今でも思い出す。
それは、私が初めて彼女を抱いた時のこと。
柔らかい肌、甘美な声、目に溜まった大粒の涙。
痛みが快楽へと変わる。
共に味わう甘い感覚は、今でも忘れられないほど私の中に焼きついていた。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ッ」
「・・・大丈夫か?」
抱きしめたときに感じる、動悸が激しい。
多分、媚薬の効力が今頃になって出てきたことを現していた。
「凄い汗。このままのさんは危険だよ」
「だからって、私はこの子を見放すなんて出来ないぞ」
「だけど、どうするの?博士のところに連れて行くしかないよ」
「嫌だな。聞いただろ、あの薬品を含んだラットを殺さなければならなかったと」
「じゃあ、どうするのグラハム?」
カタギリにどうすると聞かれた瞬間、正直何も考えつかなかった。
どうもこうも無いだろう。
今は薬の作用では多分、この状態から行くと
確実に私に性欲を求めてくるに違いない。
私も、いつまでも理性を保っておけるはずが無いし
ましてや媚薬の効果もいつ退くか分からない。
だからと言って、今から博士のところに連れて行けば
から離れてしまう事になる。
それだけは、絶対に嫌だ。
私の側から、が離れていくのは嫌だ。
「どうにかする。博士が早急に解毒剤を作ってくれてるんだ、彼の力を信じるしかない」
今はそう答えるしかなかった。
彼の力を信じることしか、できない。
私自身には・・・どうすることもできないのだから。
「分かった。僕はとりあえず帰るよ。君もあまり無茶をし過ぎないように」
「すまないなカタギリ」
「いいよ。・・・さん」
すると、帰るカタギリはに話しかける。
その声に反応したのか、はかすかに目を開ける。
「ケーキは、冷蔵庫の中に入れておいたから
具合が良くなったらグラハムと一緒に食べてね」
「カタギリ・・・さっ・・・あ、ありが」
「無理して喋らなくていいよ。・・・じゃあね、グラハム」
「あぁ、また明日」
そう言って、カタギリは帰って行った。
彼を見送ると、私は胸にもたれているを抱きかかえ
リビングのソファーに寝かせる。
「ハァ・・・ハァ・・・」
「熱いか、?」
言葉も出ずに、は一つ頷く。
私はキッチンから水を持ってきて彼女に飲ませる。
「、ホラ水を持ってきたぞ」
「んっ」
私が持ってくるなり、水をすぐに飲み干し
再びソファーに寝転がる。
だが、動悸は激しくなるばかりで息遣いさえも荒々しくなる。
「・・・・・・」
私は彼女のおでこの触れようとした瞬間、手を止めてしまった。
触れていいのか?
今、触れてしまえば抑えていた獣が解き放たれる。
獣が暴れだしたら、私も止められなくなる。
歯止めがきかなくなり
媚薬を含んだ以上に、求めてしまうかもしれない。
彼女を壊してしまいそうで怖い。
私は首を振りなんとか理性を保たせ
手をの側から離し、見つめた。
紅潮した頬、みずみずしく潤った唇。
首から滴る汗、零れる吐息は甘い声。
若返り、さらに白さを増した肌。
薄く開かれた目を見れば―――――。
「グラ、ハム・・・ッ」
大粒の涙を溜め、瞳を潤ませながら私を見つめている。
煽るな。
頼む、煽らないでくれ。
「もぅ・・・・ぉ、願ぃ」
は私に手を伸ばしてきた。
だが、その手を私は握ろうともせず逆に離れた。
違う、これは彼女じゃない!
これは、これは・・・夢だ。
何度も何度も、自分の頭の中に言い聞かせる。
「ぉ、ね、がぃ・・・お願い・・・」
しかし、目の前の光景を見ると
夢ではない、そう今、現実にある事を思い知らされる。
現実に、彼女が私を求めている。
背中からそっと、悪魔が私に囁く。
『抱イテシマエ、抱イテ・・・メチャクチャニ壊シテシマエバイイ』
「抱いてあげよう。君が、壊れるくらいに」
手を伸ばし、指を絡める。
口付けを交わし、唇で肌に触れる。
其処にはあの時と同じ白い肌があった。
「ひゃぁん!?・・・あっ・・・あン!」
「まったく、ココをこんなに濡らして君は外を出歩いてたのか?」
ソファーに倒れたの脚を大きく広げさせ
私は蜜が滴る部分に舌を這わせ、溢れる愛液を口の中へと入れる。
「もぅっ・・・ごめんなさぃ!・・・あぁん・・・やぁ、ダメぇ!」
「何がダメなんだ?君のココは、素直にイイと蜜を零して言ってるじゃないか」
狂ったように、私はの蕾を舌で舐め上げていく。
厭らしい水音だけが部屋を包み込み、甘い声がそこら中に響き渡る。
「あぅん・・・ぁ、ぁあ・・・ソコォ・・・もっと・・・激しくっ!」
すると、生ぬるい快楽には私に激しくするよう強請(ねだ)る。
私は舌で扱くのをやめ、指へと切り替え
一気に3本ナカに挿れてすぐバラバラに動かし始めた。
「んぅっ・・・はぁ、っ・・・あぁ、アん・・・ぃやっ、あっ・・・あぁあっ!」
「イヤなのか?君がもっと激しくしてくれと言ったから、指でこうやって掻き乱しているのに。
それとも、いっその事・・・私の方がお好みだったか?」
「あぅっ・・・あ、ン・・・あぁっ・・・ゃ、やだぁっ・・・!!」
「半分理性は働いてみたいだな。だがな、。
私の理性は既に君のおかげで崩壊してる。
君が嫌だと言っても、何故だろうな・・・早く壊したいと思うんだ」
私は指をナカから引き抜き、手に付いたの愛液を舐める。
は荒々しい呼吸をしつつも、目を薄っすらと開けて私を見る。
「グラ、ハム。もぅ・・・早く、シテ・・・熱ぃのぉ」
「可愛い子供のようにおねだりなんかして。・・・ま、今は子供だから仕方がないな」
「お願いっ・・・は、ゃくっ・・・早く、シテッ!」
「ワガママなお子様には、甘いお仕置きが必要だな」
そう言って、私は昂った己の熱をの蕾にあてがり
一気にナカへと挿入した。
「ぁぁああ!!ぃっ・・・痛っ・・・いたぁっ、ぁああっ、グラハム・・・痛いよぉ!」
「やはり、子供の体に大人の私が入り込もうとすると体は嫌がるものなんだな。
大丈夫だ、ホラゆっくり呼吸して」
「ぃたい・・・痛いのっ・・・も、ヤダぁ」
そういえば、昔も同じことを彼女は言っていた。
「、大丈夫・・・痛くない。さぁ、呼吸して」
優しく囁くと、は呼吸を始める。
呼吸を繰り返すと、徐々にナカが緩んでくる。
その隙を狙い私はナカへと侵入していく。
「あぅん!!・・・あっ、ああぁ・・・グラ、ハム・・・イヤッ・・・熱ぃ・・・熱いよぉ!!」
「痛みは無いな。安心しろ・・・熱いのは、気持ちイイ証拠だ」
「ンッ・・・ぁあっ、はぁ、ふぅ・・・ン・・・」
「、覚えているか?私が、君を初めて抱いたときの事を」
「えっ?・・・あっん!!やぁ、いきな・・・ダメッ!!動かないでっ!!」
腰を激しく打ち付けると同時に
私は突然、昔のことを思い出した。
そう、と暮らし始めた2年前の頃を。
生活が慣れて、2人で居ることが当たり前になり。
手を繋いで、腕を組み、キスを繰り返して。
そのうち、私はを欲するようになってきた。
心だけではなく、体も・・・全部。
「始めのうちはどうしても痛みしかなくて。君を傷つけまいと思っていたんだ」
「あぅん・・・んンッ・・・グラハム、いぁあ・・・あっ、あぁあ・・・!」
「だが、続ければ続けるほど痛みは消えて快楽が生まれてきた。
君は私の与える愛を全て受け止めてくれた。そう、私の愛・・・全てを」
「はぁっ・・・んぅ、ふ・・・もっ、アん!・・・ぁつ、んぅ・・・!!」
「だから、受け取ってくれるか?私の、君に対するこの愛を」
動きを止め、じっと彼女を見つめる。
の口から吹きかかる吐息が甘い。
これもあの媚薬の匂いからくるものなのか
思考がどんどんおかしくなっていく。
「グラハム。グラハム、ぁいしてる」
「私も愛してるよ、」
きっとそれが、答えだ。
もう、何もいらない。
君が居れば、私には何もいらない。
君さえ居てくれれば、私の全ては満たされる。
「・・・愛してるよ」
「ひゃあンっ!!・・・グラ、ハム・・・ぁっ、あぁあ!・・・もっと、もっとシテ!!」
「シテあげよう、壊してあげよう。深いところまで堕ちようじゃないか」
ソファーがギシギシと酷く軋む音がして
互いの精液と愛液、汗と吐息が交じり合う音も
それに負けじと耳に入り、聴覚を犯していく。
「あっ、ああっん・・・・ダメッ!グラハム、イッちゃう・・・も、もぅ!」
「いいよ、私もイキそうだ」
は絶頂のサインを私に出す。
私は同じく絶頂を迎えそうだったので、更に激しく攻める。
「、・・・・・・っ、くっ!」
「ぁ、あぁ―――あぁあああ!!!!!」
欲望を吐き出し、のナカへと注ぎ込む。
彼女はそれを受け止め、悲鳴にも似ているけれど甘美な声を上げた。
私は息も絶え絶えの彼女を見て、頬を撫でる。
「ベッドに、移ろうか」
「・・・ぅん、で、でも・・・ッ」
「ん?」
「此処で・・・シテも、ぃいよ」
そう、彼女の返事を聞くと私は笑みを浮かべて―――。
「まったく、君はとんでもないものを食べてしまったみたいだな」
そう、呟くのだった。
FALL
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快楽と堕落
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(快楽に溺れ、堕落に走る。そんな日の始まりだった)