「コレは一体・・・どういうことなんだ?」
「さんが・・・幼くなってるってことだよね」
「見るからにそうだろう」
目の前のに私とカタギリは驚くしかなかった。
人が半日そこらで幼くなるはずない・・・じゃあ、何故?
「どうしよ、グラハム。私、わたしっ・・・」
「、大丈夫だ。大丈夫、私が付いてる」
「でもっ・・・でも・・・っ」
は自分のあまりの変わりように、狼狽し泣いていたのだろう。
だから寝室に隠れていたに違いない。
こんな姿を見られないために。
「グラハム。私、元に戻らなかったらどうしよ・・・っ」
「大丈夫だ、必ず元に戻る。まず泣き止むんだ」
「そうしたいけど、涙が・・・止まらない」
私はを抱きしめ、頭を撫でていたが一向に泣き止まない。
本来なら、これしきのことすぐに泣き止むのだが
体が突然小さくなったのだから脳内が混乱して、言うことを聞かないのだろう。
「とりあえず、僕は先にリビングに降りとくね」
「カタギリ」
「キッチンを借りるよ、コーヒーでも飲めば少し落ち着くと思うからね」
「すまない」
カタギリはそう言って、先にリビングへと戻った。
一方の私はというと、抱きしめ気持ちを落ち着かせていた。
「」
「ヒック・・・っ・・・ゴメン、ゴメンね、グラハム」
「謝らなくていい。怖くない・・・大丈夫だ、大丈夫」
「でも・・・っ」
「仕方ないな。強行手段だ」
「グラハ・・・ンッ?!」
私はの手を握り、ベッドに押し倒しキスをした。
彼女は暴れもせず、ただその甘さに酔っていたが
呼吸が段々と戻り涙も止まっていく。
「(ようやく落ち着いたか。ん?何だろうか・・・甘い、味がする)」
キスをしている最中だが、何だかの口の中が甘いことに気づく。
何処かで、食べたことのある・・・甘さだ。
そんな疑問を頭の中に残しつつ
私は、ゆっくりとの唇から離れる。
「落ち着いたか?」
「・・・ぅ、ぅん」
「よかった。それにしても、何故私の服を?」
が、私のシャツを着ていたことに気づく。
いつもなら少し大きいはずなのに、今日は何だかかなり大きく見える。
「何か、自分のサイズだと動きにくくて・・・勝手に着たの。ご、ゴメンね」
「そうだったのか。それくらいで謝らなくていい。さぁ、行こう・・・カタギリがリビングで待ってる」
「うん」
ようやくベッドから出て、は床に足をつけ立ち上がる。
立ち上がった時に分かったが身長はかなり縮んでいた。
私と並んで、ざっと30cmくらいは縮んでいる。
普段は15cmしか離れていないからそんなに分からないが
ここまで身長が低いと、もうこれは大人じゃない・・・完全に子供だ。
リビングに降りると、カタギリがコーヒーを用意しおり
キッチンからはコーヒーの香りが部屋中を包み込んでいた。
「あ、カタギリさん・・・ごめんなさい。私がします」
「おや、泣き止んだんだね。それにしても身長まで低くなったんだね。
見た目からしたらだけど多分150前後くらいかな」
「え?あーそうですよね。カタギリさんもグラハムも高いし。
カタギリさんとは40cmは離れてるんじゃないんですか?」
「そうかもしれないね」
こう見ると、カタギリとが親子のようにも見える。
じゃあ私の場合は兄になるのか?
なんて想像をしている場合じゃない。
しかし此処まで人が半日で身体的に退化していいのだろうか?
退化・・・?
ふと嫌な予感が過ぎり
私は血相を変えて、に問いかける。
「!」
「な、何!?びっくりした・・・っ」
「何か甘いモノを食べただろ?」
「え?・・・ぃや、あの・・・その・・・」
私の問いかけには目を泳がせる。
どうやら私の予想は外れていないようだ。
「どうしたの、グラハム?その甘いモノとさんの体が関係しているのかい?」
「大有りだ!多分、その甘いモノの中に・・・実験サンプルか何かが入っていたんだろう」
「実験サンプルか何か?」
「君はさっき言ったじゃないか。軍が内密に進めている実験があると」
「まさか。あれはウワサだって」
「だが、のこの状態をどう見る?そうとしか考えられない。
退化実験をどうやら上のお偉い方はおっ始めて、私を退化させようとしたんだろう」
「まさか・・・本当の対象は、グラハムだったっていうのかい!?」
「おそらくな」
此処からは、あくまで私の推測にしか過ぎないが実験対象は私だったはず。
それを渡すためにスパイは此処に赴いた。
しかし、私は生憎と留守。
だが、その代わりに現れたのは・・・だ。
だったら、何とか言いくるめれば薬品を混ぜた食べ物を与えればいい。
「つまり、私・・・グラハムの身代わりってこと?」
「そのようだな。多分、の好物であるチョコか何かに・・・薬品が混ぜてあったんだろうな」
「な、何で私がチョコ食べたって・・・っ」
「私が分からないとでも思うな。君のことなら何でもお見通しのつもりだぞ?」
「うぅ・・・・・・ごめん」
は私がそう告げると、素直に謝ってきた。
あまり咎めるのも気が引ける。
見ず知らずの他人から物を貰って食べてしまったこの子も悪いが
一番悪いのは軍の上層部だ。
何故、私を標的にしたのだろうか・・・?
そんな事を考えていても仕方がない。
「とりあえず、がこのままじゃ可哀想だ。何か元に戻る方法はないのか?」
「じゃあ、作ったかもしれない人に聞いてみる?」
「作ったかも?・・・居るのか、そんな人間が?」
「一人だけ思い当たる人が居る」
カタギリが何か知ってそうな顔をしていた。
思い当たる人が居るのであれば、何か聞き出せるかもしれない。
私は踵を返し、に話しかける。
「、ちょっと私は出てくる。もしかしたら、何か手がかりが見つかるかもしれない」
「ホント!?」
「あぁ。だが、君は此処に居るんだ。絶対に外に出るんじゃないぞ、いいな」
「うん」
「よし。・・・行こう、カタギリ」
「あぁ」
そう言って、私とカタギリと共に出かけた。
一刻も早くを元に戻すための方法を見つけに。
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(何とかして君を必ず元に戻してあげる)