食事の後片付けをしていたら
グラハムの首が首振り人形のように、カクカクと動いていた。

あまりの事で私は食器を濯ぐ水を止め
彼の元へと駆け寄る。



顔を上から覗くと、手には仕事の書類を掴んで
うとうとしている彼の姿が目に入ってきた。








「グラ、ハム?」



「っ・・・あ、






声をかけると、彼は驚いた表情を見せるも
ため息を零し私を見上げた。


ぶつかった視線はとても、そう・・・眠そうに見えた。







「どうした?」



「首だけ動いてたから、おかしくて。・・・グラハム、眠いの?」



「さぁ・・・よく、分からない」







よく分からない、なんて言葉を零したけれど
あきらかに目は眠そうだし、放っておいたら確実に寝そうな勢いではある。

しかし、此処で「眠そうにしてたよ」なんて言うと
「違う」ってわけのわからないヘリクツを並べそうな気がしてきたから
彼に言おうとしていた言葉を飲み込んだ。


だが、あまり言わないのも可哀想に思えた。

眠そうにしている人をこんな所に放っておくのも否めない。






「眠いなら、寝室行ってもいいよ」


「いや、まだいい。書類の整理もあるし、君がお風呂から上がってくるのを待ってる」


「無理したらダメだよグラハム」


「無理などしていない。それに眠くないから、お風呂済ませておいで」








グラハムの手が頬に触れ、そっと引き寄せられ唇が軽く触れ合った。

やんわりと微笑むその顔に絆されてしまい、何も言えなくなる。







「もう少ししたら、食器洗い終わるから・・・すぐお風呂入るね」


「ああ」





そう言って私は彼から離れ、再びキッチンに。

濯ぎ途中の食器たちと格闘をして3分後。
ようやく後片付けも終えて、濡れた手をタオルで拭いながらソファーに目を向ける。








「あれ?」






向けた途端、さっきまで居たはずのグラハムが居ない。

先に寝室に行った?と思うも、いつもの彼なら何も言わずに
我先に行こうという人ではない。

先に行くとしても「、先に寝室で待ってる」とかそういう言葉を言い残して
居なくなるのが・・・いつものグラハムである。


しかし、今現在彼の姿が見当たらない。



おかしいと感じた私は手を拭き終えて、ソファーの所に向かうと――――――。








「結局寝てんじゃん」






ソファーに体を預け、横たわって眠っているグラハムを発見した。
しかも、手には書類を持ったまま。

つまりさっきの状態のままで彼は眠りの世界へと旅立たれたご様子。


やっぱり眠かったんだ、と苦笑いを浮かべながら
フローリングに腰を下ろし、ソファーに横たわって寝ているグラハムの顔をまじまじと見る。




規則正しい寝息を立てながら眠るその姿。



毎日演習とか、書類整理とか、私の知らないような仕事をこの人はたくさんこなしている。

疲れて当然。
ピリピリとした場所じゃ休む暇もない。

トップファイターとしてのプライドと、部下からの厚い信頼。






「少しくらい休める場所があれば、いいんだよねグラハム」







彼の羽を休める場所が、私の側だったら・・・なんて思うけど
私が言わなくても彼はきっとこう言うに決まってる。




『君は十分に私の居場所−羽を休める場所−になってるよ』って。









「言わなくても分かってるもんね、グラハム」








眠る彼に、微笑む私。


時には我慢をせず、遠慮もせず、羽を休めてください。
私はいつだって貴方の休む場所に居ますから。





羽を休める、その場所に。
(いつでも、私は此処−貴方の側−に居るよ) inserted by FC2 system

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