夜中にふと目が覚める。
と言っても、こんな夜中に目が覚めたって
特にすることも無くボーっとして、
また眠くなるのを待つくらいしかできないが。
何となく窓の外に目を向けると、
暗い空間にぽっかりと明るい月が見える。白いような黄色いような色。
暗い中、唯一光るその月は
眩い金色の光のようにも見える。
(まるでディーノさんみたい)
ツナは半分うとうとしながら、ぼんやりそんなことを考える。
髪が金色だから似ているというのもあるが、
どんなに多くの人達の中に居ても、すぐに見つけられる。
ツナにとって光のような存在。
リボーンが来てから、ツナの周囲では頻繁に問題が起きるようになった。
ダメツナと呼ばれていた頃は、良い事が特にあるわけでもなかったが、
それでも1日は平凡に過ぎていっていた。
だが、獄寺やランボ、それに雲雀など沢山の人と出会って、
平凡から掛け離れた日々を送るようになってきた。
最初はそんな平凡とは掛け離れたうちの一人だったディーノ。
だが、マフィアのボスなのに優しくて強くて、でもどこか抜けていて
憎めないディーノに徐々に惹かれていった。
そして、ディーノもツナの事を好きでいてくれた。
今でもまだ夢じゃないかと思ってしまう。
特に目だった容姿でもなければ、人に褒められるような所はまるで無い自分と、
容姿端麗、何でも(部下が居れば)こなせるディーノ。
およそ比べようの無い、手に届かない存在だと思っていたのに、
そんなディーノと恋人同士になれるなんて。
そんなことを考えていると、無性にディーノに会いたくなってきてしまった。
「ディーノさん…」
「ん?どした?ツナ」
「?!ディ、ディーノさん!」
思わず呟いたディーノの名に、何故か当然のように返事が返ってくる。
眠気が一気に吹き飛ぶ。
「ど、どうしてここに居るんですか?!ってか、こんな時間に…」
「冷たいな〜ツナ。恋人同士の久しぶりの再会だってのに」
「だ、だって、居るとは思わなくて…」
「まぁ、そりゃそうだろうな」
ハハハと呑気に笑うディーノに、ツナは脱力する。
やっぱりこの人も平凡から掛け離れている。
「でも、本当にどうして居るんですか?」
「あ〜、暫くツナに会ってなかったなぁとか考えてたら無性に会いたくなっちまってな。
んで、仕事も一段落ついてたから日本に来てみたんだけど、時差とか考えてなくて…
こんな時間に起こすわけにはいかねーだろ?でも、ここまで来てツナに会えないのも嫌だったから
勝手に上がらせてもらったんだ」
勝手にって…オレんちのセキュリティどうなって…いや、考えるだけ無駄だな。
うん、そこらへんは聞かなかったことにしよう。
「起こしてくれても構わなかったのに…。何もすることなくて暇じゃなかったんですか?」
「ツナの寝顔可愛いな〜とか思ってたら、時間なんてあっという間に過ぎたぞ」
「ね、寝顔ずっと見てたんですか?!」
「あぁ、多分1時間くらいは見てたと思うぜ。…どうした、ツナ?」
赤面しながら頭を抱えるツナを見て、心底不思議そうに尋ねてくるディーノ。
何でそんなことで1時間も過ぎるんだとか、眠っていたとはいえ寝顔をずっと見られていたとか
色んなことがツナの頭の中をぐるぐる回る。
「それこそ本当に起こしてくださいよ…。寝言とか言ってませんでしたか?」
「言ってたぞ。ずっとオレの名前呼んでた」
「う、うそ?!」
「嘘って…ひっで〜なツナ。まぁ、嘘だけどな」
「!ディーノさん!!」
「はは、わりぃわりぃ。久しぶりに会ったってのにツナが冷たいから、ちょっと苛めすぎたな」
「冷たくなんて無いですよ…。ただ、ディーノさんの事考えている時に、本人が居るんですもん。
誰だってビックリしますよ」
「オレの事考えてくれてたのか?どんな事考えてくれてたんだ?」
「…月を見て、ディーノさんみたいだなって…」
「オレが月?」
「はい。その…オレにとって、ディーノさんは憧れだから、月みたいに、手の届かない遠い存在だなって」
流石に自分にとって光のような存在…とは、面と向かっては照れて言えない。
それまでニコニコ笑いながら話していたディーノだが、ふと真剣な表情になる。
「そんなことはねぇよ。むしろオレにとってツナの方が月みたいだしな」
「オ、オレが?」
「ツナはまだマフィアじゃないだろ?これからなるかどうかもまだわかんねぇし。
マフィアの世界にいるオレから見たら、そんな世界とは無縁なツナは
遠く感じるぜ。それに、物理的にもイタリアと日本じゃ遠いしな」
「そんなことないですよ!ディーノさん格好良いし、何でもできるし…
モテるし……オレなんかとは釣り合わない…です、よ」
自分が如何に釣り合わないか…そんなことは百も承知していたのだが、
改めて自分で言うと段々と悲しくなってくる。
ディーノほどの男がモテないはずない。イタリアでも綺麗な女性にモテていることだろう。
男同士というペナルティを背負ってまで自分と付き合う理由がそもそもないのだ。
ツナの視界はぼやけてくる。
ポロポロとツナの瞳から零れ落ちてくる涙を綺麗だと思った。
声も無く、ひっそりと。
月の淡い光に照らされて宝石のようだ。
誤解を解いて、早く泣き止ませたいのに
ツナの涙に目を奪われる。
オレのマフィアという暗い世界とは違う、綺麗なツナの世界そのもののようで。
ディーノが何も言わないでいるのを肯定だと思って、
だんだんと表情が暗くなってくるツナを見てやっとディーノは我に返る。
「オレだってお前に相応しいかどうか聞かれたら、自信を持って答えられねぇよ。
ツナだって周りの奴らに好かれているんだからな?オレがイタリアに帰るたびに
不安で仕方なくなるくらいに…!」
「で、でも…っ」
ついに嗚咽を漏らし始めるツナの唇を塞ぐ。
「もういいから、ツナ。
…オレがどれだけツナの事を好きか、身体に教えてやる」
反省
えーと、最近カウンタが結構よく回っているような気がするので、御礼のつもりで頑張って、凄く半端なところでブチ切りました…(汗)
す、すいません!恩を仇で返すようなことをして><近日中に頑張って後半はアップいたしますので、少々お待ちくださいませ(平謝り)
後半はもちろんエロエロです。やっとディノツナのエロを書けると、かなり管理人やる気なので、本当に近いうちにアップいたします!!
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