緞帳(どんちょう)のように重く暗い空。シトシトと小降りだったのは、少しの間だけ。
台風の影響か、突然の大降り。大粒の雨は激しく窓を叩き、地面に当たっても元気に跳ね返る。

ただでさえ空が暗くて、雨のせいで何所にも行けなく憂鬱だというのに、さきほどから重い雲の上でゴロゴロと嫌な音が響いている。
このまま鳴らなければという願いも虚しく、空に閃光が走る。

ツナは雷の稲光も嫌いだが、それ以上に落ちる瞬間の大気を震わせて伝わってくるあの感覚が怖かった。
せめてチビ達が居れば、幾分気分が紛れるのだろうが生憎、この天気のせいで何所かで足止めを食らっているらしくこの家には今ツナ以外誰も居ない。

いつもは煩いくらい騒がしいのに、何でこういうときに限って居ないんだよ。そう呟いても返ってくる返事はなく、代わりに返ってくるのは雷のみ。
あまり暗いと稲光がはっきり見えてしまいそうで点けた明かりだが、外との明るさが明確になってしまって随分眩しく感じる。

雷の震動が少しでも伝わってこないようにと布団を頭から被る。
だが気休めにもならない。
大気を震わせて伝わってきているのだから当然だ。

その時ひときわ大きな音が鳴る。どうやら何所かに落ちたようだ。しかも困ったことに部屋の明かりも落ちる。停電だ。

一人で居るときに限ってこれだ。
停電になった以上どうすることもできず、ただただ布団の中で雷が収まるのを待つばかり。

 

と、雷の音に混じってトントンと部屋の戸をノックする音。

 

「10代目、失礼します」

「獄寺君?!どうしたの?」

「あ、すいません、何度かインターホン鳴らしたんですけども、誰も出なかったので勝手に上がらせてもらいました。
10代目の家の前を通ったら丁度停電になったみたいだったので、少し心配になって来てみたのですが…って、10代目?!」

 

とても良いタイミングで来てくれた獄寺に思わず抱きつくツナ。

 

「来てくれてよかった…」

 

心底ホッとした声音で呟く。

 

「以前、雷が怖いと伺っていたので、もしかしてと思って…」

「うん、ありがとう!停電になるし、チビ達も居なくて少し心細かったんだ。でも、こんな天気の中わざわざ来てくれたの?濡れなかった??」

「あ、実はちょっと買い物の帰りに通ったんですよ」

「買い物してたんだ。何買ったの?」

「これですよ」

そういって荷物をガサガサと漁ると、出てきたのはキャンドルだった。

「アロマキャンドルってやつで、リラックス効果とかがあったりするみたいっスよ」

「へぇー、聞いたことはあるけど見るのは初めてだな」

「これで少しは10代目の気分が安らげばいいのですが…」

キャンドルに火を点けると、暗かった部屋が仄かに明るくなる。

「結構明るくなるねー。少しだけ香りもするし…」

「そうっスね。なかなか趣がありますね」

「うん。ちょっとだけ気分、落ち着いてき…ひゃ!」

 

落ち着いてきたと言おうとした瞬間に、また近くに雷が落ちる音が響く。
獄寺が居ることで幾分落ち着いてはいるものの、突然鳴られるとやはり驚いてしまう。

 

「大丈夫っスか?10代目」

「う、うん、ごめんね」

「いえ、お気になさらずに。怖いようでしたらこのままでもオレば全く構いませんよ」

 

ニコニコと笑いながら、ツナを自分の腕の中に閉じ込める。

 

「あ、そういえば、人の心臓の音を聞くのもリラックス効果があるらしいっスよ」

「心臓の音?」

「えぇ、試しにオレの心臓の音聞いてみて下さい」

 

ツナが獄寺の胸に耳を寄せる。トクントクンと規則正しく心臓が鳴っている。
確かに、心臓の音を聞いていると心無しか落ち着いてきた。
しかも、頭ごと獄寺が抱きしめているから、雷の音も遠い。

 

「どうですか?」

「んー…、獄寺君の心臓の音しか聞こえない。落ち着く…」

 

そのまま目を閉じて獄寺の心臓の音にだけ耳を傾ける。
獄寺の香りに包まれて、規則正しい音が耳元でトクントクンと鳴っている。
いつしかツナの口からはすーすーと可愛い寝息が聞こえてきている。

獄寺はツナが起きないように、細心の注意を払いながらツナをベッドへ運ぶ。
ソッと静かにベッドに下ろして、アロマキャンドルの火を消そうとするが、ツナの手が獄寺の服をキュッと握っている。
寝ているのにしっかりと握られているそれは、簡単に引き離すことは難しそうだ。
かと言ってもう一度ツナを抱きかかえて火を消すにしても、それで起こしてしまいそうだ。

ツナの手を振り解かないようにして、指先でキャンドルの芯を揉消す。
ジュ…っと、少し焦げ臭い匂いがするが、日頃からダイナマイトを使っている獄寺にとっては日常茶飯事の火傷程度なので気にならない。

せっかくツナの為にと思って買ってきたアロマキャンドルだが、大して使われることもなく消されてしまった。

眠っているツナを抱いて獄寺も目を閉じる。

 

「おやすみなさい、10代目…」

 

額にキスを送ると少し笑ったような気がした。

後で起きたツナが

 

「眠っている間もずっと良い香りがしてて、凄く安心して眠れた」

 

と、獄寺に言うのだが…アロマキャンドルはツナが眠ってすぐに消されている。
安心して眠れることが出来たのは何の香りがしてたからか…。

反省
あれ?何か文章の書き方いつもと違う気がする・・・。オチをいつもと違う感じにしようと思ったら、文章まで変わっちゃった。
読みづらくてすみません><
ちなみに、ツナが良い香りって言っているのは獄寺の匂いのことですvvv
いつのまにかそういう存在になっていたという風に表現したかったのですが、いまいちまとまりきりませんでした(汗)
この小説はここ数日の天気が台風の為大雨だったので思いついたネタです。悪天候もネタにできる自分をちょっと褒めておきたい(笑)
読んでいただいてありがとうございました!!

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