「聞いたかい、グラハム」


「何がだ?」






私は軍の訓練施設でユニオンフラッグの対応力などを
カタギリと共に研究をしていた。

一息入れている最中、コーヒーを口にしていた私にカタギリが問いかけてきた。









「軍の上層部が密かに何か作ってるって言うウワサ」


「何かって・・・何をだ?」


「んー・・・僕も知り合いから聞いた話だけど、何でも退化実験をしてるらしいよ」


「退化実験?」









カタギリの言葉で、私は鼻で笑った。








「世界の理に反しているな。それは大統領命令か?」


「多分、軍の単独行動だと思うよ。バレたら、史上最大の不祥事だろうね」


「途轍もないリスクを背負ったもんだな。何故其処までする必要がある?」







人類の退化など、あってはならないことだ。


人は常に老いを誰しもが感じるものであり
それを人の手によって巻き戻すなど馬鹿げた論理を持ち上げるものじゃない。







「軍事力を上げるためじゃないかな?人革連や、AEU・・・其処に勝つために
軍の老いた人達を少しでも活用する。そのための実験じゃないかなと僕は思ってるけどね?」


「ますます、バカらしいことだ。そんなことに国民の税金を使うくらいなら、もっと別のことに使ってほしいな」


「手厳しいご意見だね」


「一般的な事を述べたまでだ。そろそろ始めよう」


「ああ、そうだね」







私はヘルメットを持ち、再び訓練に戻ろうとした。


だが何だか、胸騒ぎがする。

心臓がドクドクと鳴り響いて、耳にまでその振動が伝わってくる。









「カタギリ」


「どうしたんだい?」


「すまないが、今日はもう終ろう。・・・何だか、嫌な予感がする」


「いいけど。グラハム、どうしたの?」


「分からない。すぐに着替えてくる」






何だろう、この胸騒ぎは。
フラッグに乗りすぎたわけでもないのに、何なんだ?



私は、胸騒ぎを抑えつつ着替えに向かうのだった。










――――ガチャッ・・・!















、帰ったぞ」


さん、こんにちは。美味しいケーキを買ってきたから、皆で食べよう」





家の扉を開け、玄関で立ち止まるもが現れない。


いつもなら、リビングのソファーから立ち上がってすぐさま
玄関まで駆けてくるのに今日は来ない。

私は急いで、家に上がる。






・・・居ないのか?」


「どうしたの?さん、居ないの?もしかして、出かけたとか?」


「いや、出かけるのであれば必ず私の携帯に連絡するはずだ。
連絡がないということは、確実に家の中にいるはずなんだが」








私はカタギリと共に、家中をくまなく捜した。

そして、最後に寝室の扉を残し・・・・・・・・・。







「残るは寝室だけだ」


「此処に居なかったら、どうするのグラハム?」


「ダウンタウン中をジャック達を使って捜すか、捜索願でも出すか、のどちらかだな」


「どちらにせよ大事になりそうだね。・・・此処に居ることを願おうじゃない」


「あぁ」









そう言って、寝室の扉を開けた。








!」







すると、ベッドが小さく盛り上がっている。

どうやら此処に居たらしい・・・・シーツを被って分からないが。











『ぉ・・・お帰り、グラハム』







そこから、かすかにの声が聞こえた。









「コラ、。捜したぞ・・・返事くらいしたらどうだ?」


『ゴ、ゴメン』








声は聞こえるも、姿を見せようとしない。



明らかに様子がおかしい。








、顔を見せるんだ。いつまでも、其処に居たら話が出来ないだろう」


「・・・えっーと・・・その・・・・・・イヤ」


「イヤって・・・あのな、小さな子供じゃないんだ。さぁ、出ておいでもう怒ってないから」


「・・・・・・」







私が説得するも、はシーツを被ったままこっちを見ない。

ましてや、喋りもしない。








「こうなったら、無理にでも剥がすか」








私はあまりのの態度に嫌気がさして、強行手段に出る。









「えっ、グラハム?!それは、ちょっと強引だよ。さん、嫌がってるし」


「朝は何ともなかったのに、今の状況見たら絶対におかしいとしか考えられない」









私はシーツを握り剥がそうとする。








「いーやー剥がさないでっ!!」


「君が大人しく出てこないからだろ。出てくるんだったら、こんなことしない!」


「で・・・出たいけど、出れないの!!お願い、剥がさないで!!」





出たいけど、出れないだと?!



ますます気に入らないことをいう彼女。

私は力をこめ、握り―――――。










!」








シーツを剥がした。






だが、その瞬間、時間が止まった。








舞い上がるシーツから見えたのはだった。



だが、その姿は何だか幼い。






白い肌をした足と、目には大粒の涙。

本来背中半分まである長い髪が、肩までの短さ。

いつもの艶のある表情は、かろうじて少し残っていた。









私は驚き、目を見開いた。



それと、同時に床にシーツが静かに落ちた。









、なのか?」


「どうしよう・・・グラハム、私・・・小さくなっちゃった」











嫌な予感が的中した。

どうして、君が・・・こんな姿に・・・?










Curse - 退化 -
(女神が彼女に呪いをかけた) inserted by FC2 system

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!