『いつかまた、私たちは出逢えるのかしら?』
『大丈夫。出逢えるよ・・・必ず』
『この命が、息絶えても・・・私は、貴方ともう一度』
『私もだ。私も、それを望んでいる・・・出来れば、君と』
たとえ来世―――違った形で出逢ったとしても。
「んっ」
「コウ、メイさん?・・・コウメイさん、大丈夫ですか?」
「、さん?」
私はどうやら、疲れてソファーで眠っていたようだ。
目の前には心配そうな顔をしたさんが私を見つめていた。
「こんなところで寝てると風邪引きますよ」
「すいません」
「コーヒー飲みます?私、淹れますけど」
「お願いします」
私がそう言うと、彼女はキッチンへと足を進めていった。
私はというと、起き上がり緩めていたネクタイを締め、頭を抱えた。
しかし、あの夢はなんだったのだろうか?
月の美しい夜。
暗い空に散りばめられた星空の下。
二人の男女が、愛を囁きあっていた・・・あの夢。
朧気ではあるが、古いの中国人のような服装をしていた。
いや、古(いにしえ)の・・・中国人だろう。
今よりもっとずっと・・・古き時代の、中国人の服装だった。
「頭なんか抱えて悩み事ですか、コウメイさん」
すると、さんがキッチンから
ボードにコーヒーの入ったポットとカップを持ってテーブルに置く。
「え?・・・・・・いえ、何でもないです」
「そうですか?・・・コウメイさんは考え事をすると、すぐに深入りして
ご自分の体調管理を疎かにしちゃいますから、気をつけてくださいね」
「えぇ、ありがとうございま」
『貴方はいつもそうでしょ。気をつけてくださいね』
え?
目の前でコーヒーをポットから
カップに注いでいるさんの姿を見て
ふと、先ほど夢に出てきた女性が彼女に薄っすらと重なって出てきた。
私はあまりのことで目が点になる。
「コウメイさん?」
「え?」
「どうかしました?」
「え?・・・ぃ、いえ」
疲れているだけかもしれない。
私もいい歳だからな・・・疲れて、おかしな夢や幻覚が見えてしまうんだろう。
「はい、コーヒーです」
「すいません。私が淹れるはずなのに」
「いいんですよ。お疲れの体に無理はさせたくありませんからね、コウメイさんはゆっくり休んでください」
「さん」
カップを両手で掴んで、私を見て微笑む彼女の頬に私は触れた。
「コウメイさん?」
「君とは、何だか・・・ずっと昔から出逢っている気がします」
「え?」
「そんな、気がします」
「じゃあ、きっと出逢ってるんですよ。恋人同士じゃなかったかもしれませんけど・・・どこかで」
『どこかで、また逢えるかしら』
再び、薄っすらとあの夢の女性がさんの影と重なる。
私は笑みを浮かべ・・・―――。
「いえ、きっと恋人同士だったのかもしれません」
「え?」
「いいや、夫婦だったのかもしれませんよ・・・さん」
「えっ!?」
遙か長い時を、時代を、経て
ようやく、再びめぐり逢うことができた。
違った形で、歳の違いで
私たちは出逢ってしまったが
今一度、君を愛する時を神が与えてくれた。
もう二度と、君を離したりはしない。
時空を越えて 再び出会う
そう、私達は古き運命の元
結ばれた仲だから
(ずっと昔から、私と君が出逢うことは約束されていた)