「ただいま〜。あれ?誰も居ないのかな・・・。
鍵かけないで危ないないなぁ」

いつもならツナが学校から帰ってきたら
ランボやイーピンが騒いでいるのだが
今日は誰も居ないようだ。

抜けるような晴天。
こんな天気だからみんな外にでてるのかな?

 

 

トントンと階段を上って、自分の部屋に入る。
するとベッドに膨らみが・・・。

「ランボが遊びつかれて寝てるのかな・・・?」

ツナが起こさないようにソロソロとベッドに近づいていくと、その塊はランボにしてはかなり大きい。
そこには、予想外の人物。
ディーノが寝ていた。

2日前に急用ができたとかで帰国したのだが
何でそのディーノさんが日本に。

っていうか、何でオレのベッドで。
しかもこんな時間に寝ているのだろう。

理由を聞きたかったのだが、その本人は夢の世界。
しかも随分と気持ち良さそうに寝ているので、起こすのも忍びない。

とりあえず、起こさないようにソウッと近づいてみる。
端正な顔。金色に輝く髪の毛。目を瞑って影を落とす、髪と同じ色の睫毛。
完成された芸術品のようなディーノだが、
寝ているのがツナの部屋のベッドでは、その美しさは不完全だ。

完璧なようで完璧ではないディーノ。
ボス体質の為、部下が居る時は向かうところ敵無し(リボーンとビアンキには敵わないだろうが)
だが、部下が居ないと、何をやらせてもドジをする。
沢田家に遊びに来ている回数と、階段から落ちている回数が同数だったりするのは
すでに周知の事実である。

だが、そんな完璧すぎないところが、ツナがディーノを好きになった理由でもある。
きっと何をやらせても完璧にこなして、ツナをボスにすべく兄貴分となっていたら
きっとツナはディーノに苦手意識を持っていただろう。
何をやってもダメで、そんな人間の正に正反対の人間だ。
羨むなというのが無理な注文だ。

しかし、一人だと箸も満足に使えず、ポロポロと零す始末。
年上なのに、完璧に見えるのに、思わず手を貸してしまいたくなる。
年下のように甘えてきたかと思えば、ツナが危ない時、いとも簡単に助けてくれる。

そんな不思議な魅力に、翻弄されながらも惹かれていくのにそう時間は掛からなかった。

暫くディーノを見つめていたツナだが、突然視界がグルリと回る。
気が付けば、ディーノの顔がすぐ近くにあった。

どうやら寝ぼけたディーノがツナを引っ張ったようだ。
さきほどよりも間近にディーノの顔がある。
今は閉じられているが、優しい色合いの瞳。
寝ている為か、少し開いている口。
がっちりとした胸板。
甘い香水の匂い。
そして自分の腰に回っている大きな手。
自分にはない、憧れるものたち。

密着しているせいで、ディーノをただ見ている時以上に意識してしまう。
心臓がドキドキ騒ぎ始める。
この心臓の音でディーノが起きてしまわないか心配になる。
だが、ディーノは相変わらずスヤスヤと眠っている。

「ん〜・・・ツナぁ」
「!!」

寝言で幸せそうか顔をしてツナの名前を呼ぶディーノ。
どうしよう・・・心臓が壊れそうなくらい煩い。

(寝ている時も、オレの事少しは考えてくれているのかな)

そう思うと嬉しくて仕方が無い。
ただ名前を呼ばれただけなのに、こんなに嬉しく思うだなんて・・・。
自分で思っている以上に、ディーノに惹かれていたことを知るツナ。

そんな幸せな気持ちのまま、心地良いディーノの体温と安らぐ香りに包まれて
ツナはそのまま夢の世界へと落ちていく。


だから、気付かなかっただろう。
ディーノの心臓もツナの心臓と同じくらい煩く騒いでいたことに。

自分の腕の中からスースーと寝息が聞こえてきたのを確認して、
ディーノはパチリと目を開ける。
いくら部下が居ないとダメなボスとは言え、曲がりなりにもマフィアのボスである。
人の気配で目が覚めるくらいできないと、今ここに存在出来ていないだろう。

ツナが家に帰ってきた時にはもう起きていたのだ。
眠ったふりをしていたのは、ちょっとした好奇心からだった。
可愛い弟分が、眠ってる自分にどんなリアクションをとるか。
ジッと見つめられて嬉しかったのだか、そんなに熱心に見つめられると、
すでに弟分以上の想いで見ていた自分にとって我慢しがたい状況になりそうで、
咄嗟に寝ぼけたふりをして抱き寄せて寝言を言う名演技。

ロマーリオ達が居なくても、なかなかやるなオレ。
自画自賛してみるが、きっとそれは相手がツナだから。
弟分としても大切だし、一人の人間としても愛しい存在。
そんなツナの前で、失敗なんてそうそうしていられない。
好きな人の前ではなるべく良い所を見せたいから。
最近ではツナの前で失敗することは、少しずつだが減ってきている

ツナが自分に憧れの気持ちを持ってくれていることは
あのキラキラした瞳で見られてわかっている。
けど、尊敬や兄貴分として慕われる以上に
自分と同じような想いを持ってもらいたいのだ。

だから、良いところを見せるべく仕事をすぐに終わらせて日本に急いできた。
ツナを狙っている男どもは、日々増えてきているから。
まだまだスモーキン・ボムのようなお子様達に負けるとは思ってないが、
こっちはツナと居られる時間は極僅かだ。
万が一なんてことになったらシャレにもならない。

そんなことにならないように、早く、もっと、もっと沢山
ツナにオレを想って貰いたい。
今はまだ憧れだけでも良い。
でも、近いうちに絶対憧れ以上の気持ちを持たせてやる。
日本にいられる時間は限られているから、
これからは遠慮なく落としにかかるから、覚悟しておけよ、ツナ。

そう心の中で誓い、腕の中で眠るツナの額にキスを落とす。

そしてディーノもまた、ツナの心地良い体温と安らぐ香りに包まれ
再び眠りにつく。


・・・ディーノは知らない。腕の中で眠っているはずのツナの顔が真っ赤になっていたことを・・・。

 

 

反省
以上、ディノツナで両思いな片思いでした。
やたらとほのぼのな雰囲気に出来上がりました。
ってか、獄ツナの最初もこんな両思いな片思いだったような・・・?
シチュエーションが芸なくてすいません・・・。これが私の精一杯!!もっともっと精進します!!!
題名のセンスの無さに完敗!

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