カシャッ

 

「撮り終わりました」

「ご苦労様です、千種。後はその写真をボンゴレに関わりのある人間全てに送っておいてください。悔しがる姿が目に浮かびますよ、クフフフフ」

「ちょっ…どういうことですか、これは?!」

「おや、何をそんなに怒っているのですか?せっかくの可愛らしい格好が台無しですよ。まぁ怒った顔も充分に魅力的ですけど」

 

そう言ってツナの顔に手を添えて親指で頬を撫でる。

 

「なっ!だからどうしてこんな…帰り道に突然連れてこられたり着物着せられたり、挙げ句の果てに写真撮られてるんですか!」

 

「先日貴方には大変失礼な事をしてしまったので、お詫びを兼ねて交流会をと思いまして。…その節は申し訳ありませんでした」

「…すまなかった、ボンゴレ」

「ごめんねーウサギちゃん」

 

面と向かって謝られると、それ以上ツナも強く言えない。というか余りにも素直に謝られると面食らってしまう。

 

「…っ、オレは…別にいいですけど、今度みんなに対してきちんと謝ってくれませんか?」

「綱吉くんがそう言うなら、今度菓子折りでも持って謝罪しに行きますよ」

「はい…!」

 

ニコッと可愛らしく笑うツナの顔に思わず目を奪われる三人。

 

「…本当に可愛らしい方ですね。その着物も貴方に似合うだろうと思って用意させていただいたんですよ」

「そうなんですか?わざわざありがとうございます。でもちょっと女の子のみたいで恥ずかしいです…」

「それは違いますよ」

「あっ、すいません。別に文句とかってわけ…」

「女の子のみたい、ではなく、正真正銘女物の着物ですから」

「はい?」

「最終的に判断を下したのは僕ですが、候補が他にもいくつかあってそれらは千種と犬が選んだんですよ」

 

その言葉に二人の方を見ると、犬はまさしく尻尾でも振ってそうな犬のような顔で「どう?偉いでしょう」と言わんばかりの表情でツナを見て、
千種はコクリと頷いただけだが、良く見ると誇らしそうな顔をして薄らと頬を染めている。
呆れて言葉が出ないツナを、骸は後ろから抱き締める。

 

「気に入ってもらえませんでしたか?御不満でしたら他のも持って来ますが」

「…他のも女物ですか?」

「もちろんです」

「…じゃあ、このままで、良いです…ひゃ、っ…!」

 

ガクリとうなだれるツナの項に軽くチュッと音がするように口づけると、小さな悲鳴が上がり項や少し見えていた鎖骨あたりが一気に赤く染まる。

 

「二人とも邪魔しないでくださいね」

 

骸の牽制に犬は明らかに不満顔でずるいーと連呼してる。千種も何やら物言いたげに見ていたが、不満は漏らさなかった。

 

「さぁ、綱吉くん。僕と交流を深めましょうか」

 

ススッと骸の手がツナの着物の合わせ目に滑り込んで来る。

 

「や、やめてくださ…あぁっ…んっ!」

 

骸の指がツナの胸の先端を掠めた瞬間、ツナの口から嬌声が上がる。

 

「クフフ…啼き声も想像以上に可愛らしいですね。もっと啼かせてみたくなりますよ…」

 

骸の手がそのまま下の方に下がってきたその時。
爆発音があたりに響く。
そして直後に聞き慣れた『10代目〜!』と呼ぶ声が聞こえた。

 

「チッ、とんだ邪魔が入りましたね…しかしどうしてこの場所が…」

『ふざけたメール送りやがって、さっさと10代目を返しやがれ!』

「…千種。先程の写真をどうしたんですか?」

「…関係者の携帯に送りました」

「やってくれましたね、千種…」

 

そしてドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきた獄寺の後ろから山本と雲雀も続いて入ってくる。
骸はツナを離すと招かれざる客を出迎える為にドアの方に向かう。
その場にペタリと座り込んだツナに千種と犬が近寄って行く。

 

「すまない、すぐに止められなくて。オレらは骸さまに逆らえないから…」

「怖かったー?」

 

千種がツナの頭をポンポンと撫でて、犬はツナの瞳に溜っていた涙を長い舌でべろりと掬う。

 

「こ、このヨーヨー野郎!10代目からさっさと離れろ!」

「あの面白い奴、どうやら遊び足りなかったみてぇだな、はは。…今度は全力でやってやるか」

「ちょっと、獄寺くんと山本!何物騒な物持ってるの?!」

「…主が主だと、部下も碌なのが居ないみたいだね」

「呼んでもないのに勝手に上がってこないで貰えますか?」

「雲雀さんに骸さんも待ってくださ…」

 

ツナの制止の声も虚しくそれぞれ因縁の相手と対峙して、喧嘩…なんて可愛い表現では許されないような戦いが始まる。
それでもめげずに何とか止めようと声を掛ける。

 

「骸さん!さっき獄寺くん達に謝るって言ってたじゃないですか?!」

「それはこちらから伺った場合です。今は呼んでもないのに勝手に来て、しかも僕と貴方との親睦を深めるのを邪魔したんですよ?許せませんね」

「はっ、それはこっちの台詞だよ。勝手にうちの生徒を攫って何をしようとしてたのさ!」

「ヨーヨー野郎…前回は怪我のせいで不覚を取ったが、今回はオレが完膚なきまで叩きのめしてやる!」

「めんどい…さっさと片付けるよ」

「相変わらずすばしっこい奴だなー。…けど、今回は明るい場所だし仕組みもわかってるから、そう簡単にやられねぇぜ?」

「そんなにウサギちゃん舐めたの怒ってんのー?青筋すっげー」

 

益々白熱していく喧嘩を横に、成す術もなく座り込むツナ。

 

「おーおー、みんな若いなー」

「?!ディーノさん!」

「おう!随分可愛らしい格好してんな、ツナ」

 

そうそこにはキャバッローネのボスであるディーノが居たのだ。

 

「ツナ、折角そんな可愛らしい格好してんだから、美味いもんでも食いに行かねぇか?」

「え?でも、喧嘩止めないと…」

「止まると思うか?」

「………」

「そんじゃ、決まりだな!あいつらほど血の気多けりゃ、多少流れても大丈夫だろ。ってか、その方が血の気も減って落ち着くんじゃね?」

「…それもそうですね」

「よっし、何食いたい?ツナが行きたい所なら何処へでも連れて行ってやるぜ」

 

喧嘩を通り越して死闘へと発展したそれらに終止符が打たれたのは誰かがツナが居なくなった事に気がついて叫んだ時であるが、
その頃のツナは既にディーノと美味しい物を食べて、ディーノの膝の上ですやすやと眠っている時だった。

 

 

 

 

 

 

そんなわけでフリーイラストの年賀絵貰ってきてしまいました!ってか、2週間近く放置してました…!なごさんすいません(土下座)
しかもムクツナのはずなのに、美味しい所はなぜかキャバッローネボスが掻っ攫っていきましたよ!流石は年齢不詳だけど最年長(笑)
なごさん、ありがとうございましたvvv

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