この歯痒い気持ちを何処へぶつければいい?
「・・・ただいま、・・・って寝てるか」
時間は深夜。
私はようやく任務を終えて、自宅に戻った。
階段を上り、寝室に入ると愛しい彼女は正しい寝息を立てて眠っていた。
私は来ていた服をハンガーにかけ、顔全体を覆っていた仮面を取り外し素顔になる。
そして私服へと着替え、眠っているの側に腰掛ける。
「・・・んぅ・・・グラ・・・ハムゥ?」
「すまない、起こしたか?」
すると、ベッドのスプリングでは眠気眼で私を見た。
私はそんな彼女の頬をそっと撫でる。
「うぅん。おか、えり」
「うん、ただいま」
軽く挨拶を交わし、私は眠っているに優しく口付けを落とす。
そして、私は体を滑らせるように彼女の体にキスを落とす。
「んっ・・・んン・・・」
「フフフ・・・、可愛いな」
「も・・・やぁ・・・」
「眠っていたら説得力ないぞ?」
そう言って私はの体をまさぐる様に
体の所々触っていく。
白い絹のような肌は、細部に進むほど滑り
何とも言えないほどの甘い声で抵抗する。
しかも眠っているから、なお無防備。
あぁ、可愛い・・・今すぐ体を重ね・・・―――――。
待て。
私はハッとして、すぐにから体を離した。
「(私は何を考えているんだ・・・この子は、妊娠しているんだぞ)」
そうだ、のお腹の中には新しい命が宿っており
確かメアリィ姉さんから聞いたところ、妊娠中は性行為を避けるべきだと言われた。
だが、しかし。
「(触りたい)」
「ん〜っ」
は曇った声で寝返りを打つ。
暑いのか、毛布を跳ね除け足が外に放り出されている。
そして、どうしてなのか私のシャツを着て眠っている。
更に言うと、ボタンが2個ほど開いて・・・ブラが・・・胸の谷間が・・・見える。
完璧この状況は。
誘っているとしか思えないだろ!!
無防備な寝顔に、毛布を跳ね除けた生足。
薄く開かれた唇にボタンが開いた所から見える寄せ上げた胸。
「(ゴクンッ)」
思わず生唾を飲むほどの誘惑。
だが、体を重ねてはならないという。
ここでそのタブーを犯してしまえば
確実に・・・子供が出来ないかもしれない。
だけど、この今あるオイシイ状況。
見逃していいのか?あえて見逃すか・・・・グラハム・エーカーよ。
コレだけオイシイ演出が揃っていながら彼女の体を考えて見逃すか?
見逃せるわけがない!!
「(だから、触るだけ・・・重ねなければいいのだろう!)」
結論にたどり着いた私は
彼女の秘部に触れてはいけないというストッパーを脳内でかけて
抑えきれない欲望を、ただ触るだけの行為で済ませようとしていた。
「んっ・・・ん」
「・・・触るだけ。ちょこっと触るだけだから」
そう自分に言い聞かせ、に近づき
服の下から手を中へと入れ、胸へと触れ・・・優しく揉み始める。
「んぅ・・・ふ・・・んン」
「」
「ぁ・・・グ、グラ・・・ハムゥ・・・だ、だめぇ・・・」
「本当に、可愛いな君は」
寝ぼけているのか正気なのか・・・完璧に襲ってほしいサインにも見える。
だが、彼女の体を考えたら襲うなんて絶対に出来ない。
だから触ることで勘弁しているが抑えこむのも時間の問題。
「(いかん、鼻血が出そうだ)」
「も、もぅだめぇ・・・」
「君って子はまったく」
「グラハムゥ・・・やぁん」
「触ってるだけなのに、随分感じてるな・・・」
私はただ、触っているだけなのに
何だろうか・・・こう・・・ムラムラした気持ちは。
の胸を触っているだけなのに
ムラムラした気持ちになる・・・ダメだ、止まりそうにない。
私は、が起きないようにシャツのボタンを外していく。
大丈夫、大丈夫。
触るだけ、触るだけ・・・触ったら治まる・・・はず。
などと思っていたが・・・シャツのボタンを全部外したのが間違えだった。
「っ!?!?」
思わず、本気で鼻から・・・赤い液体が出そうになった。
シャツのボタンを全部外し、私の目の前に現れたのは
薄いピンク色したレースのブラと、寄せられ綺麗に谷間が出来た胸。
滑らかな曲線が出来た引き締まったウエストと、ブラと同じ色をした薄いピンクの下着。
そして、下に伸びる美しい足。
「(妊娠とは時に残酷だ)」
妊娠中は太ると、姉さんは言うが
の場合そういったものが全く見られない。
むしろ食べているのか?と思うほどだが・・・カタギリから聞いたところ
よく・・・いやかなり食べているという。
無駄な肉がないとは・・・そして、今目の前で晒されている体は何とも罪作りだ
食べたいけど、食べれない。
愛したいけど、愛せない。
なんと歯痒い状況だろうか!!!
「(したいけど・・・出来ない・・・ど、どうすれば・・・)」
と、思った瞬間私は思わず下を見た。
「・・・・・・・・・・」
言葉が出ない。
どうする、この状況。
「ん〜・・・グラハム?・・・どう、したの?」
「!?・・・目を、覚ましたのか!?!?」
突如、が目を覚まし眠っていた体を起こした。
あまりに突然のことで私は思わず声が裏返る。
そして、私は下の・・・何とも言えない状況を隠すため
毛布を羽織る・・・バレないように。
「どうしたの?・・・アレ?私いつの間に前脱いだのかしら?」
「暑いとか言いながら脱いでたぞ(頼む深くツッコミは入れないでくれ)」
「そうなんだ。・・・グラハム、どうしたの?顔真っ青よ?」
「え!?・・・あぁ、大丈夫だ・・・」
「具合でも悪いの?」
「そ、そうじゃないが」
はシャツのボタンも閉めないまま
よつんばの状態で私に迫ってくる・・・胸が・・・胸の谷間がソソられる。
お、オイシイアングル・・・じゃない!!!
「汗とか出てるけど・・・大丈夫?」
「大丈夫だって・・・心配しすぎだぞ、」
「ホント?・・・?・・・どうしたの、下」
「え!?・・・あ、いや・・・コレはっ!!」
すると、が下の状態に勘付いた。
私は必死で隠す。
「どうしたの?・・・もう具合悪いの?」
「違う!違うんだよ、コレはね・・・大丈夫だから・・・ほら、ちゃんと着て寝なさい」
「人の心配する前に自分の心配もしなさいよ。」
「君は妊婦だから言ってるんだ・・・ボタンも閉めて、さぁ毛布もちゃんと羽織って」
「毛布を羽織るって言ったって・・・貴方が全部取ってるじゃない」
「え!?あ・・・あぁ・・・そうだった、な」
「もう、何隠してるのか知らないけど毛布頂戴!」
「ダメだ!!コレは!!!」
「は?」
「男の秘密だ!触れないほうが身のためだ!!」
「何言ってるの?・・・ホラ、毛布頂戴!!」
そう言って、はムリヤリ私の毛布を剥がした。
さて、この後どうなったのか・・・皆の想像に任せるとしようじゃないか。
続?コントロール・ライフ??
(妊娠期間=私の我慢生活・・・やっぱりお触り程度で済む問題じゃない)