頭に触れてくる、優しい感触。

それに脳が刺激され、瞳をゆっくり開けると
ベッドから出て、私の髪を触っている最愛の彼女が居た。










「あっ」


「んっ・・・おはよう・・・


「うん、おはよう。グラハム」







私はうつ伏せで寝ていた状態から
体を仰向けにして、まだ目覚めぬ瞼に腕を乗せた。








「ごめん、起こしちゃった・・・よね?」


「いや、いい。・・・今何時だ?」


「6時半だよ」


「えらく、今日は早起きだな


「お腹空いちゃって。だから朝ご飯の準備してたの」


「そうだろうな。まぁ昨日、アレだけ啼けばな」






私は腕を少し退かし、隙間から顔を伺う。

すると、隙間から覗いた彼女の顔は真っ赤に染まっていた。


私は笑みを零しながら、顔に置いていた腕を
の頬へと伸ばし触れた。







「困った顔をするはいつ見ても可愛いな」


「・・・っ・・・バ、バカ・・・朝ごはんあげないわよ」


「それは私が困る。食事は栄養にもなるし、それにとの食事は一日たりとも欠かしてないだろ?」


「・・・まぁ、そうだけど」


「それじゃあ、起きるとしようかな」


「あ、まだ寝てていいよ。出来たらまた起こすから」





私がベッドから起き上がろうとすると
は慌てて、まだ寝てていいと促してくれた。








「いや、シャワーを浴びるんだ。私が上がる頃にテーブルに食事を並べておけばいいだろ?」


「あ、そっか・・・。じゃあ、早く入って上がってきてね」


「はいはい」








そう言っては嬉しそうな顔をして
寝室を出て行った。


しかし、何故彼女は私のシャツを着ているのだろうか?というその疑問に襲われた。
だが、その疑問などすぐさま掻き消された。

あんな格好で部屋中をウロウロされると、今にでも襲いたくなる。


そう。

疑問に思うことよりも、欲の方がどちらかと言えば勝ったのだ。






「朝っぱらから、何を私は」





私は思わず頭を掻いた。


朝っぱらからそんな事を考えた自分が少々情けないと感じた。

とにかくシャワーを浴びるために、私はベッドから出て
寝室を後にする。


其処を出たときに、キッチンから朝食のいい匂いが
鼻を掠めて、ちょっとお腹がなりそうになったのは言うまでもない。































―――――グラハム起床30分前の事。









久々にグラハムよりも早起きをして
たまには手の込んだ朝食をと思い、はキッチンで考え込んでいた。






「とは、言うものの・・・何にしよ・・・」





手の込んだ朝食、とは呟いたものの
最近はグラハムに夜中までせがまれ、結局寝るのは深夜3時頃にまで。

其処から眠って起きるのは大体7時〜8時近く。


起きてからの朝食作りは、忙しさを極め
大体が定番のメニューで落ち着いてしまう。







「たまには豪勢に・・・って夕食じゃないしなぁ〜」






彼の大好きなマッシュポテトは確実に外すことができず
はそのためにたっぷりのお湯で、只今ポテトを煮込んで柔らかくしてる最中。

冷蔵庫の野菜室を開ければ、サラダの材料は残っており
水につけて、水気を落とし後は盛りつける作業だけを残していた。





「副菜決まったけど・・・主食よ!・・・トーストはもう飽きちゃったし・・・此処は何か作るか」






そう言いながらは再び冷蔵庫を開ける。



すると、小麦粉、卵、牛乳・・・等など・・・まったく主食とは
無縁の品々が冷蔵庫を陣取っていた。


これじゃあ、トースト決定じゃない・・・と、
心の中で呟いて思って肩を落としていた矢先―――――。







「あ、作ればいいじゃん!!・・・そう、そうよ!!作れるじゃない!時間あるし」







時計に目をやるとまだ6時と時間はいつも以上にたっぷりあることに気付いた。

はウキウキしながら冷蔵庫で主食が作れるものを出す。




小麦粉と卵、牛乳・・・と色々な物が並ぶ。








「パンケーキにベーグル。ああでも、スコーンでもいいかも。フレンチトースト・・・あ!」









すると、彼女はハッと思いついた。






「ワッフル!ワッフルにしよ。バターもあるし。
確かこの前グラハムのお母さんにワッフルプレート貰ったし・・・うん、そうしよワッフル決定!」







そう言ってようやく主食が決まり
必要な材料がなんと奇跡的に揃っていた。


はワッフルの種を作り終え後は
グラハムが起きてから焼けばいいと思い他の添え付けのおかずの準備をして

彼女はまだ寝室で寝ている彼に早く起きてほしいあまり
柄にもなく浮かれながら、まだ眠りの世界にいる彼の元へと行くのだった。

































「ふぅ・・・久々に余裕のある時間だな」





私はバスルームから上がり
濡れた体を、柔らかいタオルで拭きあげ
多分が用意してくれたであろう、日干しされ太陽の匂いと
優しい洗剤の香りが付いた白いシャツとジーンズを着て
頭にタオルを被せたまま脱衣室を出た。









―――――PRRRR・・・!!









すると、昨日リビングに置きっぱなしにしていた
携帯が鳴り響き、私はすぐさま駆け寄り、取って着信に出る。







「私だ」


『あ、エーカー大尉おはようございます・・・ジャックです』


「あぁ、おはようジャック」







どうやら電話は部下のジャックからだった。


私はまだ乾かない髪を頭に被せたタオルで無造作に拭きながら
ジャックと会話をする。









「えらく早いモーニングコールだな」


『ヘンなこと言わないでくださいよ。今日の会議のことでちょっとお伺いしたいことがあってお電話したんです』


「分かっている。それに男からのモーニングコールはゴメンだ」


『大尉にはお嬢さんが居るから、毎朝起こしてもらってるんでしょう?』


「鋭いなジャック。それで、今日の会議がどうした?」









今日の午後にある会議で
知らせる内容についての事で、ジャックはどうやら電話をしてきた。


私はすぐに彼の質問に応答したのだった。








『わかりました。じゃあ、それで行きます』


「あぁ頼む。じゃあ、午後に会おう」


『はい。では失礼いたします』







そう言ってジャックは通話を切断し、私も電話の切断ボタンを押した。







「ジャックさんから?」






すると、キッチンからの声が聞こえてきた。


私は彼女の姿を見て、携帯を机の上に置いて、キッチンに足を進めながら話しかける。






「あぁ、今日の会議のことでな・・・ちょっと」


「ふぅ〜ん」






軽い返事だが、深刻な話じゃないと分かっての声だった。




それにしても、なんだか今日の朝食はいつもと違う。


鼻を掠め、食欲をそそる、バターの香り。


キッチンで料理をしているの後姿に
私は笑みを浮かべながらそっと近づき・・・―――――。









「っきゃ!?」


「今日の朝食は何かな?」










後ろから抱きしめ、何を作っているのか尋ねる。

すると、電子コンロの隣・・・白いお皿に出来上がっていたモノに目がいく。
キツネ色に焼きあがったデコボコした正方形。







「ほぉ、ワッフルか・・・珍しいな」


「えへへ、でしょ。・・・・あ、グラハム甘いのちょっとダメって言ってたから
ストロベリージャムとかマーマーレードとかあるから付けて食べてね」


「あぁ。・・・どれ、ひとつ」


「あー・・・つまみ食い、ダメー!!」


「いいだろ、別に」









そう言って、私はを後ろから抱きしめたまま
お皿に乗っているワッフルに手を伸ばし、近くにあったメープルシロップを
少量垂らし、口へと運んだ。







「ちょっ、ちょっとーつまみ食い禁止って言ったでしょ!!」


「腹が減ったんだ。良いだろ別に。んっ・・・ウマイなコレは、もう一つ貰うぞ」


「もう、ダメ!ダメだってば!」






そう言って、は私の左手を叩いた。







「叩かなくても良いだろ」


「叩かないと分からない人ですから貴方は」


「どういう意味だそれ」


「別にー・・・あーもう、ホラ・・・手」


「え?・・・あぁ」






するとの指摘の声に私は左手を見た。

どうやらさっきのつまみ食いで慣れない右手でワッフルにシロップをかけて
さらにそれで左手で持って食べ、左手にもシロップがかかっていた。





ふと・・・いいことを思いついた。







私はの目の前に
シロップが流れ落ちている左手を見せた。









「ちょっ・・・何?」


「・・・舐めて」


「は?」


「洗い流すなんて勿体無いだろ?・・・ホラ、舐めて」


「イ、イヤよ・・・何で」











抵抗するに私は更に指を彼女の前に押し進め・・・。










「舐めて。・・・じゃなきゃ、君の服と床が汚れてしまうぞ。
シロップなんてベタベタしてに零れてしまったらそれこそ最悪じゃないか。
君もそんなフローリング、掃除したくないだろ?」


「そ、そうだけど・・・っ」


「なら、はい・・・舐めて」






そう言うと、は渋々口を開いて
私の指についたシロップを舐め始めた。









「っ・・・んぅ・・・あ」


「そう。・・・綺麗に舐めとるんだ・・・


「んン・・・ふ・・・あぅ・・・」







は丁寧に私の指に付いたシロップを舌でキレイに舐めとっていく。



あぁ、どうしよう・・・その仕草ですら可愛くて仕方がない。





指に触れる彼女の舌。

舌のザラッとした感触が、指先に触れて、もっと、もっと・・・・・・――――。












「っ・・・あふ・・・グラハム・・・もぅ」


、こっちを向いて」


「え?・・・んっ!?」









私は指を彼女の口元から離し
私のほうにむくように指示すると、彼女は何の躊躇いもなく私のほうに向く。


そして、私はムリヤリ彼女の唇と自らの唇を重ねた。




乱暴に、彼女の口腔内で舌を動かす。





「んっ・・・あ、・・・あン・・・グ、グラハム・・・んンッ!」







呼吸する隙すら与えないほど私はとのキスを繰り返す。


の口の中はほのかに、先ほど
私の指に付いていたメープルシロップの甘い味がする。


だが、キスを繰り返すだけでその甘さが引き立つほど
あまりの甘さに眩暈が起こりそうだ。










「ぁ・・・や、・・・・んン・・・グラハム・・・こ・・・焦げちゃう」


「なら、こうすればいいだろ?」








はワッフルが焦げるのではないかと心配して私からどうにか唇を離した。


だが、私はまだまだキス足りなさに、彼女の背後
電子コンロの電源を落とす。






「ちょっ・・・な!?」


「ホラ、続き」


「だ、ダメよ・・・もう、食べなきゃ・・・グラハム遅刻っ・・・」


「そうだな」


「そうだなって・・・ちょっと・・・もっ、あン・・・っ」






私は、の言葉を聞き流した後
彼女の首元に顔を埋め、そのまま吸い上げるようにキスをし
赤い所有者の斑点を残した。







「グ、グラハム・・・!!」



「すぐに終わる」



「終わらな・・・ひゃっ!?」



「まったく、こんな格好をして私の気を惹こうなんて・・・朝からサービス精神が旺盛だな」



「な、何勘違い・・・っちょっ!何処触って・・・!」



「何処って・・・君が感じる場所」



「時間考えて・・・朝だよ今!・・・え?え?何・・・ちょっとシロップなんか何すんのよ!」








私はワッフルの乗った皿の近くに置いてあった
メープルシロップの入ったボトルをの目の前に出し―――――。














「さぁ、朝食の時間だ」




「え?」













「  い た だ き ま す  」









笑みを浮かべて、甘いハニーに舌鼓をするのだった。








Breakfast→Oh My Honey!
(コレを又の名を【シロップ事件】という) inserted by FC2 system

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