男…と言うには少々、いや、かなり幼い。
だが、目の前に居ながらにして気配を感じさせないその立ち振る舞いは、そこらの子供とは掛け離れていた。

「リボーンか…脅かすなよ」

「それなら気配くらい読めるようになっとけ」

「無茶言うなよなー。お前の気配なんてそう簡単に読めるわけねーだろ」

「情けねぇ教え子だな」

リボーンがふんと鼻でせせら笑う。

「…リボーンさん、その必要は無いってどういうことですか?」

突然の乱入者に驚いたものの、先程の聞き捨てなら無い言葉の真意を問いただす。

「探すなんて面倒なことしねぇでも近いうちに会える」

「会えるって…」

「噂を聞いたツナが是非ボンゴレにっつったからな。呼んである」

「…そいつの名前は?」

ディーノが探るような目つきでリボーンを見据える。

「もう察しはついてるだろ。雲雀恭弥だ」

「なっ…!リボーンさん、一体何考えているんですか?!雲雀の野郎を10代目に会わせるなんて…!!!
また10代目が傷ついても良いって言うんですか?!」

「…じゃあ、このままで良いと思ってるのか?」

「そ、それは…けど!」

「ごちゃごちゃうるせぇぞ。これはツナが決めたことだ。文句があるなら直接あいつに言え」

ピシャリと撥ね付けるように言って、ディーノに視線を向ける。

「おい、ディーノ。お前が今日の会合に参加してなくてツナが拗ねてたぞ。さっさとツナのところに行ってやれ」

「ん?あぁ…なぁ、リボーン。ツナはその殺し屋が雲雀だって知ってるのか?」

「さぁな。だが、噂で色々と聞いてるだろうからな。それを聞いて雲雀だと知って呼んだのか、それとも只の偶然か…」

知りたきゃてめぇで聞けとすげなく言い返される。
そんなリボーンの態度にそれもそうだなと肩を竦めてディーノはツナが居るであろう寝室へと向かう。

「ツナ、入るぜ?」

「ディーノさん!会食に来てなかったからまた当分会えないかと思いましたよ!」

嬉しそうに駆け寄ってくるツナの姿は昔からちっとも変わってない。そう…昔から変わってないんだ。
スモーキンはオレに対するこのツナの態度が気に入らないようだが、別に羨むものではない。

昔は可愛い弟分が懐いてくれて、信頼してくれているのがわかって有頂天になっていた。
他の奴らとは違う、特別な位置に居ると思っていた。いや、事実兄貴分と言う他の誰でも無い特別な位置にいた。
でもそれは他の奴だって同じ事。そいつ以外には決してなれない、そいつだけの特別があるのだから。
そんな簡単な事に気づいてなかったオレは大人ぶって、スモーキン・ボムに突っ掛かれても余裕を見せ付けてた。
けど、そんな余裕が無い事に気付いたのは、雲雀恭弥…こいつがツナの前に現れて暫く経ってからだった。

最初は怯えていたツナだったが少しずつ雲雀恭弥の人となりを知っていくにつれ、様々な表情を見せるようになっていた。
オレやスモーキン・ボム、そして山本と一緒に居る時には見せない様な表情までも。

そんなある日ツナから相談を持ちかけられた。

『獄寺くんにも山本にもちょっと相談しづらくて。ディーノさんなら聞いてくれると思って…』

この台詞を聞いた瞬間、馬鹿なオレは自分がツナにとって特別な位置にいると確信した。
だけど、ツナから雲雀への想いを告げられた時、それは木っ端微塵に打ち砕かれた。

ツナがオレに相談したのはオレが大人だったから。
懐いてくれていたのも、信頼してくれていたのも全て。兄貴分だったからだ。
オレがなりたかったツナの特別には、雲雀恭弥がなっていた。

身体の関係を持った今でも、オレがなりたかった特別には雲雀恭弥がずっといる。
オレは物分りの良い分別ある大人というままだ。

ツナはオレに対して年上だから敬ってくれる。兄貴分だから頼ってくれる。
けれど、スモーキン達に対してするような気軽さはない。年上だから、決して度が過ぎた馴れ馴れしさは見せない。
だからオレはたまにスモーキン達が羨ましい…教えてやらねーけどな。

「ディーノさん?具合悪いんですか…?」

「ん?そんなことねぇよ。久しぶりに会ったから思わず見惚れちまっただけだ」

ツナを優しく抱きしめ、先程までの思いを振り切るかのように深いキスを送る…。

 

反省
ひ、ひばりが出てこない…!あ、あれ?短く切りすぎたかな?!次回は絶対に、今度こそ本当に出します><
そして力尽きてディノツナの濡れ場シーンはカット。

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