それはいつものようにツナが獄寺に勉強を教わっていた時のこと。

じー。

 

「いいですか?まず血液型には」

 

じーー。

 

「A、B、O、AB型がありますよね」

 

じーーー。

 

「それで、どうやって血液型が決まるかというと・・・」

 

じーーーー。

 

「10代目?オレの顔に何か付いてますか?」

「眼鏡」

「あ、これっスか。」

 

獄寺はそういうと、シンプルな細身の眼鏡は外す

 

「度はほとんど入ってないんですけど、イタリアにいた時マフィアになるため
少しでも大人っぽく見せようと思ってかけてたんですよ。
すっかり習慣になってしまって、こっちにきてからもかける癖が・・・」

 

似合いますかなんて、おどけて聞いてみたら

 

「うん、凄い似合ってる」

 

・・・これからは毎日眼鏡をかけよう。

ツナは特に視力が悪いわけでもなかったのであいにく眼鏡には縁がなかったのだが、
せっかくだから獄寺のを借りて掛けてみる。

 

「へ〜ちょっと視界が変わって面白いかも。どう?似合ってる??」

 

さきほどの獄寺と同じ質問をしてみる。

 

「か・・・、いえ、大変似合ってらっしゃいます!!!」

 

最初の『か』の後に何が続くのか気になるところだが、とりあえず誉められて悪い気はしないので気にしないでおこう。

一方、獄寺は失礼だと思いながらもツナを凝視する。

 

(か、可愛いすぎます!10代目!)
獄寺の眼鏡は少し大きいようで、本来あるべき位置より若干下がり気味なのだが
それがまた上目遣いと相まって非常に可愛らしいのだ。
教科書とノートに集中していたはずの瞳が今は獄寺に注がれている。

まだ付き合い始めたばかりで、手を繋ぐのですら緊張してしまうというのにこんなに可愛く見つめられては照れて困ってしまう。

常識外れで突拍子も無いことをやってのける獄寺だが、その実、意外なところで照れたりするのをツナは知っている。
ツナはそんな困っている獄寺を見て楽しそうに笑う。

 

「獄寺君、顔真っ赤だよ?」

「10代目、意地が悪いですよ・・・!」

「だって、治療って言いながらあんなことしてきたのに見ただけで照れるんだもん」

「あ!あれは・・・その、10代目にオレを意識してもらおうと、必死になっていたので・・・!」

「ふ〜ん?そのわりには、気失うまでしてくれたよね」

「!!そ、それは、その・・・ぅう・・・」

 

獄寺がそこまで言った時、ツナはもう我慢できないというように笑い始める。
最初は声を殺して笑っていたのだが、次第に声は大きくなってくる。

 

「10代目、からかわないで下さいよ!」

「っはは、ごめんごめん。あんまりにも獄寺君が動揺するからつい・・・くく」

 

とうとう笑いすぎて床に伏して身動きできないでいるツナを獄寺は何とも情けない顔で見る。
が、やがて悪戯を思いついた子供のような表情になる。

 

「10代目、いい加減笑いを止めてくれないと・・・」

 

そういい、獄寺はまだ笑っているツナを引っ張りその上に覆いかぶさる。
そしてそのまま仰向けに押し倒し、両手を頭の上に縫い付ける。
顔を近づけて、耳元でヒソリと囁く。

 

「口を塞いでしまいますよ?」

「!!」

 

不穏な顔をしいてる恋人にこんな事を言われては、流石に笑ってはいられない。
実はツナもまだ獄寺に見つめられることに慣れていないのだ。
さっきまで笑って上がっていた心拍数が今度は違った理由で上がってきている。

 

「わかったよ、もう笑わないから・・・だから、手、離して?」

 

可愛らしく小首を傾げながらお願いをしてくれるツナに思わず手を離しそうになる獄寺だが

 

「嫌です。10代目は笑わないで下さいと言っても聞いてくれませんでした。
だから、オレもそのお願い事は聞けません」

 

にっこりと綺麗な笑顔を浮かべて、否定の言葉を吐く。
暫く、う〜と唸りながら獄寺の戒めを解こうとしていたツナだが力で獄寺に叶うはずもなく、諦めた。

 

「じゃあ、どうしたら手離してくれる?」

「キスさせてくれたら離してさしあげますよ」

「な!何でそんな話になるんだよ!」

「10代目がさきほどからオレの事を、見つめるから悪いんです。」

「オレのせい・・・」

ツナの抗議の言葉ごと、獄寺は唇で塞ぐ。
納得がいかなかったのか、唇で塞がれてもなお抗議の声が出そうとしているツナの口内に舌を差し入れる。

 

「んぅ・・・はぁ・・・んっ」

 

奥に縮こまっているツナの舌を探し当て絡ませる。
最初はされるがままだったツナも徐々に自分から積極的に絡ませてくる。
ツナのくぐもった声が静かな空間に響く。
いつの間にか戒めを失ったツナの腕が、獄寺の背中に回っている。
獄寺も右腕をツナの後頭部に添えて、なお深く唇を貪る。

ツナの表情がトロンとし始めた頃、やっと獄寺は口を離す。
二人の間をどちらのものともわからない銀糸が伝い獄寺はそれを親指で拭う為、ツナの唇に触れる。
二人の唾液で濡れた唇、チロリと覗く妙に赤い舌、興奮の為薄っすらと桜色に染まった首筋が酷く扇情的だ。

堪え切れずにまたツナの唇に触れようとしたとき、ちょっと待ってとツナが静止の言葉をあげる。

 

「10代目、オレこれで止めれるほど自制きかないんですけど・・・」

「あ、いや、そうじゃなくて・・・眼鏡がちょっと・・・」

「いつもと違った雰囲気ですげー似合ってますよ?」

「あー・・・え〜と、さ。キスするのに邪魔じゃない?獄寺君に誉められるのは嬉しいけど、眼鏡の分だけ離れてるみたいで、」

 

あーもう、どうしてこの人はこんな可愛らしいことを言ってくれるのだろう。
獄寺はツナから眼鏡を取ると、そこらへんに放り投げて、またツナの濡れた唇に誘われるように口付ける。

 

二人きりの時はもう二度と眼鏡はかけないでおこう。
かけるもかけないも全ては愛しい方の一言で。

 

 

 

反省
あー、少し、ほんのちょっぴりだけまともな感じになってきた気がする。
片思いのあたりは難しかったけど、ひたすらいちゃつく話なら結構書きやすいかも。
でも何故か私が書くと、精神的に少しツナ獄風味になってしまう。
まぁ、きっと本誌であまり報われていないから魔が差したってことで(使い方おかしい)

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