遅くなった日には。
いつもと特に変わったことなく、部活も終わって。 みんなが帰った後、ひとりで残って自主トレすんのも、いつも通り。 マネージャーが帰り際、ゴチャゴチャ言ってたけど、そんなもん全部無視だ。 俺には目標がある。他人にジャマされてる場合じゃねぇ。 けど……。最近妙に、イライラすんだよ。 バスケやってても、集中切れちまったりして。 そんな時、気づくと頭ん中にあいつがいて。 ─────。 なんなんだよ、あいつは。ただの教師だろ? しかも、俺が大嫌いな英語の。いや、べつに他に好きな教科なんかねぇんだけど。 なんで、あいつのことが、こんなに気になるんだよ。 ─────好き……なのか?あいつのこと。これってそういうことなのか……? ─────はっっ。 またわけわかんねぇこと考えちまった。 俺はバスケだけやってりゃ、いいんだよ。 ■ ■ ■ どうにも集中できそうになくて、これで最後、とシュートを決めた瞬間。 入り口の辺りでコツって音がして。 誰かいるのか?そう思って振り返ったら、扉に寄りかかったあいつ…… が。 笑顔で、手、振ってた。 ─────なんで、こんなトコにいるんだよ。 つーか、いつから、いたんだ? つい、睨むような感じになっちまって。 「そんな、怖い顔しないでよ。ジャマしちゃったかな?」 肩を竦めるような素振りで、しかも、なんか上目遣いに言う。 //////そんな目で見んじゃねぇよ。何言えばいいか、わかんねぇだろ? 「いや、べ、べつにジャマとかそーゆーんじゃねぇよ。どうせもう帰ろうと思ってたし」 何、どもってんだ?俺。 「え?鈴鹿くんも帰るの?ねぇ、じゃあ、わたしのこと送って行かない?」 ─────は? 何、意味わかんねぇこと言ってんだよ。 「お、俺、が?なんでだよ」 「うわっ。その言い方、何?だって外、もう真っ暗だよ?」 いや、そんなことはわかってんだよ。俺が聞いてんのは、そんなんじゃなくて。 「おまえ、怖いのか?」 つーか、これもべつに聞きたいことじゃねぇけど。 「ちょっと、教師に向かっておまえって何?しかも怖いのかって、それ、自分でしょ?」 なんなんだよ。ああ、どうせ俺は怖がりだよ、悪かったな。 つーか、だいたいおかしくねぇか?なんで教師のおまえが生徒の俺に 送ってけとか言ってんだよ。 「あのさ。それ、送ってけって態度なのか?それに、俺にだって都合ってもんがあんだよ」 あ。やべぇ、なんか今、自分で思った以上にキツイ言い方だった。 そう思った瞬間、表情が曇るって、こんな感じなのかって、見本みてぇに 急に顔色が変わった。 「…ごめん。そ、だよね。…うん。ひとりで帰れるから。鈴鹿くんもあんまり遅くならにようにね?」 なんで、そんな寂しそうにしてんだよ。 しかもなんか、泣きそうになってねぇか…? 俺は背を向けて歩き出したあいつの腕を思わず掴んでた。 「あ。わりぃ。べつに、送ってくのが嫌だとかそんなんじゃねぇよ。ただ、さ。おまえいつも車だろ? なんで急にそんなこと言うんだろうって思ってさ」 言い訳くさいかとは思ったけど、気になったのも事実だし、この際妙な言い方しちまったことは無視だ。 「あ、あのね?修理に出したんだけど、代車借りれなかったのよ。だから今日は車じゃないの」 車じゃない理由はわかったけど……。 「で。なんで俺なんだよ」 そこがいちばん気になった。 「こんな時間だしね?鈴鹿くんぐらいしかいないかなって思って」 そんな理由かよ。なんなんだよ。変な期待しちまって、俺ひとり、馬鹿みてぇじゃねえか。 ─────期待……? なんだよ。期待って。何考えてんだ?俺。意味わかんねぇよ。 「悪かったな、俺ぐらいで」 目一杯ムッとした表情で言うと。 俺が掴んでいたはずの手をゆっくり解いて、今度はその手を俺の腕に絡み付けてきて。 「嘘だよ。鈴鹿くんと一緒に帰りたかったら、待ってたんだ」 直視できないほどの眩しすぎる笑顔でそんなこと言われて。 俺はマジで音がするんじゃねぇかって思うほど、自分の顔がボンっ!!て赤くなるのがわかった。 「な、なに言ってんだよ、おまえ。…そんな、くっつくなって」 「コラっ。おまえって言うな!それで?帰るの、帰らないの?」 相変わらずくっついたままの腕を、力を入れすぎないように気をつけながら外して。 「しょうがねぇな。送ってってやるよ。着替えてくるからそこで大人しく待ってろよ?」 気が乗らない振りを無理やり装って、俺は部室に急いだ。 さっきは泣きそうな顔してたくせに、すっかり余裕の表情になっているこの とかいう教師のことが。 やっぱり俺は好きってことなんだろうな……なんて思いながら、 妙に浮かれた気分で制服に着替えた。 バスケばっかりじゃねぇってのも、たまにはあり、だろ。 とりあえず今日の所は。 ナイトのフリでもしてやるけど。 自覚した以上、今までと同じじゃねぇから。 覚悟しとけよ? end ───────────────────────── 何を?(笑)つーか、どう、覚悟しろっつーの、マジで。 書き直してこれかよ!という、ツッコミは無しの方向で(泣) 補完目的バレバレっぽいですしね。名まえも呼べなかったし(汗) ええと、今回ちと、いつもと書き方を変えてみました。 スズカーっぽさを出すために、会話以外の部分をほとんど心の動きで表現することで、 大幅に描写をカット(笑) というのは、言い訳のための嘘で、描写したくないから誤魔化しただけです。 えへへ。誤魔化し万歳。 |