時々、その口から零れる声で呼んで欲しい。
「・・・っ、あっ・・・あぁっ・・・コ、コウメイさっ、もぅ、やぁ」
「イヤなんですか?やめてほしいんですか、さん」
ほのかな電気スタンドの灯り一つ。
ベッドのスプリングが部屋中に響き渡る。
随分と歳の離れた、愛しい彼女を抱き、求める・・・蜜事。
繋がるだけで、それだけで・・・―――至福と感じれる行為。
「やめっ・・・やめなぃで・・・っ」
「いい子です。最初からそう言ってください、拒否の言葉は誤解を招きますから」
そう言って、私は彼女の中に熱を注ぐ。
動くだけで彼女はただ、その口からは甘美なまでの啼き声を上げる。
その声を耳に入れる度に私の理性は崩壊の一途を辿り
抑制の利かないただの男になる。
「あっ・・・あぁあっ・・・コウメイさっ・・・激しっ・・・ぁん!あ、ああ」
「そうですか?・・・いつも通りですよ」
「ぅそ・・・ぁン!・・・ああ、はぅ、う」
「は、本当に可愛いですね」
「っ!!」
時々、こうやって耳元で
彼女の名前を呼び捨てで呼ぶと、顔から耳にかけて赤く染まり
中は小さな締め付けを起こす。
「少し、締め付けましたね」
「コ、コウメイさん・・・ズ、ズルイ」
「が可愛いからですよ。よく言うじゃないですか、可愛い子ほど苛めたくなるって。
貴女は本当に可愛いから・・・苛めたくなってしまうんです。愛情の裏返しとでも受け取ってもらえればいいのですが」
「コウ、メイさん」
「だから、もっと啼いてください。啼いて、私を求めてください」
「ぇっ?・・・あっ、やぁああ!!・・・コウメイさんっ!・・・そんなっ・・・ひどぃ・・・あぁああん!」
止めていた律動を再び始め
彼女はまた甲高い声で啼きだす。
繋がった部分が擦れ合うたびに、快楽の波が押し寄せてくる。
「やぁっ、ああっ・・・コウメイさっ・・・」
「・・・たまには、ちゃんと呼んでください」
「ふ、ぇ?」
「私の名前です。たまには、ちゃんと私の名前を呼んでください。私だって、今ちゃんと”“って呼んでるでしょ?」
時々、欲しくなる・・・彼女の心と体。
そしてその口から零れる私の本当の名前。
心と体は、いつでも欲している。
だけど、名前は・・・こんな蜜事をしている時、時々欲しくなる。
普通じゃない、なぜか体を繋げているときだけ。
「ぃ、ま・・・ですか?」
「えぇ。今、呼んで欲しいんです。ちゃんと呼んでくれたら、たくさんご褒美をあげましょう」
そう言って、彼女の耳元に口を近づけ・・・――――。
「私を呼んで・・・・・・」
低く囁く。
すると、またしても中が私を締め付ける。
彼女は顔を、それこそ熟した林檎の色の・・・真っ赤に染めて。
涙を溜めた大きな瞳で私を見つめ――――。
「た・・・高明・・・さん」
あぁ、なんと愛おしいのだろうか。
「っ」
「高明さん・・・あっ、あぁん!!やっ、もぅ・・・激しくしちゃ・・・死んじゃぅ!!高明さん!!」
「・・・、もっともっと・・・私を呼んでください」
「高、明さっ・・・高明さん!!・・・あっ、あああっ」
泣いて、啼いて、私を呼んで。
流して、零して、私の名前を。
繋いで、繋がれ、私の想い。
「」
「高明さん」
「愛してます」
落ちて、堕ちて、私の腕の中・・・―――永遠に。
よんで、呼んで、私の名前
感じて、かんじて、私の愛
おちよう、堕ちよう、快楽の底
(きっともう抜け出せなくなっているに違いない)