「俺と付き合ってください!」
友達との下校中、突然そんな告白を受けた。
もちろん、私の通っている学校は
女子校で目の前の男子は、ちょっと有名な進学校の制服を着ていた。
だからといってがり勉というわけでもない。
むしろ、少しスポーツ・・・サッカー部にでも所属しているかもしれない男の子っぽかった。
「あの・・・私ですか?」
「え?、さんですよね?」
「あ、はぃ。そうですけど」
「よかった。俺、新野高校2年の兼田耕助っていいます」
目の前の兼田君という少年は爽やかに挨拶をしてきた。
『新高って言ったら指折りの進学校じゃない』
『へぇ』
隣に居る友達に小声でそう言われたが
別に進学校だからといって何なのだという話。
「あの・・・それで、俺と付き合って欲しいんですが」
「え?!わ、私ですか!?」
「さっきからそう言ってますけど」
「す、すいません」
ようやく自分の置かれている立場に気づいた。
そっか、私告白されたんだ。
告白?
「えっ!?・・・ちょっ、ちょっと待ってください!あの、私なんですよね?!」
「はい、そうです。俺と、付き合ってもらえませんか?」
「えっ・・・あの、あの・・・でもっ」
目の前の兼田君の告白に私は慌てる。
なぜなら、私はちゃんとお付き合いしている人がいるからだ。
かなり年上ではあるけど。
「あの、さん?」
「えっ?!・・・その・・・わ、私・・・っ」
「さん、遅いですよ。少々待ちくたびれたのでお迎えに上がりました」
「コ、コウメイさんっ!?」
タイミング悪っ!!!!
現れたのは、私の恋人・・・18歳と歳の離れた
長野県警新野署刑事の諸伏高明さん(通称:コウメイさん)が
いつもの紳士的態度と微笑でやってきた。
後ろにはもちろん、外国産の愛車を連れて。
「あ、の親戚の叔父さんだ。どうも」
「どうも。さん、今日は敢助君の所に行く予定でしたよね。さぁ早く車に乗って、敢助君は短気ですから」
「えっ!?・・・えっ?」
そう言いながら、コウメイさんは
私の手を握って車へとエスコートしていく。
か、敢助さんのお家に行く予定だったけ?
「あっ、あの!さん・・・お付き合いの、話は!」
「えっ!?」
すると、私がその場を去ると分かったのか
兼田君は大声で私を呼び止めた。
しかも、お付き合いの件を前に出され
私は思わずドキッとして、コウメイさんを見ようと思ったが
何だか顔が見れずに、私は慌てふためきながら・・・。
「あっ・・・あのっ・・・その、また、お返事は今度って事で」
「えっ?じゃあ、考えてもらえるんですね!」
「えっ!?あっ、そうじゃなく」
「では、また今度来ます!!・・・失礼しました!」
そう言って、彼はその場を走っていった。
違うのに・・・ていうか、私何変なこと言ってるの〜。
「さん、車に乗ってください」
「あっ・・・・・・はぃ」
コウメイさんの声で
私は彼の顔も見れず、友達に別れを告げ車に乗った。
そして、コウメイさんも運転席に座り
シートベルトを締め車を発進させる。
「なんですか、今さっきのは」
「す、すいません」
車を発進させて早々、コウメイさんに問い詰められた。
「告白されたのなら、どうしてはっきり”お付き合いしている人が居る“と断らないんですか」
「す、すいません」
「私でも冷静に答えることが出来ます。年下の彼女が居ると、今でもちゃんと言えますよ」
「えっ?コ、コウメイさん・・・告白、されることあるんですか?」
いや、されないほうがおかしい。
だってすごくカッコいいし、物腰柔らかだし、優しいし
見向きもしないのがおかしな位だ。
「えぇ、まぁ。でも、私はちゃんとお付き合いしている女性が居ると言います。さすがに年齢は言えませんけどね」
「そ、そうですけど」
「ですから、ちゃんと言えばよかったんです。少し言えば向こうだって諦めるはずです」
「はい」
ん?ちょっと待って。
「コウメイさん」
「何か?」
「何で、そんなにこだわるんですか?私が告白されただけなのに」
いつもなら、コウメイさんは気にせずスルーな感じで
受け流すはずなのに、今日は何だか執拗以上にこだわっていた。
「・・・・・・」
「コウメイさん?」
すると、信号が赤に変わり車が止まる。
コウメイさんはハンドルから片手を離し、自分の口元を覆い隠した。
「こだわって・・・当然です」
「え?」
「私と君の歳が離れている分、告白した相手が君と同年代・・・・・・焦るに決まってるじゃないですか」
「コウメイさん」
「焦らずにはいられないんです。私は・・・・・・さんを取られたくありませんから」
コウメイさんが・・・・・・嫉妬、してる。
どうしよう、すっごく嬉しいかも。
「こんな気持ちは初めてです。さん、どうしてくれるんですか」
「えっ!?」
「敢助君に連れて来いとパシられたのですが、急遽変更です。むしろ、私をパシりにするなんて不愉快ですよ」
「は!?」
敢助さんにパシられたんですか、コウメイさん。
「進路を変更して、今日は帰しませんよ・・・さん」
「えぇ!?」
「私をこんな気持ちにさせた罰です。しっかりその罪、償ってください・・・君自身で」
「えっ・・・えーーーっ!?」
年上VS年下
恋の火蓋は切って落とされた
(大人の恋人VS告白の同い年。恋の戦いは突然やってきた)