにSM風味に先生と呼ばせる事を強要するディーノさんとかはまずいかと思って自重。
しかも早売りジャンプの感想を書かれているサイトで標的62は雲雀様が光臨されると聞いてうっかりディノツナの勢いが殺がれて、ヒバツナ書きたくなって仕方なかった(汗)
オチのなってない話しですいません><
とりあえず明日も朝一でジャンプ買いに行かなきゃ!!

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