「・・・はぁ・・・まさか、戻ってこようとはな」
部屋に戻ってきたのは何日ぶりだろうか?と考える。
が養家に戻って、1週間。
最初の2日は時間を潰してはフラフラするか
カタギリやジャック達と酒を飲みに行くかをしていた。
後はずっと軍に篭っていた。
しかしさすがに服の替え等をしなくてはと思い
私はの居ない部屋に戻ってきたのだった。
軍服の上着をソファーにかけて、私自身も腰を下ろした。
いつもなら正面に、が嬉しそうな顔をして私とお喋りしてるはず。
しかし、今はそのの姿すら其処にはない。
「あー・・・もう、1週間だぞ。頼むから、早く帰ってきてくれ」
私は、再び足を規則的に動かし始めた。
もう我慢の限界に近い。
軍に居れば、どうにかを忘れることが
出来ると思ったがそれすら適わない。
篭れば篭るほど、に逢いたいという気持ちに駆られて
どうして、側に居てくれないんだという歯痒さ。
体を重ねたいと望んでいるのに、もうそれすら今は叶えられない。
「(1週間も自粛は・・・過去最高だぞ。駄目だ、イライラする)」
本来なら、が自分の目の届く範囲に居ない時点で
もう私は我慢ができなかった。
己を律する事も、制御することも出来ない状態にまで陥っていた。
彼女が養家に居ることくらい知ってた。
手紙を残していったくらいだから。
だが、しかし・・・――――――。
「逢ってしまえば・・・それこそ、酷くを求めてしまう」
他の前じゃ、なんら我慢もする。
むしろ平気だとも言い切れるくらいだ。
だけど、の前・・・のことになると、我慢が出来なくなる。
束縛したいと思って・・・の何もかもを独占してしまう。
他のものに目をくれさせないように・・・あの子のすべてを私の元に留めておきたい。
私だけを映す、黒眼。
絹のように柔らかい、茶色のロングヘアー。
雪のように白く、柔らかい肌。
愛らしいほどまでの、私を呼ぶ声。
「あー・・・!!!ダメだダメだ!・・・考えれば考えるほどのことばっかりじゃないか!!」
結局はを思い出して、自暴自棄。
私は自分の髪をわしゃわしゃと掻き乱し
数秒でそれを終える。
そして、ソファーに深く体を沈ませる。
「・・・早く戻ってきてくれ・・・もう、我慢の限界だ。君が居ないんじゃ、私は」
『頼むから、独り遊びに走るのだけはやめてくれよ。・・・君もいい大人なんだから』
ふと、先ほどカタギリに言われた言葉を思い出した。
独り、遊び・・・か。
「はぁ〜・・・これだけは、したくなかったんだがな」
たまりにたまったこの欲を何処にどう吐き出せって言うんだ。
も居ない、この数日間。
私の我慢は限界を超えていた・・・そう、とおの昔に。
「(・・・許してくれ。でも、根本的に君が居なくなったのが悪いんだからな)」
そう心の中で、愛しい彼女に謝罪をしながらも
私は溜まった己の欲を自らの行為で吐き出すのだった。
「・・・っ、は・・・ぁっ・・・・・・」
私はズボンの中から昂った己の雄の部分を出して
手で規則正しく上下に擦り始めた。
頭の中にはもちろん、の事を浮かべながら。
久々に味わう快楽に、私は思わず身震いをしてしまう。
「・・・・・・・・・っ・・・はぁ・・・ぁ」
『・・・グラ、ハム・・・』
「はぁ・・・・・・」
愛しすぎるともう幻覚まで見えてしまうもの。
私の目の前には、の幻覚が・・・見えていた。
それも、また・・・―――――。
「イヤラシイな・・・・・・」
『はぁ、ぅん・・・グラ、ハム・・・もっとぉ・・・っ』
服の上着を捲り上げ上着を口にくわえて、半ば胸が見えている
下肢の部分を曝け出して、私の目の前で自らの手で弄っていた。
顔は紅潮して、恥ずかしさで満ちていた。
まったく、私の脳みそもついにイカレたものだ。
がこんなこと、するはずないのに。
「ホラ、自分でもっと弄ってごらん。私は今、自分のをするので・・・無理だ」
『ぁっ・・・は、・・・ぅ、・・・グラ、ハム・・・こぅ?』
彼女は恥ずかしそうに、自らの蕾を手で激しく弄り始めた。
抜き差しされる指に絡みつく愛液、愛しい君の快楽に溺れた顔。
ゾクゾクして、思わず興奮して息が上がり
私も刺激され自分の雄を激しく上下に擦る。
「っ・・・はぁ、・・・・ぁ、・・・っ・・・・・・も・・・ダメだ・・・」
『グラ、ハムッ・・・イ、イッちゃぅ・・・が、まん・・・できなっ・・・ぁぅ、あ・・・あぁっ』
「君がいなくなった時点で、私は我慢の限界だよ・・・っ、・・・早く、戻って・・・きてくれ」
『ぁ、・・・あぁっ、もう・・・はぅっ・・・気持ち、イイ・・・ッ』
「私のだったらもっと気持ちイイはずなんだがな・・・今は・・・それも、叶わないか」
早く君のナカに入りたい。
君のナカに入って、この欲を・・・この愛を、注ぎ込みたい。
そう、私のこの気持ち・・・全て、君に・・・。
「・・・・・・・・・・・・っ、はぁ」
『あっ、・・・グラ、ハムッ・・・ぁっ・・・ぁあぁぁっ!!!』
そう言って、私は欲望を外へと撒き散らした。
の幻覚は消え、その場には私しか居ない。
息が上がり、私はソファーに深くもたれかかる。
左手にはべっとりと、吐き出した欲望が付いていた。
「(あー・・・恥ずかしい)」
こんな姿、には絶対見せれない。
昂った雄の部分は、興奮を覚ますように痙攣を起こし
私は左手の吐き出した欲望を見る。
「はぁ・・・」
そして、ため息を一つ零した。
君に早く逢いたい気持ちが募って
思わず恥ずかしい事をしてしまった自分に
私は酷く落胆したのだった。
Solitaire
(思わずしてしまった独り遊び、でもやっぱり君が居ないとダメ)