「ただいま」

「あ、グラハム。おかえりー」

「どうしたんだ、。びしょ濡れじゃないか」





自宅に帰ると、が頭に
タオルを置いて、髪の毛を念入りに拭いていた。

服も微かに濡れている。

早く拭いてあげないと、風邪を引いてしまうと思い
私はからタオルを取り、体や髪を丁寧に拭いていた。






「おフロ・・・入ろうとしたら、お水が」


「間違えて水のボタン押したんだろ」


「違うー。ちゃんとお湯のボタン押したの。・・・だけど」


「水が出てきたと?」


「そう」









私はの髪を拭きながら、少し考え・・・・・・。









「管理人に連絡してみるか」






そう言って、インターフォンの受話器を取り、管理人室へと連絡を入れる。






『はい。管理人室です』


「もしもし・・・最上階のグラハム・エーカーです。あの、実はバスルームのシステムが」


『あぁ、エーカーさん。連絡遅くなって申し訳ないね』


「はい?」





連絡を入れ、用件を言おうとした途端
突然管理人は私の言葉を遮るように、謝罪をしてきた。







「あの、一体どういう?」

『実は、バスルームのシステムが突然故障をしてしまってね。
エーカーさんのお部屋に限らず、マンション全体に影響が出てて、今現在復旧作業が行われているんですよ』

「そうでしたか。どれくらい、かかります?」

『明日の午後には終わる予定ではありますね。もし、日にちが延びるなら、またコチラからご連絡いたしますよ』

「分かりました」







そう言って、管理人との会話を切断し受話器を置く。






「管理人さん、何て?」

「マンション全体のバスルームのシステムが故障したらしい。明日には復旧する予定とは言っていたな」

「じゃあ、今日おフロどうするの?」






に問いかけられ、私はしばらく考え込み・・・・・・。






「じゃあ、行くか」

「は?何処に?」

「あそこに」

「?」






は首を傾げながら、私を見ていた。

そして、私とは軽い身支度をして2人で出かけたのだった。



























「うわぁ〜・・・何此処!?人がいっぱい!」

「パブリック・バス・・・日本では”セントウ“と言うらしい。
お金を払えば、色んなおフロに入れてくれる場所なんだ」



以前、カタギリと来た事を思い出し
私はを連れてやってきた。

だが、彼女にとってそれは初めての場所で、子どものように
目をキラキラと輝かせながら、周囲を見渡していた。


私は笑みを浮かべながら、2人分のチケットを買う。





「はい。の分」

「ありがとう!・・・入る場所は、別々だよね」

「当たり前だろう。まぁ、他の男が君の体を見ないだけ、全然マシなんだがな」

「も、もう!・・・・・・じゃあまた後でね、グラハム」

「あぁ、後で」





そして、は入り口に私があげたチケットを渡し中へと入っていく。
私も彼女の姿を見送り中へと入っていくのだった。
















-------30分後。












「(・・・・・・長いな)」







と入り口で分かれてから、30分が経った。


私は入って10分弱で上がってきた。
やはり、家と違ってのんびり出来ない。

様々な種類のお湯があるのは良いのだが、人が少々多い。
家のほうがくつろいで入れる。

だから、私はてきぱきと全てを済ませ
軽く入って、すぐさま上がり待合室で1人置かれていた新聞を読んでいた。



しかし・・・が、一向に上がってこない。



「分かれて30分は経っているというのに、まだ入っているのか?」と
私は心の中で呟いた。やはり、女性というのは
男と違って、長湯が好きな人が多いみたいだな。

そう思いながら、私はファッション用の眼鏡を目元に戻し、新聞を捲る。

















「あ。グラハム、先に上がってたんだね。おまたせー」

「あ・・・・・あぁ」





がようやく上がってきた。



だが、その姿に私の心拍数は凄まじい早さで脈打っていた。


見慣れているはずの、の風呂上りの姿。


だけど、何処かいつもと違う雰囲気に私の心臓や、体温
洗い流したはずの汗が外へとにじみ出てくる・・・・・・体中で緊張しているのをそれは表していた。







「ごめんね。色んなおフロがあってビックリしちゃってね・・・グルグル動き回ってたの」

「そうか。楽しかったか?」

「うん!」





は嬉しそうな声で、私の声に答えた。



彼女の体から、ほのかにローズの匂いが私の鼻を掠めていった。

いつもと違うボディーソープやシャンプーの香り。
思わずその匂いに酔って、眩暈が起こりそうだ。








「あ・・・・あのね。は、早く・・・帰ろう、グラハム」


「え?・・・あぁ、そうだな。早く帰らないと湯冷めしてしまうしな」





突然、が私の腕を握り、引っ張る。

だが、何だか彼女が少し焦っているようにも思える。


言われるがまま、引かれるがまま、外へと出て
マンションへと戻った。




帰り道、は黙り込んだまま何も話さない。

何とかこの沈黙を脱出すべく私は頭をフル回転させ
会話を起こそうとする。







「そうだ。帰りに、の好きなアイスクリーム屋からアイスを買ってあげればよかったな。
君は、あそこのストロベリーとバニラの合わさったフレーバーが好きだったし」

「・・・・・・・・・」









はい。反応なし。


好物の話をすれば確実に乗ってくると思ったのだが
反応する気配が無い。



は一体、どうしたというのだろうか。

さっきまで楽しそうな顔をして、嬉しそうな声をあげていたのに。



私はゆっくり、の顔を覗き込む。







、ちゃん?」




「・・・・・・ごめんね」




「え?」





いきなり、は私に謝罪をしてきた。
唐突に謝れても困るのだが・・・というか、私が何かしたのか?








「いきなり、出ようなんて言って」

「別に構わないが・・・しかし、どうしたって言うんだ。さっきまであんなに楽しそうな顔してたのに」

「・・・皆、グラハムの話ばっかりするの」

「え?」





私の話・・・・・?

の発言に、何のことやらさっぱり理解不能だ。








「女湯の人たち・・・・・・皆、グラハムの話ばっかりするの。入ってくる人、皆・・・グラハムの話、してた」



「そりゃ、グラハム・・・カッコ良いし、皆見るの分かるけど・・・やっぱり、何か・・・その、ね・・私は・・・わたしは・・・」































イヤ・・・・・・だったり、するの」









は自分の手を絡ませながら
顔を赤らめて、言った。


ようするに、彼女は嫉妬しているのだ。


私は、ゆっくりの頬に手を添えておでこをつけた。








「そんな事思ってたのか?」

「だっ・・・だってぇ」

がそう思う以上に、私だって・・・同じ事考えたんだよ」

「う、嘘だぁ」

「本当だ」






知らないだろう?

君が上がってきた瞬間・・・・・・男たちの視線は全部君に注がれていた。

その場にいる奴らの目を塞いでしまいたいくらい・・・私だってイヤだった。

あのときの君の姿はとても可愛らしくて、艶を帯びていた。



を見るな、彼女は私だけのモノだ!」・・・そんな、考えまで
私の中を駆け巡っていた。







「君以上に、私は周囲に嫉妬しているんだよ

「グラ、ハ・・・あっ!」




私はそっとの瞼にキスを落とす。
さっきまで匂っていたほのかなローズの香りが・・・今は強烈に
私の嗅覚へと伝わってくる。

汗ばんだ緊張が解け、理性の一本一本が切れていく。



抑えていた気持ちが、風船のように爆発し始める。










「大丈夫。私は君のモノだから」

「グラハム・・・ま、まっ」

「待てない。・・・今すぐ君が欲しい」

「おフロ、入ったばっかり・・・っ。・・・それに、マンションのシステムもまだ」

「明日には復旧してるんだ。部屋に戻って、朝まで愛し合えば全然大丈夫だよ。
それに、からイイ匂いがするから、今すぐ欲しくてしょうがないんだ」

「ちょっ!?や、やだぁ〜」

「君が誘ったんだ・・・その誘惑、たっぷり体で返してくれよ・・・なぁ

「うー・・・うぅう〜」








SYSTEM ERROR?
(私の中のシステムは、君のおかげで毎日狂いっぱなし)
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