不思議な夢を見た。


そう、それはとっても不思議な夢だけど
異なった世界に居る、大切な、友達の夢でもあった。



















あの日も、同じようにグラハムにたくさん愛されて
私はいつものように深い眠りに就いた。





眠っていると、突然不思議な感覚に襲われた。


体が宙に浮いて、あまりにも心地悪いので
私は目を覚ます。


すると、そこは・・・戦地跡のような場所だった。









そんな戦場の跡形、たくさんの瓦礫の中、一人の女の子が歌っていた。






ピンク色の髪をした私よりも年下の女の子が
ピンク色のハロを抱えて・・・歌っている。











『こんなに冷たい、帳の深くで・・・貴方は一人で、眠ってる・・・祈りの歌声、寂しい野原を・・・小さな光が照らしてた』







とても優しい歌声と、優しい歌詞。
私は立ち尽くして、その歌声を聞き入っていた。








「・・・あら?」


「あっ」







すると、女の子が私の存在に気付いたのか歌うのをやめた。




「こんにちは」


「・・・こ、こんにちは・・・」




女の子は、優しく私に挨拶をした。
私も思わず戸惑いながらも挨拶を返した。





「私の歌を、聴いていらっしゃったのですね」


「えぇ・・・とても、優しい歌なんだね」


「はい、私はこの歌が大好きです。もちろん、他の歌も」


「え?・・・貴女、歌手?」


「はい。申し遅れました、私ラクス・クラインと申します・・・貴女は?」





女の子は、明るく自らの名前を明かした。
私も、少しずつ彼女に近づきながら、自己紹介をする。








「私は、


「そう、さんですわね。・・・貴女は、ナチュラル?コーディネーター?」


「え?・・・何、それ?」







突然、ラクスちゃんの口から出てきた言葉達に
私は一気に戸惑った。


自然体?と人工体?


何のことやらさっぱりの状態で、私の頭にはハテナマークが飛び交う。








「もしかして、私の居る世界とはまったく違う世界の方ですか?」


「その”ナチュラル“だの”コーディネーター“だのという人種は私の住んでいるところには存在しないよ」


「そうですか。それは、素晴らしい世界ですわね」


「・・・そう、かな・・・」





ラクスちゃんの”素晴らしい世界“という言葉に
私は思わず表情を曇らせた。

すぐに、彼女は私の表情を見て・・・――――。







「何か、あるのですか?」


「私の住んでいる世界は・・・国同士が、長い戦争を続けているの。
同じ人種が、ただお互いの力を見せ付けるように、戦争を続けている」


「まぁそうですの。・・・何処の世界も、同じなのですね」


「ラクスちゃんの言う、”ナチュラル“と”コーディネーター“って何?」






私は彼女の隣に腰掛け、先ほどの言葉の意味を問いかける。





「”ナチュラル“と言うのは、直訳で自然体と言う意味で・・・ありのままの人間の事を差します。
反対に”コーディネーター“と言うのは、言わば遺伝子を組みかえられた人間のことです。」


「スゴイ文明が発達してるんだね」


「その文明の発達が、人々に争いを招いたのです。
もう数多くの命が失われています。だから、人は兵器を作った・・・ガンダムという兵器を。
一刻も早く、戦いを終わらせるために」


「え?・・・ラクスちゃんの、世界にも・・・・居るの、ガンダム」


「えぇ。さんの世界にも?」



「うん」








異なった世界に存在する、ガンダムという機体。


こんな偶然が起こりえるのだろうか?










「私の愛する人は、ガンダムのパイロットなんです」


「え?・・・ガンダムの、パイロット」


「はい。以前は何の為に戦っていたのか分からなかったのですが、今は・・・愛すべき、人や星を守るため」


「私の世界は・・・ガンダムを皆、憎んでる」


「ガンダムを、憎む・・・ですか?」









私設武装組織集団が所有する、ガンダムと言う機体。


そして、悉くそれは、憎しみを買うような武力による戦争根絶。
皆、ガンダムの存在を良いと思っていない。




そして、私の愛する人は・・・―――――。









「そんな、ガンダムを倒そうとしている人なの」


「まぁ・・・ガンダムを倒す?」


「えぇ。私の住んでいる国の最高のMSで、私の彼は、エースパイロット。いつ、死んでもおかしくない立場で」


「そうですか・・・お互い、苦労はしてますね」


「そうだね」








彼女の彼は、ガンダムのパイロットで
私の彼は、そのガンダムを倒そうとしているMSのパイロット




でも、世界が違っていても、私達は何だか仲良くなれた。







「さっきの歌、とても素敵な歌だね」


「希望の大地・・・そういう題名ですわ」


「希望の、大地」





さっき、ラクスちゃんが歌っていた、歌の事を私は聞き始めた。






「今は争いの耐えない世界だけれど、いつかは平和で、皆が笑って暮らせる世界が来る。
そんな希望を抱いて、私達は、生きていくという願いです」


「素敵な歌だったよ。・・・私、歌のことよく分からないけどね・・・凄く心の奥底に響いてきた」


「ありがとうございます、さん。よろしければ、歌いましょうか?」



「うん!もっと聴かせて」






そう言って、ラクスちゃんは微笑んで、”希望の大地“を歌い始めた。









『今はただこの胸で、貴方を温めたい・・・懐かしく、まだ遠い・・・安らぎのために・・・Fields of hope・・・』









それは、とても優しい歌で

本当に、いつか、平和が来るようにという願いが込められた歌詞で

愛する人を包み込むようなそんな歌で

まるで母親の腕の中に居るような・・・そんな感覚でもあった。








『懐かしく、まだ遠い・・・約束の野原・・・Fields of hope・・・』








違った世界の人が、こんなにまで平和を望んだ歌を歌っているのに
どうして、人は争ってしまうのだろうか。









さん?」


「・・・あぁ、すごいね、ラクスちゃんやっぱりスゴイ」


「ありがとうございます。・・・もう、そろそろ、行かなくてはいけないかもしれません」


「え?・・・ま、待って!」






すると、ラクスちゃんの体が消えかかっていた。
私は、急いで彼女の側に近寄り、手を握った。








さん?」

「ラクスちゃんの世界もいつか、きっと平和になるよ!!だって、ラクスちゃんの歌で
ラクスちゃんの愛する人は立ち上がって戦ってるんでしょ?なら、きっとその人が
平和に導いてくれるよ!ラクスちゃんのことも、守ってくれるよ!」







違う世界だけど
この子にはちゃんと愛する人が居る、この子を愛してくれる人が居る。


なら、きっとそれは彼の光になり、彼女の光にもなる。
たとえ、それが・・・私の世界で、憎まれている、ガンダムのパイロットだとしても――――。







さんの世界だって、いつかは一つになりますわ。
貴女を愛する人が貴女を守ってくださる限り・・・何も心配しなくてもいいんです。
たとえ、異なった世界で、私の彼はガンダムのパイロット・・・貴女の彼は、ガンダムを倒そうとするパイロット。
ですけど、私達が、愛する人を支えていく限り、彼らの灯火は消えたりしません」



「ラクスちゃん」



「貴女に今日、此処で出逢えた事・・・本当に嬉しく思います」



「私も、貴女に出逢えてよかった」








そう言って、彼女の手が消えていき・・・光が空へと舞い上がる。








さん、また・・・どこかで逢えたら・・・こんな風に楽しくお喋りしましょう』



「うん・・・絶対、しようね」



『その時は、さんの愛する人・・・私に教えてください』



「ラクスちゃんも教えてね!」



『はい』







きっと、逢えるよ・・・世界が違っていても
また、どこか出逢えるよ・・・そうでしょう・・・?



























『ラクスちゃん』
















「・・・ラクス、・・・ラクス?」


「キラ・・・すいません・・・私、寝てました?」


「大丈夫?・・・少し休んだら?電話しても応答ないから心配したよ」


「ごめんなさい・・・少し、夢を見てました」


「どんな夢だい?」



「違った世界にいらっしゃる、私のお友達の夢ですわ」


「そう。・・・また、逢えると良いね」


「えぇ。・・・その時は、キラのことも紹介するつもりですわ」


「え?!ぼ、僕のこと?!・・・まいったな・・・ヘンなこと言わないでね」


「さぁ、どうでしょうね・・・ウフフ」







さん、また、どこかで、逢いましょう。





いつか、必ず・・・希望の草原が広がる約束の、大地に。





















・・・?」


「・・・んっ・・・グ、ラハム?」





私は目を覚ますと、グラハムが心配そうな顔をしていた。







「どうした?魘されていたぞ?」


「え?・・・あれ?・・・寝室だ」








私は目をこすりながら起き上がると、其処は元居た場所。



つまり、グラハムと眠っていた寝室だ。






さっきは、戦場の跡地みたいな場所に居たのに
それが夢なのだと、ようやく実感した。








「うなされているから、心配したじゃないか・・・大丈夫か?」


「うん。・・・あ、あのね・・・グラハム」


「ん?」





グラハムに、ラクスちゃんのこと話したら信じてくれるだろうか?


でも、ラクスちゃんの彼はガンダムのパイロット。
しかし世界は違うけどガンダムのパイロットには変わりない。

だけど、ラクスちゃんのことを彼にどう教えればいいのだろう?








「う〜・・・どうすればいいの?」


「それはコッチのセリフだぞ、。何を一人で悩んでるんだ?」


「あ、あのね・・・その、えーっと・・・なんて説明したらいいのかな」


「君が夢でうなされるなんて珍しいな。さて、私はそろそろ準備をするかな」







彼はベッドから体を出して、出勤する準備をする。



離れていく彼に、何て話せば・・・いいのか悩んでいると
ふと、頭を過ったあの歌。













『こんなに、冷たい・・・帳の、深くで・・・貴方は、一人で・・・眠ってる・・・』



・・・?」



言葉でなんて伝えればいいのか分からないけど
ただ、覚えていることは、ラクスちゃんが歌ってくれた・・・”希望の大地“だけ。











『貴方の夢を見てた、子供のように笑ってた・・・懐かしく、まだ遠くそれは未来の約束』








覚えているところ、だけでも・・・何か、グラハムに伝わってくれれば。








「・・・グラ、ハム・・・」





すると、彼は着替えを止めて
私の隣に腰掛け、優しく頭を撫でてくれた。







「優しい歌だな、何処で覚えてきたんだ?」


「あ、あのね!・・・友達が、教えてくれたの!!」


「そうか。イイ子かなその子は?」


「うん、とっても優しい子・・・平和を願って歌っている、とっても優しい女の子だよ」


「そうか。・・・が言うなら、間違いないだろうな。私も逢えるだろうか?」








違った世界に居るけど、きっと、きっと―――――。









「逢えたらいいなって思ってる」








私の言葉に、グラハムは目を見開かせ
驚いた表情になったが、すぐに優しい顔に戻った。








「・・・そうか。なぁ覚えてる部分だけで良いんだ、もう一度歌って・・・その歌」


「出勤の準備は?」


が歌い終わってからする。さぁ、歌って聴かせて」


「・・・うん」








たとえ、住む世界が違っていようとも

どこかできっと逢える。




だって、それは

約束の大地が、また再び、私たちが逢うことを

示してくれるはずだから。





それまで、この歌を、私は、愛する人に歌い続けるよ。





貴女を忘れないように、そして、もう一度貴女に逢えることを信じながら。







Fields of hope〜異なった世界で〜
(違った世界に居ようとも、再び約束の大地で逢える事を信じて)
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