+--+--+--+ 境界と策略。 +--+--+--+ 「ちょ///////ちょっと待って!!ホントに!!!」 叫ぶような声と一緒に。 オレの両肩に力一杯腕を突っ張って、彼女はオレを押し戻す。 突然の大雨なんて、ありがちすぎるアクシデントのおかげで。 初めて訪れた彼女の部屋で。 今までみたいな、冗談交じりやなく、本気で。 気持ち伝えて。 抱きしめて。 キスして。 その途中。 オレの手が、彼女のシャツのボタンを二つ目まで外した時やった。 形だけ素直に押し戻されといて。 シュンとした振りもついでに、して。 「アカン?」 上目遣いに聞いた。 彼女は、大きく目を見開いた後、盛大にため息をつく。 「はぁ……。アカン?って、当たり前でしょ?」 困ったような、呆れたような、微妙な表情しとる。 まぁ、ほぼ予想通りの反応やな。 あっさりイケるやなんて、思てへんかったし。 正直。彼女の気持ちに気づかんままやったら。 今まで通り、オレはただの、ちょっと懐いてる生徒の振りでいるつもりやった。 玉砕覚悟で気持ち伝えようなんて、これっぽっちも思てへんかった。 ただ、思ってるだけで、報われなくても。 かなり自虐的なやり方やけど、いつか、忘れられる日がくるまで。 放っておくつもりやった。 けど。 気ぃついてしまったもんは止められへんやろ? なんやろな。オレ、無駄に遊んできた所為か、そっちの方の勘働きはええねん。 まぁ、そう言うても、彼女に関しては、相当わかりにくかったんは確かやけど。 彼女は教師で、オレは生徒で。 少し前までは、たぶん無理なんやろな……思てたし。 あっさりオレのこと、好き言うてくれたんは意外やった。 ただ。 言うてはみたものの、これ以上のことになるのは、困る……。 今の彼女の気持ちは、そんなとこやろか? ホンマは。彼女の言いたいことも想像できたんやけど。 「なんで?」 全くわけわからん振りして聞く。 これも、作戦のうちやし。 ───────はよ、言うて?誘導するし。シナリオは完璧なんや。 そんなこと、オレは考えとった。 「なんで?じゃないでしょ?こんなの、ダメに決まってるじゃない。姫条くん、変だよ」 変て……失礼なやっちゃな、ホンマに。 まぁ、無意識に暴言吐くんはいつものことやし。ここは抑えて……。 「何がダメで、どこが変なん?」 いかにも当たり前な疑問っちゅう雰囲気で言うと。 「本気で聞いてる?」 完全に呆れた表情で彼女は続けた。 「ダメなのは、姫条くんがしようとしたこと。変なのは、しようとした姫条くん。わかる?」 彼女も、当然って口振りで言う。 ───────もうちょっとや。アレを言わさな……。 「それのどこが、ダメで変なんかが、全然わからん」 今度は真剣に。逃がさんように彼女の瞳をジッと見つめて。 彼女もオレを見てたんやけど。 どこか悲しそうに一瞬表情を曇らせて、そのままオレから目を逸らすと、 俯いて、小さなため息と一緒に吐き出すように言った。 「そうなっていい立場じゃないと思う。やっぱり、間違ってる」 ───────来た。それや。待ってたで。こっからが勝負や。 「なあ、聞いて?」 ことさら優しく言うて。彼女にオレの方見るように促して。 「べつにな?言いたいことわからんわけでもないし、困らそう思てるわけでもないんや」 そこまで言うと。『だったらどうして?』とでも言いたげな目でオレのことを見る。 「けどな?オレはちゃんのことが好きや。ちゃんかて、さっき、オレのこと 好き言うてくれたやん?そうなるんはむしろ、自然なことちゃうん?」 彼女の髪を、緩く撫でながら、優しく、優しく言う。 「でも……やっぱり、ダメだと思う」 諦めの悪い彼女の言葉に。 ───────切り札、出すしかないんやろか……。 姑息な手段は主義に反するんやけど……。 オレは。 彼女の髪に触れていた手を離し、わざと視線をそらした。 聞こえるように意識してため息をついてから。 「ほんなら、オレのことやなんて、放っといてくれたら良かったんや。 突き放すくらい、簡単やろ?大人やねんから」 吐き捨てるように言うた。全然思てへんけど。実際されたらたまらんけど。 オレが今までどないな気持ちやったかなんて、わからんやろ? 「帰るわ」 ホンマは。全然、これっぽっちも帰りたないねんけど。 こうでもせんかったら気ぃつかんやろ? オレは立ち上がって、『はよ、止めえや!!』思いながら、歩き出した。 7歩進んだとこで……て、べつに数えとったわけちゃうけど。 リビングから玄関に続く、廊下に差し掛かった辺りで。 背中にコトってなんかがぶつかる感覚がして、同時に後ろから、 彼女に抱きしめられとった。 「ご……めん。……わたし、が、間違ってた……」 切れ切れに呟かれた言葉に、なぜか、オレは。 「好き、言うたん、取り消すっちゅうことなん?」 恐ろしいこと、口走っとった。 ───────アカン!やりすぎや、オレ!こんなん予定外や!! 平静を装ってはいたけど、内心ビクビクやった。ホンマに取り消されたら、立ち直れへん。 その時。 彼女のオレを抱きしめる腕が、少し震えた。 「そんな……意地悪、言わ、ないで」 漸く聞き取れるような、小さな声で言われた言葉を、頭の中で反芻する。 ───────これは……作戦、成功したことに、なるんやろか……? なんて言おう?言葉が浮かばん……。思てたら。 「わたし、まどかが、好き。………ね、続き、しよ?」 背中で囁かれた言葉に、腰が砕けそうになった。 なぁ……。いつかは呼んで欲しい、思てたけど。 こんな時に、それは、反則やろ? 作戦は成功のはずやのに、負けた気ぃするんは、なんで? +--+--+--+--+--+--+--+--+--+ 相変わらず、前後関係デタラメな上に、描写不足、すみません。 まどかが出した切り札は、「逆ギレ」……ダサすぎです。 小学生の作文の方が、上手そうだ(笑)。 管理人、脳内を完全に色サマに乗っ取られそうになり、 逃げ惑った挙句の産物ですので、お気になさらないでくださいませ。
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