受けた電話で・・・私は奈落の底に突き落とされた。










「う、嘘でしょう・・・また、私を驚かせようと思って・・・」

『本当です!・・・ごめんなさいっ・・・私が付いてながら・・・本当に、ごめんなさい!!
私、今病院の外で・・・あの、今すぐ・・・今すぐ来てください!!』







そう言って、アンナさんからの通話が途絶えた。

私はゆっくりと受話器を耳から離し降ろしていく










「・・・だ・・・」

「どうしたの、グラハム」

「嘘だっ。」

「グラハム!?」







私はカタギリの声も掻き消すように
部屋から威勢良く飛び出し、走った。










「嘘だ・・嘘だ・・・嘘だ・・・」












きっとコレは夢なんだ

そうだ、夢なんだよ・・・アンナさんもも私をからかってるんだ。

病院に行けば、きっと平然とした顔でが・・・


が・・・・・・・





































「・・・・・・そんな、」


「ごめん、なさい・・・ごめんなさい・・・ッ」




夢じゃなかった。
私に最悪の現実が突きつけられた。


ICU(集中治療室)で、たくさんの医療機器に囲まれ
管が幾本も、うねっている真ん中に・・・白いベッドで眠る


が其処にはいた








・・・嘘だろ・・・なぁ・・・嘘だって、・・・瞳を・・・瞳を開けてくれ・・・」








ガラス越し、彼女を呼ぶも

規則正しい機械音と、瞳も開けない愛しい君の姿しかなかった。



声が・・・返ってこない。









!・・・、瞳を覚ましてくれ!!」








朝は、あんなに、元気な顔を見せていたじゃないか。







!・・・、起きてくれ!!」







私に何か買ってこようと・・・考えていたじゃないか








・・・ッ・・・・・・ッ」













ガラスを叩いても、割れることは無い。

君の耳に届いているはずの私の声も、君の声は聞こえず、返ってこない。











・・・!・・・!・・・、瞳を・・・瞳を開けて・・・ッ」

「お、落ち着いてください・・・!」

「コレが落ち着けという態度か!!・・・離せ!」







病院関係者が、荒れ狂う私を必死に押さえ込もうとするも

今の私にはそれが邪魔で仕方ない。

全てが邪魔だ・・・人も、管も、機械音も、ガラスも・・・










私には、だけが。



が居れば、何もいらない








・・・!・・・瞳を、開けてくれ・・・君の美しい瞳で、もう一度私を映してくれよ・・・。」

「だ、誰か・・・ち、鎮静剤を・・・ッ!」

「落ち着いてください・・・今此処で暴れられては、他の患者さんやこの患者さんに負担が・・・ッ」

「うるさい!退け!!・・・・・・瞳を開けて」










看護士を払いのけ、ガラス越し・・・眠っているを見る。

こんなに、声を張り上げているのに

どうして君は瞳を開けてくれないの?

どうして君は形のよい唇で私の名前を呼んでくれないの?

どうして、どうして・・・












君は・・・・・・・
















------プスッ!






「ッ!?・・・あ・・・っ」

「しばらく、落ち着いてください・・・」




すると、首に針の痛みが走り・・・徐々に眩暈が起こる。

体から全部の力が抜け落ちていく。

ズルズルと、その場に落ちていく・・・の姿が徐々に見えなくなっていく。





待って・・・待ってくれ・・・



まだ、君は瞳を開けていないじゃないか・・・私の名前を呼んでいないじゃないか








「・・・・・・・ッ」










薄れ行く視界の中、私は最後まで・・・の名前を呼び続けた。



























「っ・・・此、処・・は」

「お目覚めかい?」

「カタ、ギリ・・・何故、此処に?」






目を覚ますと、私は自宅の、ソファーに居た。
そして、其処には・・・カタギリも居た。







「・・・いきなり飛び出して、しばらくしたら病院から電話かかってきたからビックリしたよ」

「・・・私は、一体・・・」

「えらく荒れて、病院の人たち困らせてたみたいだったよ。鎮静剤を打たれたんだ。」

「鎮静、剤。・・・そうか、そうなんだな。」






私は瞳を手で覆い隠し
ため息を零した。

ようするに、あの病院から追い出されたわけか。







「何があったの、一体。・・・それに、君・・・・いつの間に部屋変えたの?この前来た時は下の階で
もう少し狭い部屋だったじゃないか・・・いつ、最上階のこの広い部屋に変えたんだい?」

「・・・が、来たから・・・」

?・・・もしかしてあの花少女のこと?」






私はゆっくり、今までの事をカタギリに話した。

1年前、と出逢って恋に落ちたこと

引き取ったこと、部屋を最上階に移したこと

そして・・・・・・・・・・・・・



















「あの、事故に巻き込まれたの?」

「多分。・・・瓦礫の下敷きになったと・・・一命は取り留めたものの・・・意識が戻らないそうだ」







テロと思われる、事故に遭遇し

意識が戻らないの状態に陥ったこと。








「何故だ・・・何故彼女じゃなきゃいけなかった・・・」

「グラハム」

「私が、朝・・・引き止めて置けばよかったんだ・・・。そうすれば、は・・・ッ」







こんな風にはならなかった









「どうして、じゃなきゃいけないんだ?・・・何故が巻き込まれた?」

「グラハム落ち着いて」

「私が、私がいけなんだ・・・私が、行っておいでと・・・そう言ってしまったばかりに・・・が」

「君のせいじゃない。」

「だが現に、こうしては此処に居ない!私の側に居ない!!何故だ!・・・何故、・・・ッ」

「グラハム・・・」

























「誰にも防げなかったんだよ、コレは」








カタギリの言葉に、私の心臓に鋭い刃のようなものが突き刺さった。



そうだ、誰にもどうすることも・・・できなかったんだ。

私も、同じ無力な人間だったんだ。








「時間が・・・時間が戻れば、引き止められたのに・・・”行くな“と言えたはずなのに」

「グラハム」






この両腕で、君を抱きしめて、引き止めておけば

君は、こんな風にならなかった。


あぁ、なんて・・・この腕が憎いんだろうか。






君を引き止めて、抱きしめることもできなかった腕






いっそのこと、切り落として・・・神に捧げてしまおうか。






時を戻して、を、返してくれ・・・と、その願いを・・・この無力な両腕と引き換えに。










神に捧げる生け贄
(頼む彼女を返してくれ・・・代わりに私のこの無力な腕を捧げるから)



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