「大変危険な状態です。心拍、脈共に下がって、全体の損傷も酷いです!!」


「手術室に運んでください!!」


「先生呼んで!早く!!!」









病院中の人が、慌しく動く
1人の緊急な病人が、病院中の人を一斉に動かしていた。



患者が担架で運ばれ手術室に入り扉が閉まる。












「・・・・グラハム」



「カタギリさん!!」



「・・・・あ、さん」






手術室の扉の前に、カタギリが呆然と立ち尽くしていると
グラハムの恋人であるが息を切らしながら、カタギリに近づいていく。










「あ・・・・あのっ・・・・グラハムは?」


「たった今オペ室に入った。凄いよ彼、奇跡的に助かったんだから。ガンダムとの交戦で」


「助かり、ますか?」


「どうだろう。僕にも分からない・・・・怪我、酷いから」








そう言って、カタギリは手術中の赤く点灯しているランプを見る。

は神に祈るように手を合わせ手術が終わるまで待った。














――――数十時間後。















「先生」






数十時間という、大手術がようやく終わり手術室から医師が出てきた。
カタギリはすぐさま、医師に聞く。









「先生、あの・・・・グラハムの、容態は?」


「最大の手は尽くしました。・・・・ですが」


「ですが」










医師は、言葉を溜めた。
しばらくその場に沈黙が続きそして、医師は重い口を開く。












「顔の、損傷が酷くて・・・・手の施しようが」


「待ってください!・・・・再生治療があるはずです、どうして・・・・どうしてですか?」






すると、が医師に詰め寄る。

だが、医師はまた口を閉じる。

そして、カタギリもその理由を知ってのことか口を閉ざした。







意を決し、医師は口を開く。









「ガンダムの特殊粒子で・・・・元には、もう」


「そ、んなっ」


「エーカー大尉が乗られていた、フラッグにも国連軍の擬似太陽炉が・・・・搭載されて、その反動も・・・・」


「・・・・カタギリさん、まさか」


「・・・・」







は振り返り、カタギリを見る。

カタギリは彼女から目を逸らすように、横へと背ける。
すぐさまはカタギリに詰め寄った。










「どうして・・・・どうしてなんですか、カタギリさん」


さん」


「どうして、止めなかったんですか?そんなことになるって・・・・貴方なら、分かってた筈なのに」


「彼は・・・・部下の、友の、敵を」


「でも、どうして・・・・どうして・・・・っ・・・・うっ」


「ごめんなさい、さん。本当に、ごめんなさい」







カタギリは力なく、彼の胸で泣いているを抱きしめた。









手術後、グラハムはICU(集中治療室)に運ばれた。

色んな医療機器に囲まれ、その真ん中でグラハムは眠り
顔には包帯が幾重にも巻かれ、唯一分かるのは閉じている目だけ。



は外でずっと、グラハムが目覚めるのを待っていた。








「グラハム」












『一命は取り留めましたが、意識のほうがまだ戻りません。最悪、このまま目を覚まさないかも』

『・・・・・・・・そう、ですか』

『後は、大尉の頑張り次第です。・・・・本当に、無力で申し訳ないです』

『そんな、先生は一生懸命頑張ってくださったんです。ありがとうございます』






医師は、死力を尽くしてくれた。

死力を尽くして、彼を生き延びさせてくれた・・・・それだけでいいのだと、
心の中で思ってはいるものの、いつ死ぬか分からない状態で
もしかしたら、目を覚まさないんじゃないと思うと・・・・それだけで怖かった。













「神様・・・・どうか、彼を・・・・助けて」













ガラスに頭をつけ、は泣きながら
居るかどうかも分からない、神に願いを込めた。


彼が、目を覚めるのを。
































――――――PRRRRRR・・・・ガチャッ!!







「もしもし?」
さん!!グラハムが、グラハムが・・・・っ』





半年という年月が過ぎ去ったある日の事。

はグラハムの居ない、部屋でいつものように
過ごしていると、カタギリからの連絡が入った。

しかも、内容がグラハムのことになるとは居てもたってもいられない。





「カタギリさん、グラハムが・・・・どうしたんですか?・・・・まさか」


『グラハムが・・・・』


























『グラハムが目を覚ましました・・・・早く、病院に・・・・っ』







「は・・・・はい!!」







その知らせを受けたは、すぐさま電話を置いて
病院へと向かうのだった。



ICUを出て、個室の部屋に運ばれたグラハムの部屋へと
は病院内を急いだ。












「あ、あの・・・・っ・・・・グラハム・エーカー・・・・上級大尉の部屋は・・・・っ」


「10階の1014号室になります」


「ありがとうございます」










ナースステーションではグラハムの部屋番号を聞くと
急いで、エレベーターに乗り込み教わった部屋の階へと上がっていった。










「(1014・・・・1014・・・・1014・・・・・・・・あった!)」








は、10階に着くとすぐさま部屋を探し回る。


そして、ようやく、彼がいる部屋の前に辿り着き
呼吸を整え、扉をノックする。











----コンコン!










『はい?』


「!!・・・・グラ、ハム」


・・・・か』


「うん」








扉の中から聞こえてきたのは、グラハムの声だった。
はその声を聴いただけで涙が溢れ、止まらなかった。

早く、開けて抱きしめてあげたい・・・・はそんな衝動に駆られていた。








「入るよ」









そう、が言いノブに手をかけた途端――――――。













『入るな』








「え?」










中のグラハムの声は、の入室を拒否した。

あまりの言葉で、は驚きを隠せない。





『グラハム、さんは君を心配して・・・・』


『分かってる。・・・・だからこそ、入ってきてほしくない』


『カッコつけんじゃないよ、グラハム』


『そうですよ大尉。お嬢さんは』


『うるさい!黙っててくれ!!』







中にはカタギリやジャック、そして彼の姉であるメアリィが居た。

だけど、どうして自分だけが入ってはいけないのか、は分からなかった。








「グラハム・・・・ど、して・・・・っ」


『頼む・・・・もう、此処には・・・・来ないでくれ』


「っ!?」








突然の彼の拒絶に、はどうすればいいのか分からない。



入ることも、彼に触れることも、出来ない。



ようやく目を覚ましたというのに、どうして自分だけ?












「・・・・そ、そうよね・・・・うん・・・・分かった・・・・ごめんね、グラハム」








自分だけと、疑問に思いながらも
は溢れて止まらない涙を堪えていた。








「げ・・・・元気になったら・・・・また、連絡・・・・してね・・・・お大事に」



『あ、さん!!』






そう言って、はその場を立ち去った。

カタギリが外に出ようとした途端、もう其処にはの姿はなかった。





カタギリは振り返り、グラハムを見た。









「グラハム、どうして?」


「・・・・こんな、醜い顔・・・・に見られたくない」


「彼女は知ってる。粒子のおかげで再生できないことくらい・・・・なのに、どうして」








すると、グラハムは包帯が巻かれた自分の顔を押えた。







「それでも、今の私の顔を見せるのは・・・・あの子には辛すぎる」


「グラハム」


「大尉」


「アンタって子は」


「私は、もうあの子に近づくことすら出来ないんだ。・・・・こんな、醜くなった・・・・私をもう、彼女は愛してくれない」














彼は、彼女を拒絶し

彼女は、彼に拒絶され




2人の絆が、今にも切れそうになっていた。








赤い糸を引き裂く痛み
(もう二度と、私を愛さないでくれ・・・・お互いが辛くなるだけだ) inserted by FC2 system

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