「よお、久しぶりだなお前ら」
獄寺と山本が声のする方へ振り向くと、途端に獄寺は露骨に顔を顰める。
「なんの用だ、跳ね馬」 「おいおい、何もそこまで露骨に嫌な顔しなくてもいいだろ」
昔から変わらない態度に思わず苦笑が漏れる。ムスッとしたままの獄寺に代わって山本が軽く挨拶を交わす。
「今日はどうかしたんですか?」 「10代目なら今日は同盟のボス達と親睦を深める為に出かけてるぜ」
ざまーみろと言わんばかりの獄寺の態度に山本までもが苦笑を浮かべる。
「獄寺、気持ちはわかんねーでもないけど、一応同盟のボスに対してその態度は失礼だろ」 「山本、お前も充分失礼なこと言ってんぞ…」
脱力しながらディーノが言うが、山本は特に悪びれた風もなく肩を竦める。 「そういやあんたも同盟のボスなんだから、今夜はツナと一緒だったんじゃねーのか?」 「10代目に何か失礼な事でもして避けられてるんだろ」 「ちげーよ!…実はちょっとお前らの耳に入れておきたい事があってな」
不意に、真剣な顔つきになったディーノに、獄寺と山本も表情を引き締める。
「…わざわざ10代目が居ない時に来るって事は10代目に聞かれるとマズイ話なのか?」 「あー…マズイっつーか、まだ未確認情報なだけに何とも言えねーんだわ」
歯切れの悪いディーノに、山本が辺りにチラッと目を向け提案する。
「とりあえず廊下で立ち話するような話じゃなさそうだから、オレの部屋に移動しねぇ?」
先程からボンゴレでも大きな力を持つ同盟ボスであるディーノと、
「で、話ってのは何だ」 「…お前ら先日あったベッチオとネロの抗争の事は知ってるか?」 「ベッチオとネロ?…あぁ、両マフィアともほぼ全滅したってやつか。ボンゴレは関与してないから噂程度にしか知らねぇけど」 「あ、それオレもツナから聞いたぜ。確かその二つのマフィアの抗争が起きるように仕向けた第三者が 「ツナの耳に入ってたのか?!」
参ったとばかりに手で顔を覆うディーノ。
「他の幹部が話してたのを聞いただけみたいだけどな。でもそんな凄腕の殺し屋なら是非ボンゴレに欲しいっつってたぜ」
益々持って難しい顔をするディーノに、獄寺が焦れたように問い詰める。
「結局何を言いてーんだよ。その殺し屋が10代目の命でも狙ってるのか?ならさっさと身元調べて先手をうちゃーいいだろ」 「だな。今日のツナの護衛にはぼうずが付いてるから問題ないだろうし、すぐに身元を調べ…」 「ちょっと待てって。違うんだ、そういう話じゃねーんだよ。…ったく、年長者の話は最後まで黙って聞くもんだぞ」 「なら回りくどい言い方してんなよ!結局その殺し屋が何なんだ?」 「…ほぼ全滅に近い状態だったから証人が少ないんだが、集められる限り集めた情報だとその殺し屋はジャッポネーゼだそうだ」 「日本人?へぇ〜オレら以外で日本人のマフィアなんて居たのか。そりゃ是非とも会ってみてぇな」 「…日本人って事はまさか10代目の素性を知ってるのか?日本に居る10代目のお母様は大丈夫なのか?!」
脳天気に笑っていた山本も獄寺の言葉にハッとする。が、ディーノはまたしても呆れ顔で諌める。
「だ・か・ら!人の話は最後まで聞けっつってんだろ!…まだ確認できてないが調べに行かせた奴らの話によると 『!!』 「まぁ、オレの部下が昔アイツの事知ってたからトンファーがすぐに浮かんできただけで、 「…だが、わざわざオレらに話に来たって事は、何か確信するような事があったんだろ」 「いや、確信は出来てないんだ。かなりの人数相手にほぼ無傷だったとか、楽しそうな目をして殺してたとかくらいだ。 「確かに…って、獄寺どした?」
どん!
突然、獄寺が机が悲鳴を上げるほどの力で殴りつけた。
「あの野郎…!!3年前10代目を傷つけておいて今更どの面下げて現れやがったんだ!!」
ふぅっと溜息をついたディーノも獄寺の意見に頷く。
「そこなんだよな、問題は。多分十中八九その殺し屋はアイツだと思うんだ。
やっと、やっと3年もかかって少しずつ緩和されてきたツナの症状が、また悪化するとも限らない。
「10代目の耳に入る前に何とかしないと…!」 「その必要はない」 『!!!』
いつの間にか部屋の入り口に全身黒で統一した男が立っていた。 反省 |