いけない恋だと、十分に分かっている。
彼女は、今は亡き刑事の娘。
そして、私は刑事。
止まることは、引き返すことは、いくらでも出来たはずだった。
踏みとどまりさえすれば、きっと私も彼女も別々の
幸せな道を歩んでいたのかもしれない。
だが―――私には出来なかった。
私は彼女に魅入られてしまったから。
まだ幼さ残る年頃。
だが、その中に眠る甘美な女性の花。
いつかその花が咲き誇った時・・・彼女の美しさは増すばかりだ。
「コウメイさん?」
「・・・はい?」
「さっきからボーっとしてますけど、大丈夫ですか?」
「平気ですよ」
「無理・・・しなくてもいいんですよ。お忙しい時間割いてまで、その・・・」
「大丈夫ですよ、さん」
心配そうな顔をして私の顔を見る彼女。
あぁ、どうしてそんな表情(カオ)をするんですか?
確信犯でやってるんですか?・・・いや、彼女のことだ、無自覚に決まっている。
その表情(カオ)ですら、私にとってはたまらなく愛しい表情なのに。
「少し、考え事をしてただけです」
「事件のことですか?」
「いいえ。・・・まぁ私にとっては大きな事件ではあるかもしれません」
そう、幾分も歳の離れた貴女に恋をし、溺れてしまっているという事件から
抜け出せずにいる・・・長い迷路の中を彷徨うかのごとく。
「解決、できますか?」
「さぁ、どうでしょう。多分死ぬまで無理かもしれません・・・いや、死んでも解決は出来ないでしょう」
「え?」
「さん、貴女なら答えを知ってるかもしれない」
「わ、私が?」
「どうすれば、コレが赦されることになるのでしょうか」
「コウ、メイ・・・さん」
赦されない恋だって・・・いけない恋だって・・・十分に分かっている。
歳が離れすぎているのも、分かっている。
だけど―――。
止めることが出来なくなったこの衝動。
やめることが出来なくなったこの恋中毒。
求め続けても、それでも満足していない。
だから、貴女の美しさの花が咲き誇るまで・・・――――。
「愛してます・・・・・・・・・」
「コウメイさん」
散らしてしまえばいい。
咲く前に、散らしてしまえ
君の中に咲いている美しい罪が生んだ花
(でも、きっと散りはしない。私が永遠に愛し続ける限り)